闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

日本政府と日本銀行の対応をもう一度考える  その6

2012年02月24日

日本政府と日本銀行の対応をもう一度考える  その6
 
 昨日の続きで「円高のうちにやっておくべきこと」の中の「円高のうちに官民を挙げて良質の外貨を大量に取得して、近い将来の値上がり(円安)に賭けるべきでは?」についての後半です。
 
 まず、外為会計特別会計の説明が途中でしたので続けますと、日本は外貨準備で保有する金(きん)が僅か765トンで、外貨準備に占める割合も3%前後です。
 
 海外をみますと、最大保有国が米国で8133トン(時価で37兆円ほどです。外貨準備に占める割合が75%、以下同じ)、次いでドイツが3402トン(71.7%)、イタリアが2451トン(71.9%)、フランスが2435トン(67.6%)となっています。金価格はここ10年で約6倍(ドル建て)になっているため、欧米主要国は大いに恩恵を受けていることになります。
 
また中国の金保有は1054トン(外貨準備に占める割合が1.8%)ですが、中国は明らかに人民元を割安に放置して外貨をため込むことにより経済発展のための資本基盤を充実させたので、これも外貨準備の恩恵を受けていることになります。また中国は中央銀行(中国人民銀行)が外貨を一元的に管理することにより、経済発展・資本基盤の充実の代償ともいえる「外貨の値下がりによる損失」が民間に及ばないようにしていることも日本との大きな違いです。
 
 日本では何となく外貨準備が積み上がっているものの「円」は値上がりを続け(従って「外貨」は値下がりを続け)評価損が積み上がり、民間はいつまでたっても円高に苦しみ、かといって外貨準備が国民のために有効利用されたことも全くないのです。
 
 確か昨年、「円高対策」?として外貨準備から10兆円を貸し付けることが決まったはずですが、窓口になる国際協力銀行への貸出残を見る限り「全く何も」していません。
 
 それではここで「もっと金を保有しよう」とか「為替介入は意味がないからやめよう」とか言っているわけではありません。全く逆なのです。
 
 本誌は、それほど遠くない将来にかなりの円安になる、あるいは円安にすることが出来ると確信しています。そしてその円安で変動相場制導入以来、日本が(もちろん日本国民がという意味です)負担し続けてきた「円高コスト」を、いくらかでも取り戻すべきだと思うのです。
 
昨日書いた円安のポイントを参考にしますと、「50兆円の量的緩和(先週に10兆円緩和しているのであと40兆円)が長期間続けば2007年6月の124円、日本から資本流出が本格化すれば1998年の147円あたりまで円安になると思います。
 
 余談ですが、日本の名目GDPのピークは2007年と1997年(1998年ではありませんが)の515兆で、2011年(予想)は469兆円しかないのです。
 
 つまり「あと40兆円の量的緩和」を行いかつ「本格的な資本流出」が引き起こされれば間違いなく「かなりの円安」になり「かなり上昇するはずの株式」と相まって日本経済が「かなり」回復し、税収も増えるのです。
 
 さらに、同時に外為資金特別会計で安い外貨を大量に取得しておけば、かなりの評価益となり、実現益にして(今の為替市場の流動性から考えてあまり問題ありません)国民に還元できれば相当の経済効果があり、税収も自然に増えるのです。
 
 もちろん、円安の動きが始まれば「民間」からの外貨取得も増えるはずなのですが、いくら日本銀行が量的緩和をしても市中銀行の信用創造機能が破壊されたままでは限度があります。だから外為資金特別会計を使って政府が国民のために「円安で稼ぐ」のです。
 
これは現在あまり意味のなくなっている為替介入ではなく、「国民のための外貨取得」なのです。もちろんその原資は国債発行で国民負担になるので、よくその意味と効果を国民に説明して納得してもらい「官僚」に阻止されないようにしなければなりません。
 
 現在の外為資金特別会計は約100兆円です。評価損が30兆円ほど出ているのですが、いままで一般会計にそれくらい組み入れているので一旦無視します。
 
 仮に現在の80円近辺であと200兆円取得して合計300兆円(外貨で3兆7500億ドル)にしますと、2007年の124円になれば165兆円の、1998年の147円になれば251兆円の評価益となります(取得した外貨は短期国債などリスクのほとんどないものに投資したとしています)。
 
 評価益を実現益にして、その半分を国債償還に充て、のこりの半分を減税などの景気対策に充てれば消費増税どころか消費税そのものもいらなくなります。
 
 ただ1つ問題があるとすれば「ある程度のインフレになる」ことで、先週の日本銀行の「消費者物価が1%を超えるまで金融緩和を行う」が「1%を超えたので大急ぎで金融緩和を終了してしまう」ことになってはならないのです。
 
 突拍子もないと考えられると思いますが、一番大事なことは「国民に希望を持たせる」ことなのです。じゃあ200兆円を追加で取得してもドルが60円になったらどうするのか?
 
 あと300兆円くらい追加取得すればよいだけです。では原資はどうするのか?
 
 仮に円・ドルが60円になっていたならば(ならないと確信しますが)、世界中の資金が円に向かっていることになり、それこそ日本の国債が世界中から引っ張りだこで、かつ世界の準備資産になっているはずです。発行総額の46%が海外で保有されている米国国債の消化を米国政府が心配していないことと同じで、新規の国債発行には何の問題もなくなるのです。
 
 これで6回にわたって書いてきた「いま日本全体で取り組むべき政策のパッケージを考える」シリーズは、一旦終わりにします。

闇株にご賛同頂けれる方は下のバナーをクリックをして頂けると助かります。
現在は「株ランキング1位」です。


Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:12 | TrackBack:1
関連記事
コメント
面白いご提案だと思いますし、日頃から、その慧眼には敬服しております。
とはいえ、ひとつだけ質問が。アホな質問かもしれませんが、124円、147円の円安となると、原油や天然ガスなどのエネルギー価格や、穀物価格も相当高くなり、輸入インフレ圧力もかなり高まるのでは?
ドルが大量に刷られている限り、商品価格は相当高止まりし続けるように思えるのですが。
そんな状態で、エネルギーと食糧を海外に頼る日本は耐えられるでしょうか?現状の円高でも、ガソリン価格は、決して安くありませんしね。
>仮に現在の80円近辺であと200兆円取得して合計300兆円(外貨で3兆7500億ドル)にしますと

200兆円というのはどこから取得するのでしょうか?2004年の溝口介入では30兆円規模の為替介入が行われましたが、おそらく直接介入にしろ外債にしろ200兆円規模を取得すると発表すれば、発表した段階で円は急落してしまって80円近辺で取得するのは不可能だと思います。覆面介入の場合も米国に察知されずに外貨を買えるとは思えませんし、米国から批判されても買い続ける中国のような度胸もないでしょう。中国はロンドン経由で買っているという話もありますが。
J.Cruyff様

国内ガソリン価格は30年前より安いです。1990年代後半から2000年代前半が異様に安かった。

国内ガソリン価格とWTI期近物の関係
http://www.nikkeibp.co.jp/feature/080215_car02_fig1.gif

闇株新聞様、いつも興味深く拝見しております。
ユーロについて
1月の中頃を底に円安に移行し2月に入ってからは1円程度の押し目が一回あっただけで
現在 1ユーロ 106円の後半まで、下げる気配を感じさせない流れで来ています。
>それほど遠くない将来にかなりの円安になる< 
と書かれていますが現在はその始まりなのでしょうか。

日米欧の金融緩和の量を比べても、インフレへの数値目標と意気込みを比べても
円の方が大きく新たな一手を打って状況が逆転したとは思えません。
円が買われていたことの調整なのでしょうか?
欧州問題の本質も未だに体良く先送りされているだけに思えます。

ユーロ急落の本当の理由(号外版)2012/01/08の記事で
>ユーロ当局者の間に「ユーロを(意識的に)安くする」という意図も絶対にある<
>「ユーロ当局がユーロ安政策に転換」したのです。言い換えると「ユーロは下がったのではなく、当局が下げ始めた」のです。あくまでも「下げ始めた」ばかりなのです。<
>半年以内(つまり本年3月まで)に1ユーロ=1.10~1.15ユーロ、対円で85~90円と予想していますが、変更の必要は無いようです。<
>「ユーロ当局は、財政問題解決のために量的緩和をして(ユーロ安にして)景気の後押しをすることにした」<
という流れが変わって次の新たな主流が生まれたのでしょうか?

> 本誌は、それほど遠くない将来にかなりの円安になる、あるいは円安にすることが出来ると確信しています。そしてその円安で変動相場制導入以来、日本が(もちろん日本国民がという意味です)負担し続けてきた「円高コスト」を、いくらかでも取り戻すべきだと思うのです。<


円安になると考えられたのは、当新聞2011.11.28日小生コメントと同じですけど、円安にできると思われるのはどうでしょうか?

2011.11.28日コメント・・・>

対米ドル・円は、
99.11月<円高>→02.2月<円安>→04.1月<円高>→07.6月<円安>

サイクルから、そろそろ円安向かうんじゃないかと見ますが。07.6月<円安>から円高に向かい、4年半経過しますから<サイクルから>。政府・日銀による為替介入で一時円安に振れたことを除けば、ドル円の日足は、底練り状態で、円安に向かうんじゃないかとテクニカルで判断もできる指標もでてきています。<

と、相場にはサイクルがありますし、日足罫線からのテクニカルから見た予測も成り立ちますから<確率です>。シリコン・サイクルが存在するように、相場にはサイクルが存在します。

公的債務が、GDPの概ね200%国家の長期国債を外人投資家が所有することはないかと思います。また、外人から見た日本は、規制が多く投資する魅力もなく、進出しても撤退する現実であり、日本国債の短期債は、世界情勢から消去法で買われているだけかと思いますけど。

