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思い切った金融緩和がやはり必要

2012年04月09日

思い切った金融緩和がやはり必要

 本年に入ってから好調が続いていた世界の株式市場が変調をきたしています。特に日本の株式市場では、2月の僅か10兆円の通貨量的緩和が世界中から「過大評価」されて急上昇していたのですが、先週末(4月6日終値)には10000円を大きく割り込んで9688円となり、同じように円安が進んでいた為替市場でもドルが3月中旬の84円台から81.60円、ユーロも同じころの111円台から106.90円と、かなり「過大評価」が剥げてきました。

 ユーロ圏では今度はスペインの財政赤字問題が深刻化しそうなことが、米国では4月3日に発表された前回のFOMCの議事録で追加緩和の可能性が遠のいたこともあるのですが、実際は雇用情勢が回復せず本格的な景気回復が程遠いことが、それぞれの変調の理由です。

 さらに日本では、マネタリーベース(紙幣プラス貨幣プラス日本銀行当座預金)が3月末で112兆4618億円と1年前に比べて微減となり、欧米に比べて積極的な金融緩和をしていなかったことが明らかになり「過大評価」がもっと剥げてしまうことになりそうです。

 何回も書いていることですが、金融緩和(特に量的緩和)の効能とは、中央銀行が景気回復に強い意志(ユーロ圏の場合は、これ加えて財政危機による混乱を回避する強い意志)を示すことになり、さらにこれに伴う株式市場の上昇(日本の場合は、これに加えて円安も)の効果と相まって市場心理が好転して経済活動(雇用や設備投資の拡大、銀行の融資姿勢の向上)が少しずつ改善して、その結果初めて実体経済が回復していくことです。

 つまり、金融緩和が直接的に経済を回復させるわけではないのですが、やはり経済を回復させる唯一の処方箋が金融緩和(特に量的緩和)なのです。

 しかし現状は世界的に金融緩和の効果が、株式市場の上昇の途中で早くも「息切れ」してしまったことになります。そこで次の一手が重要になるのですが、世界経済にとって一番まずいことは、これらの金融緩和(特に量的緩和)の効果が何回も発動しているうちに効かなくなってしまうことです。

 この辺を見極める基準はいくつかあるのですが、例えば銀行の預貸率が低下しているとそれだけ金融緩和(量的緩和)の効果が減殺されていることになります。この点では大先輩の日本は、1995年当時115%あった預貸率が現在は74%しかありません。実は米国でもリーマンショック直前で110%あった預貸率が現在は81%なのです。

 同じくリーマンショック直前に125%もあった欧州では、現在も115%程度あります。つまり欧州の銀行は伝統的に金融仲介機能(信用創造機能)が強く、常に預金より貸出が大きいのですが、欧州向けの貸出は全体の60%弱で残りは積極的にアジアや中南米などの新興国の資金需要を賄っているのです。

 こうやって見ていくと、欧州財政危機の悪影響を受けていた欧州の銀行に対してECBが巨額(昨年末から2回に分けて1兆ドル超)・長期(3年)に資金供給したことが、いかに欧州だけでなく世界経済に重要であったかが分かります。こうやってみると欧州(ECB)の金融緩和の効果が一番大きいと思われ、またECBもそれを十分に理解しているはずで必要に応じて思い切った措置をとると思われます。

 世界経済にとってもう1つまずいことは、金融緩和の効果があまり出なくなってくると中央銀行内で金融緩和(特に追加量的緩和)の弊害ばかりが強調されるようになることで、そういう意味でやや微妙なところに来ているのが米国のFRBです。金融政策を決めるFOMCのメンバーの顔ぶれを少し詳しく見てみましょう。

 まずバーナンキ議長を含む5名(2名空席)のFRB理事の全員は「ハト派」(成長重視で積極的に金融緩和を支持する)もしくは「中道派」です。ただ上院銀行委員会で先日承認され、後は上院本会議での承認を待つばかりの2名の空席を埋める理事候補は「タカ派」(インフレの警戒などで長期にわたる極端な金融緩和を支持しない)のようです。

 さらにFOMCでは、12ある連邦準備銀行のうちNY連銀を常に含む5つの連銀の総裁が1年交代で投票権を持ちます。今年はNY連銀以外に、リッチモンド、クリーブランド、アトランタ、サンフランシスコの各連銀総裁が投票権を持つのですが、この中で「タカ派」はラッカー・リッチモンド連銀総裁だけで、後は「ハト派」もしくは「中道派」です。

 12名の連邦銀行総裁全員を見てみますと、必ずしも「ハト派」が優勢ではないのですが、たまたま今年の投票権をもつ連銀総裁に「ハト派」が多いことも事実です。常に投票権を持つNY連銀のダドリー総裁も「ハト派」です。

