闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

AIJ投資顧問の闇  その3

2012年03月01日

AIJ投資顧問の闇  その3

 本件については余り何回も書くことはないと思っていたのですが、直近の報道を見ていて「感ずる」ことがありますので、もう一度書くことにしました。

 まず本日(2月29日)、金融庁が「投資一任業務」を行う金融商品取引業者(ほとんどが投資顧問会社だと思います)265社に対して、一斉調査を始めました。

 2段階に分かれおり、まず第1段階では顧客属性(年金基金とか学校法人とか)、顧客ごとの契約内容・契約金額、顧客勧誘のパンフレッド等、監視委員会検査などの外部検査の有無、顧客トラブルの有無を3月14日までに報告するように求め、そこで「疑わしい業者」が出てくれば第2段階として顧客ごとの運用の内容、顧客ごとの運用利回りを求めるというものです。

 ここまでは、あくまでも金融庁監督局証券課による「調査」であり、多分そこから「非常に疑わしい業者」が出てくれば、ここで初めて証券取引等監視委員会が「立ち入り検査」に踏み切るようですが、何とも「悠長」な気がします。

 素朴に思うのですが、「火災を起こしている家屋(AIJ投資顧問)」を遠巻きにして「火の用心は万全ですか?」と同じ町内を聞きまわっているようなものです。

 もう1つ、報道機関がAIJ投資顧問に運用を委託していた「厚生年金基金」などの特定を行っており、昨年末で総顧客数が94(うち厚生年金基金81)、委託金額総額が2043億円だったそうです。

 これも、被害者の特定はAIJ投資顧問を「叩けば」分かるもので、わざわざ報道機関が全国を聞きまわって被害者を特定して大々的に実名報道する必要は無いはずです。

 要するに言いたいことは、AIJ投資顧問への捜査が「驚くほど悠長」だということです。運用資産の9割が「消滅している」という報道が最初から出ているのですが、これは何処から出てきた数字なのか、そもそも「ちゃんと調べた数字」なのかも分かりません。

 オリンパス事件でも、1990年代の損失が1000億円という「実際には考えにくい」数字が初期の段階で「どこからともなく」出てきて、時効の壁もあったものの最後まで「最初に1000億円の損失があった」ことを前提としてすべてが組み立てられているのです。

 AIJについて、何をさておいてもやるべきことは、資金の流れを徹底的に調べて残っている財産を早急に保全することなのです。それこそ年金加入者の大切な資産なのです。「再発の防止」や「被害者の特定」などは後回しでよいのです。

 聞くところによると関与者はまだ自由に動き回っているようで、仮に「残っている資産」がもっとあったとしても、完全に「闇の向こう」に消えてしまう恐れがあります。

 捜査体制も固まっているようには見えません。そもそも1月下旬に調査に入ったのは証券取引等監視員会の開示調査課による「任意調査」でした。これは(多分)事業報告書に関する調査の担当が開示調査課だからなのですが、そこで「資産の9割が消滅しているらしい」ことが分かった段階で、すぐに強制調査権のある「特別調査課」なり捜査機関が出てきて関係資料をすべて押収する必要があったはずなのです。

 繰り返しですが、最優先は年金加入者のために「残っている財産」を確保することなのです。あくまでも個人的感触ですが、AIJ投資顧問は最初から真面目に年金運用を行うのであれば、わざわざケイマンなどを使う必要は無かったはずで(最初から使っていたのか、損失が出始めてから使い始めたのかは不明ですが)、さらに「不自然に高い運用利回り」を誇示して直前まで運用資金の新規獲得を図っていたなど、「確信犯」的なところがあります。

 ということは、いざという時(もちろん発覚した時)のためにいろんな手を打っていたと考える方が自然なのです。「驚くほど悠長」ではいけないのです。

 話が変わりますが、2月29日付け「ドラギECB総裁のジレンマ」についてコメントを頂いています。「AIJ投資顧問の闇」には驚くほど多数のコメントを頂いているのですが、ユーロに関しての重要なご質問なので、先にお答えしておきます。

 まず、1月8日付け「ユーロ急落の本当の理由」と矛盾するというご指摘ですが、基本的に「量的緩和は通貨安」は変えていません。従ってLTRO第2弾があれば当然ユーロ安になるのですが(正確にはLTROが予想より多いとユーロ安、予想より少ないとユーロ高かもしれません)、本日の結果をみて考えてもう一度書きます。

 もう1つ、なぜギリシャをユーロに入れているのかとのご質問ですが、本誌でも歴史的背景を昨年7月に「ユーロの行方・ヨーロッパの歴史」に5回にわたって書き、昨年12月26日付け「英国のEU離脱」ではEUの前身のEECの歴史について書き、いろいろ考えています(時間がありましたら読んでみて下さい)。

 確かにギリシャはヨーロッパ文明発祥の地なのですが、それだけでは説明できません。やはり冷戦終了後のアメリカに対抗する勢力を結集する一環として、ドルに対抗する通貨として作られたのがユーロで、対アメリカという観点ではギリシャもドイツも同じ船なのでしょう。

 これは非常に奥が深いテーマなので、今後も掘り下げて考えて行きます。

 平成24年3月1日


闇株にご賛同頂けれる方は下のバナーをクリックをして頂けると助かります。
現在は「株ランキング1位」です。

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:3 | TrackBack:0
関連記事
コメント
闇株さん

なぜギリシャをユーロに入れているのかについてのご解答ありがとうございます。
深いご教養に感服いたしました。

さて、ユーロの今後ですが、中長期的にはやはりもたなくなり、「北EU」がユーロ保持するも、ギリシャという精神的紐帯の象徴を失ったドイツとフランスの中が微妙になり、ドイツはプーチンの強いロシアと一層関係を強め活路を見出す。

取りあえず、現時点ではこんな風に愚考する次第です。

今後も、ご考察を参考にユーロについて注視して参りたいと思います。
ギリシャは確かにユーロ圏のほかの国と比べて異質な国ですね。ギリシア文字を使うオルトドックスの国ですから。トルコに支配されたりなど中世以来の歴史がまるで異なりますね。EUへの帰属意識も他の西欧。中欧諸国に比べると低いかもしれませんね。
石山勲
東京年金経済研究所
元厚生省保険局医療課課長補佐
東日本文具販売厚生年金基金常務理事
AIJとコンサルタント契約を結び、害悪を振り撒いた超悪人。
天誅を下せ
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

08月 | 2017年09月 | 10月
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム