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国家の威信

2012年04月11日

国家の威信

 映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」では、英国領・フォークランド諸島の領有をめぐってアルゼンチンとの戦闘開始を決断するシーンが出てきます。

 フォークランド諸島はアルゼンチンの大西洋沖合の南極寄り(従ってかなり寒冷地)にあり、英国に残された数少ない海外領地なのですが特に経済的・政治的に重要とは言えず、実際にフォークランド諸島民の生活は強くアルゼンチンと結びついていました。

 1982年4月にアルゼンチン海軍がこのフォークランド諸島を侵略したとして、英国政府が大規模に海軍を派遣して戦闘状態になるのですが、その派遣は英国政府内や海軍内の消極意見や米国政府の干渉を一蹴して、当時のサッチャー首相が決断したものです。結果は、英国海軍にかなりの犠牲者が出たのですが2か月後にフォークランド諸島を奪回しました。

 そのシーンが映画にも出来るのですが、サッチャーは「人命に代えてでも英国領土を守る。領土は国家そのものである」と言い放ちます。

 翻って現在のわが日本では、韓国が竹島を占領しようとも、中国が尖閣列島を占領しようとも、北朝鮮が日本の領土に向かってミサイルを発射しようとも「全く他人事」です。

 北朝鮮にしても、間違っても北(ロシア)や西(中国)や東(届かないけど米国)にミサイルを向けず、唯一報復されない南(日本)に向けて発射するのです。

 そもそも領土とは、仮に全く経済的価値のない無人島でも領有権を侵害されたならば「国家の威信」をかけて断固として戦わなければならないのです。ましては竹島も尖閣列島も膨大な地下資源を含む海洋の領有権がかかっているのです。

 領土問題や、ミサイルによって領土や国民に危険が及ぶかもしれない問題に対して責任があるはずの野田首相や田中防衛大臣や玄葉外務大臣から、サッチャーの1000分の1の発言も出てきません。つまり日本の指導者が全く「国家の尊厳」に無頓着なのです。

 その理由は官僚が特に問題にしていないからで、野田内閣としても官僚にあれこれ指図されることがないのでこれ幸いと何もしないのです。日本の指導者としての責任も自覚もあったものではありません。

 官僚とは、自分より強い相手や、省益を損なうかもしれない相手とは絶対に戦いません。だから強い(と思っているらしい)外国政府には徹底的に従順で、外務省としても本当に外国政府と喧嘩してしまうと矢面に立たなければならないからです。

 こういう国家の威信にかかわる問題や、国民全体の利益にかかわる問題(消費増税を一時的にでも棚上げする決断など)は官僚ではなく政権の中枢にいる政治家の責任なのです。

 これ以上続けると止まらなくなるのでこの辺にしますが、よかったら昨年8月18日付け「次期首相の資質  その1」と8月19日付け「同、その2」だけでも読んでみて下さい。ちょうど野田首相が選ばれる直前の記事ですが、やっぱり心配した通りでした。

 余った紙面で、フォークランド直後にサッチャーが取り組んだ香港返還交渉について少し触れておきます。

 フォークランドで大勝利し国内の人気も急上昇したサッチャーが、余勢をかってとり組んだのが香港島および九龍半島南部における英国主権の延長問題でした。

 正確に言うと、香港島と九龍半島南部は1842年の南京条約(アヘン戦争の講和条約)で英国が清国から譲渡されており、九龍半島北部の新界地区は緩衝地として1997年まで英国が租借していました。しかし中国人民共和国政府は香港島・九龍半島南部・新界すべてが英国に占領されている中国固有の領土だと主張していました。

 英国は1997年に新界の租借権だけ返還し、香港島と九龍半島南部は引き続き領有するつもりで、中国の土地の賃借契約期間(中国では土地の私有が認められていない)である15年前の1982年頃までに話をまとめようとしたのです。

 サッチャーは1982年9月に訪中して小平と対峙したのですが、あまりにも主権を主張し過ぎ、また香港での資本主義の効果を強く言い過ぎたため小平も態度を硬化させて、武力行使や新界から供給している水・電気を止めてでも香港を「回収」すると言い放ちました。これはサッチャーの完敗で、ショックからか会見場を出る時に蹴躓いてしまいました(これを含めて香港の話題は映画に出てきません)。

 今から考えると、小平もその時点では資本主義の香港を中国領土にした場合の対応までは全く考えていなかったはずです。しかしこれをきっかけに共産主義と資本主義の整合を懸命に考え、1992年の南巡(南方)講和、1997年の香港返還時の一国二制度などを経て、現在の資本主義を取り入れた中国経済体制が生まれてくるのです。

 そう考えると、香港も近い将来に中国の体制の中に完全に取り込まれていくはずです。


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コメント
え!
「消費増税を一時的にでも棚上げ」...。
え? ブロ主さんも、消費増税容認だったのですか?。
私は、基本的に税制は累進所得税のみの、
単一体系がベストと考えます。
それは、金使い下手が、際限なく欲する税金を、
欲するだけ、二重取りができる間接税制度は、
本来的にペテン士が作る悪税だからです。
しかも、国民から抜き取った金を戻り税という
名目でこのデフレ下の最上流に還流させている
こと自体が格差社会を助長する悪制促進税制と
いう実態が明白になっています。
まず指摘しておかなければならないことは、尖閣列島と竹島はまったく事情が異なるということです。

尖閣列島は実効支配してるのが日本であり、竹島は韓国が実効支配しているということです。つまり、尖閣列島と竹島では日本の立場は逆ということになります。つまり、現状で尖閣列島に関しては日本は満足、中国は不満竹島問題に関しては韓国は本来は満足、日本は不満があるということです。

尖閣列島を日本が実効支配しているというのは、日米安保の対象だとアメリカが言明していることから国際的にはそう認められているとみていいでしょう。

ちなみに北方領土など日本が実効支配していない地域は日米安保の対象外です。

実効支配している側は、通常はなるべくトラブルを起こさず、相手が諦めるのをゆっくり待つというのが基本的姿勢でしょう。尖閣列島問題でいたずらに中国を刺激すべきではないでしょう。小泉時代ですら、尖閣列島上陸した中国人や台湾人は逮捕などされずそのまま強制送還されたのですから。

竹島に関しては、日本のほうが国際問題化する意志があってしかるべきですが、2008年にアメリカの公的機関である地名委員会が国務長官を通じた大統領の指示で竹島が韓国領とした(これは報道されています)のにたいし日本政府が何の抗議もしなかった時点で終わってしまった話。なぜか当時は問題にもされなかったんですが。
>香港も近い将来に中国の体制の中に完全に取り込まれていくはずです

どうでしょうかねえ。香港が中国に復帰した時に中国の言う一国二制度に懐疑的で香港人の自由などたちまち奪われるだろうという人がほとんどだったと思います。

復帰後十年以上たっていますが、何とか一国二制度は守られています。

中国の経済制度は資本主義そのものと言っていいでしょう。で、政治制度ですが、これが共産主義かというと、共産主義というのは経済制度の事であり、経済制度が資本主義で政治制度が共産主義ということはあり得ません。

株式市場があるといううこともありますが、何年か前の全人代で、個人の資産を保護といいうことが言われています。個人の資産を保護しては共産主義はありえませんから、実質的には共産主義の放棄をうたったも同然です。

共産主義を行うための共産党一党独裁ですから共産主義を実質放棄となれば一党独裁する根拠が問われることになるでしょう。

すでに温家宝など、複数政党制を含め上からの民主化をもくろんでいると言われていますが、今後大きな動きが出てくる可能性もあると思います。

そういう動きが日本にとって不利な状況を作らないように、日本政府はしっかりした人脈を中国の中に築いておくべきでしょう
望みたいのはむかし学生運動をしていたような政治屋によるいまのような運営(?)ではなく、かの『盾の会』のDNAを継いだこころのサムライによるザ・日本人としての誇りでしょう。
“国家の尊厳”を強調するには”POWER(軍事力)”が必要です。我国に軍備は存在すれども、使い方は分からないようです。日米安保についても有事の際、米国が日本国民を守るために、即時対応してくれるとはとても思えません。多数の犠牲者が出て初めて”発動”の段階に入ると思われます。 核武装論は、国民性に相容れるものではないと思われ、実際に核の被害は広島、長崎、福島で絶対に止めるべきでしょう。

ここで筆者に是非お願いしたいのですが、重度の平和ボケに首まで浸かってしまった我国家国民に、どうやって真の”国家の尊厳”を理解してもらい、回復させれば良いのかを書いていただきたい。 官僚のせいにするのは簡単ですが、筆者の言うどうしようもなく保守的な、当方に言わせればどうともしがたい奴隷根性的な、有権者あっての議会であり、官僚であるはずです。 
ユーフォリアを伴う勇ましさより

現実認識を伴う戦略が必要でしょう

中韓には居丈高なのにアメリカに対してはポチの様に振る舞う事こそがこれら諸国からバカにされる結果をもたらしてます。先年の尖閣列島問題は米中で協議され、その結果半ばクリントン国務長官から命令される形で前原氏は中国人船長を釈放させざるを得なくなったのです。日本に関わる問題が米中協議で決定したことになります。

中韓や北朝鮮はどうせ日本はアメリカのいうことをほとんど全て聞くのだろうからと日本政府は相手にせず、アメリカと直接交渉。日本はないがしろにされた形ですべてが決まっていく。こんなんでどこが国家の尊厳でしょうか?

自らオフショア・バランシングの罠の中に入り込みバカにされる愚は避けるべきでしょう
 武力行使も辞さない勇ましさは国際情勢と勝算をよく考えてなされるべきでしょう。 
 フォークランド戦争に関してはアルゼンチンは英国に対して辛抱強く返還交渉を重ねていたのが、軍事政権の人気取りということもあって、居丈高に軍事力を行使して占拠をしたのが発端です。つまり「勇ましさ」を最初に発揮したのはアルゼンチンの側です。しかしどうせ棄民政策の対象となっていたこの島に対してイギリスは本気で反撃などしないだろうという大方の予想を裏切って、サッチャーが反撃をしたためにあのような結果になったわけです。
 竹島問題は内藤正中の著作を読むと、韓国側にも相当の根拠があるようで、少なくとも明治初期までは双方において韓国領と信じていた側面も認められるようです。転回点となったのは、1904年に地元民の中井養一郎が竹島(リャンコ島)でのアシカ漁の許可を「韓国から」得てほしいと日本政府に申し入れたところ、同島が国際条約上未登録であったことに気がついた日本政府が、韓国に通知することなく登録をしたことのようです。国際法上は合法ではないかという考えもありますが、韓国が竹島を一定期間実効支配すると、これも国際法上は韓国領土として「合法」的に認められます。
 日本政府は、国際司法裁判所で決着させたいという申し入れを日韓国交正常化交渉当時は口頭でしていたのが、その後は文書で伝えるのみにしているのも、韓国側の主張が意外に手強いことに気がついたからとされています。
 韓国にとって竹島はパールハーバーのようなもので、侵略はここから始まったと位置づけられており、これを日本が軍事的に占拠すれば、先の大戦の記憶と結びつけて韓中ロ+北朝鮮?あたりが一体となって日本を非難することは目に見えていますから、外交的にはかなり不利な状況が生じます。慰安婦、南京大虐殺などの宣伝も重ねられるでしょう。
 さらに怖いのは沖ノ鳥島問題を持ち出されることで、これが「岩」にすぎないと主張されると排他的経済水域が壊滅的に減ってしまい、その影響は竹島あたりの比ではありません。
 したがって竹島問題は外交的に考えると手詰まり状態で、できることといえば、ときどき韓国を挑発し、相手がそれに軍事的に応じることで紛争化させ、実効支配のタイムカウントを元に戻すことくらいではないかと愚考します。なかなか「勇ましい」解決ができるような状況とは思えません。
「北朝鮮が日本の領土に向かってミサイルを発射」などと書いた段階で、ああ、この人全くの無知なんだな、と思いました。

人工衛星搭載ロケットは、「必ず」「全て」地球の自転方向である東に向かって打ち上げます。小学生向けの学習漫画にさえ、必ず書いてある常識中の常識! 朝鮮半島からは、韓国も衛星を打ち上げていますが、どっちへ向けて打ち上げているのか一度ご自分で調べてみてはいかがですか? 日本付近やモロ上空を何度通ったんでしょうねえ? それにたいし、「万一に備えて」迎撃ミサイルだなんだと、一度だって、あれほど大騒ぎしましたか?

私、先週はマレーシアにいたのですが、現地の新聞は英字紙も華字紙もあっさりと「朝鮮、衛星発射に失敗」「残骸の捜索に各国の関心」と実にあっさりした扱いでしたよ。世界の大半のメディアは「ミサイル」じゃなく「ロケット」と表記しているし。第三国から見れば、情報操作で対外憎悪を煽り立ててばかりいる国はきっと気持ち悪い存在だろうな、と改めて気分を悪くしました。
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