 確かに前回のFOMC(3月13日)の議事録では追加的な金融緩和に否定的な意見が多かったのですが、当時は株式市場が上昇中であったため、現在のように株式市場も雇用情勢も低迷を始めると躊躇せずに追加緩和に踏みきるはずです。FOMCの顔触れを見る限り(タカ派と言われる新任のFRB理事2名が加わったとしても)少なくとも2012年中に既定路線である「2014年終盤まで超金融緩和を続ける」は変更されないはずです。

 日本銀行について今週(4月9~10日)に政策決定会合があるのですが、絶対に「何もしない」と思われ、「過大評価」が完全に「失望」に変わってしまうはずです。

 さらに先日、任期を終えた審議委員(政策委員会のメンバー)の後任候補となっていた外資系証券のエコノミストが国会で承認されませんでした。まあ、誰がやっても同じなのですが、こういうことまで政治の材料に使われるとなると、ますます日本銀行が本来の役割を果たせなくなってきます。

 日本銀行の本来の役割とは、一刻も早く大規模な追加量的緩和に踏み切ることであり、躊躇しているとECBやFRBが機動的に動いて、また円高・株安の悪夢が繰り返されるのです。


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コメント
FRBに関する見方は同意です。
ただ、河野龍太郎さんの件については、金融緩和に消極的な点が国会で問題とされて承認されなかったわけで、素直に考えるなら、好ましいことなのではないでしょうか。そして、この素直な見方が正しいとするなら、日銀が追加緩和に(政治の圧力を感じて)踏み切る可能性も必ずしもゼロではないと思われます。
もっとも、河野龍太郎さんは元々は積極的な金融緩和を主張するいわゆる「リフレ派」でした。それがある時期から緩和消極派に転向して現在に至るわけですが、その転向の経緯は不明瞭であり、その点を鑑みて勘ぐれば、また全く別の見方になります。その辺どうなのかな、と思っています。
量的緩和効果と株式市場との関係、また、株式市場への影響<この辺を見極める基準の一つ>として、銀行の預貸率のことを書かれていますが、どうなんでしょうか?

日銀は、2001.3~06.ゼロ金利政策のの下で量的緩和政策を実施しましたが、日経平均株価は、1989年12月38957円高値から右肩下がりで、2003.4.28日7603円安値を示現し、右肩上がりに転換。では、この量的緩和策の効果が、03.4.28日日経平均株価7603円で底打ちし、上昇に転換したとと位置付けなんてできないと思います。

リーマンショック、ユーロ圏財政危機、日本のバブル崩壊での量的緩和政策では、長期国債買い入れを実施し、金融機関の預貸率は、量的緩和にもより高くても、経済状況から設備投資する企業も少なく、金融機関は、貸し出し金に対するリスクから貸し出しを渋る傾向。

米国においては、FRBが長期国債買い入れ、短期国債を処分するツイスト・オペで長期金利上昇を抑える政策。

NYダウは、リーマンショック08.9.15日破綻。9月高値11790ドルを2011.1月高値12020ドルでリーマンショック前の高値を超え、2012.3月高値13289ドルは、2007.10月高値14198ドルまで909ドル。

それに対して、日経平均株価は、2008.10月6994円安値で、9月高値12940円で、NYダウは、リーマンショック前の9月高値を超えているのに、日経平均は、2010.4月高値11408円で、ショック前の高値超えもしていませんから、量的緩和から株価動向を捉えるのは、いかがでしょうか?

日本においては、最近、給与が増加していないのに、個人消費が増加傾向にあります。スーパー、外食産業売上増加していますから、消費者心理に変化が見られますけど、給与が増加していないのに、個人消費が上向くこととの関係の説明なんて無理かと!

株式市場は「需給」ですから!それを、経済評論家の如く量的緩和と株式市場とを見るからか本日の記事にもなるのかと!トレーダーなら、そんな見方はしないかと・・・
日本の株式市場の観点から、量的緩和と言われているなら、その発言に対して疑問に思いますけど!

規制緩和しない日本に対して外資企業が進出なんてしませんし、今や、欧米国の目は、中国13億人、印度10億人国への投資でしょうから。

また、GDPの約2倍の借金大国に対しても外資は期待薄なのではないかと、東証と大証との企業統合からしても世界の株式市場に対抗できないからであり、量的緩和政策は、対症療法的なものかと思いますけど。世界の投資資金が集まる環境じゃなってことかと思いますけど。

そして、デフレ脱却もできないのに、消費税率引き上げ法案ですから、外人からは、ソッポを向かれるのではないでしょうか!

最終的には、ファンダメンタルズでしょうが、株式市場は需給かと・・・
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