税収が減少し、少子化・老齢人口増加する人口、内需対策を放置した政府、消費税率引き上げキャンペーンは、既年金受給者及び年金支給間近の人への脅し<支給減額と買支給年齢を遅くする>でもって、野田首相は、消費税引き上げとなれば、国民に信を問うと言っていますから、選挙で一番影響ある有権者から消費税率引き上げに賛成を得られればですから。

他に、やることあるでしょと言いたいですね!数十年前のダム計画もそんなガラパゴス計画を中止するだけでも、12.5兆円ですから。

そんなお寒い政治を外資投資家が、財政建て直しをしてGDPに対する公的債務を減少させていけるのか見透かしているかと!

政府は、国民が所有する財産を食い潰すんですか?

東電保有の不動産の売却先が信託銀行とのことですがどうして信託銀行だけなのですかねえ。不思議です。
欧米の主要銀行の資産を簿外含めて時価評価してみてはいかがでしょうか
数十兆円の債務超過に陥ってる所もあるんじゃないですか
テーマの外かもしれませんが、またまた不祥事。なんとか投資顧問の2000億円もの年金消失、(まぁ、言語道断ですが、)何がしかのコメントがいただければありがたいです。市場に与えた影響も大きいと聞きます。一部格付け会社をも巻き込んだ腐敗の構図も見え隠れかもしれません。
国が戦略として円安を目指すというのはストーリーとして面白いと思います。
閉塞感あふれる現状を打開する方策として野田政権が参考にすればいいと思うほどです。
但し、国として方向性を示し火付け役を果たせば、後は民間の力を活用する方が望ましいと考えます。
日本は企業も個人も資金を持っています。
私も少額ですけど外貨に投資してきましたが、これまでのところ連敗続きです。
しかし、国として民間が納得するようなストーリーを示してくれれば、外貨投資は自然に増えるのではないでしょうか?
そのためには国が不退転の姿勢で量的緩和を推進しなくてはならないでしょう。
その結果、円安方向が確認され、株価が上昇し心理面でも景気回復への手応えを感じたならばスパイラル的に経済環境が様変わりになってくるのではないでしょうか。
闇株構想が広がることを期待します。
 ufoさん同様テーマ外で申し訳ありませんが,AIJ投資顧問の問題、調べても情報が出て来ません。大半の資金を飛ばしてしまとは、いったいどのような運用をしていたのでしょうか。年金運用の大半に高レバッジ、高リスクの商品を使うことなど許されてはなりません。深い闇を暴いて頂きたいと思います。
日銀、日本政府の戦略についてはいつも後ズレで国力を衰退させることばかりです。
これ以上の円高で国内企業を衰弱させてはい
けません。まだ緩和不足だと思います。
円安傾向に追い打ちかけ、トレンドをつくるべきでしょう。
今の円高の時に、
300兆円規模の外貨準備を保有することは、個人的には、大賛成である。
そして、その外貨準備の内訳は、ドルが60%、ユーロが20%、ポンドが5%、人民元が5%、金が10%がベストだと思う。
金価格は、現在は円建てにしても割高なので、
20年間ぐらいかけて、安くなった時点で少しずつ買い増していけばよい。

首都直下型地震や東海地震・東南海地震・南海地震の三連動の大地震が発生したら、
東日本大震災の何倍もの被害が発生する。
また、そのような大地震が続けて発生した場合、大変な経済的損失が発生する。
その場合も、損害保険などである程度補えるかもしれない。
だが、大地震などで原発に破局的事故が発生した場合は、損害保険の対象外になってしまう。
福島原発事故でも、結局は国民が負担することになる。
それでも、日本政府が、300兆円規模の外貨準備を持っていれば、
しばらくの間は国民の生活を支えていくこともできるかもしれない。





財務大臣の罪
一国の財務大臣であれば、その発言は重大です。
その発言内容は現に国会の審議における多数に
よる支持という立場にあるものでなければなり
ません。
一国の政策について不確かな
ことがらを海外にアナウンスすることは、その
軽薄な発言をする財務大臣その人の品格をとお
して、そのような者が国の一角で任用されるよ
うな国そのものについて信頼性を毀損するもの
だと思います。
このような行為がわが国の前財務大臣から、
国際会議の場で繰り返されています。
日本国の財務大臣が、
国会で決定されてないことがら=「消費税増税」
を「財政再建」とセットにして規定事項のよう
に海外で発言することは、根拠のない政策を、
海外に流布していることに等しい。

現時点では、まだ
不規則発言=「たわごと」と同じことを、
国際会議の場で、発言する大臣は、その
任に不適格です。
単に越権行為にあらず、
国民、国会を無視しており、それゆえ国家に
対する逆臣ではないでしょうか。
弊害において、容認されるべきではありません。
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム