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証券取引等監視委員会の「果敢」な処分勧告

2012年04月16日

証券取引等監視委員会の「果敢」な処分勧告

 先週末の4月13日に証券取引等監視委員会がSMBC日興証券に対し、同社の営業担当役員が企業の増資情報を公表前に営業店に伝えたのは「重大は法令違反」だとして金融庁に処分を勧告したと発表しました。

 一連の増資をめぐるインサイダー取引などの不公正取引を一掃するための証券取引等監視委員会の強い決意の表れですが、先月の中央三井アセット信託銀行のインサイダー取引(3月23日付け「何かすっきりしない増資インサイダー摘発  その1」と3月26日付け「同、その2」に詳しく書いてあります)と合わせて、「非常に矮小な部分をわざわざ大げさに摘発し、明らかに問題視しなければならない外国人投資家や外資系証券などによる根本的問題から意識的に目をそらさせようとしている」としか思えないのです。

 問題とされているSMBC日興証券が主幹事を務めたメガバンクの増資とは、2009年5月に発表された三井住友フィナンシャルグループによる2億1970万株の新株発行のことと思われます。また三井住友フィナンシャルグループは翌2010年1月にも3億4000万株の新株発行をしていますが、ここでは省略します。

 2009年5月の三井住友フィナンシャルグループの新株発行とは、国内分が1億220万株、海外分が1億1750万株で、それぞれグローバル・コーディネーターに指名されていた大和証券SMBC(国内分)とGoldman Sachs International(海外分)が取りまとめを務めています(この2社が356億円もあった手数料の配分が一番大きく、また新株発行に際して合法的トレーディングの収益もかなり上げたはずです)。

 因みに勧告の対象となったSMBC日興証券(当時は日興シティグループ証券)は、主幹事と言っても国内分の1124万株の割り当て(全体の5%程度)を受けただけでした。

 三井住友グループは、この新株発行の直前である2009年5月1日にCity Groupから日興コーディアル証券と日興シティグループ証券を合計5450億円で取得することを発表しており、新たに子会社となるホールセールを行う日興シティグループ証券(当時)への「支援」の一環だったのでしょう。因みに日興シティグループ証券の手数料は18億円でした。

 一方、この新株発行の国内分の取りまとめを努めて5621万株を引き受け、海外分でもDaiwa Securities SMBC Europeが主幹事に入り込んでいる大和証券SMBCは、大和証券本社と三井住友フィナンシャルグループの合弁会社(60:40)だったのですが、2009年9月に合弁を解消しています。余談ですが、この点については明らかに三井住友に経営危機を救ってもらった大和証券の「食い逃げ」で、最近再び経営危機に陥った大和証券が三井住友に秋波を送っているようですが、うまくいけば野村証券が手に入るかもしれない三井住友が無視しています。

 さて、この新株発行を含めたこの時期の一連のメガバンクの巨額な新株発行については、「闇株新聞」を書き始めた直後の一昨年10月17日付け「エクイティファイナンスの裏側 儲けたのは誰だ? Part3」で数々の問題点を書いてあります。当時は日刊ではなく非常に長い原稿となっていますが、メガバンクの新株発行のとんでもなさ、特に三井住友についてはGoldman Sachsとの「とんでもなく不明朗」な取引について詳しく書いてありますので、ぜひ読んでみて下さい。

 「闇株新聞」を書き始めた直後に書きたかったほど問題の多いメガバンクの新株発行のなかで、そのうちの1つのわずか5%ほどを販売しただけの日興シティグループ証券(当時)の販売姿勢だけが将来問題視されることになるとは、当時も夢にも思いませんでした。それほど「どうでもよいポジションにいただけ」の会社だったのです。

 その「どうでもよいポジションにいただけ」のSMBC日興証券(現社名)が、当該増資情報の公開前に営業担当役員が営業店に伝えたことが「重大な法令違反」だとされたのです。まあ「法令違反」であることには違いないのですが、べつにその情報をもとにインサイダー取引があったわけでもないようです。ただ行政処分が勧告されてしまうと、関係者の処分や改善報告書の提出などを求められることになり、今後の証券市場に対する影響は小さくありません。

 増資に関する「不公正取引」とは、主に外国人投資家(ヘッジファンドなど)とこれと組んだ外国証券(日本の証券会社の海外法人を含む)の大がかりな(公表以前の事前需要予測や貸株の提供などを含む)取引が、主に国内の既存株主の損失を踏み台にして行われており、これによって短期間で巨額の利益や引き受け手数料が発生していること以外にあるはずがありません。

 さらに言うと、これらの巨額増資はこういった仕組なしでは成功しないことも、発行会社を含む参加者全員が理解しているはずなのです。

 これらの根本的な問題に目をつぶり、矮小化された事例(別に違反でないとは言っていません)だけを「重大な法令違反として」証券取引等監視委員会が「果敢」に摘発したのです。

 証券取引等監視委員会とは字のごとく委員長以下3名の委員によって構成され、実際に全体の動きを統率しており決して「お飾り」ではありません。現任の佐渡委員長は元福岡高検検事長、他の2名の委員は公認会計士と弁護士です。また現場の主要ポストは検察庁からの出向者で占められています。つまり市場を理解している幹部がどこにもいないのです(平成22年末までは野村証券OBの熊野委員がいましたが退任後は証券会社の出身者がいなくなりました。これも野村証券の渡部・柴田の「政治的センスの欠落」の結果です)。

 地方も入れて700名の人員を抱え、証券市場の監視・摘発に唯一の強力権限者である証券取引等監視委員会の、明らかに証券市場の「本当の問題」から目をそらした行動には違和感を覚えないではいられないのです。

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コメント
公募増資時に引受幹事証券会社等が、買い取り引受する新株発行情報を事前に流す行為は、当新聞執筆者からご指摘があったことで、今までは黙認されていたってこと。

公募増資発表前の株価推移、証金<日証金>会社の貸株急増、信用売り残急増から、不可思議とは個人的に感じていました。

その公募増資による個人投資家への影響ですけど、株価の動きは誰にも予測は難しいものの、多くの公募増資銘柄の株価は、増資後に下落していることが多いかと思います。

そのことは、公募増資の仕組みを考えれば明白かと思います。

公募増資発行会社は資金調達、買い取り引受証券会社は手数料、増資株取得した証券会社等法人は出資しても損失は出したくない算盤勘定<借株を調達し利益確保の空売りをし、取得株券で現渡し決済>の三位一体ですから、シャンシャンシャンの構造。

具体的銘柄で、5738<住友軽金属>は、平成23年5月19日17時に公募増資の情報開示がありました。金融庁による公募増資時の空売り規制は23年12月1日からです。

5738<住友軽金属>23.5.19日17時発表
1.公募増資<一般募集>
引受会社・・SMBC日興・・・発行価格ー払い込み価格の差額が日興の利益

2.オーバーアロットメントによる売り出し
  上限株数  1950万株・・・日興が株主から株券を借りた株券を売り出す・・・後日、日興は、第3者割り当てられた株券を返却する。
  売り出し人 SMBC日興

発行及び売り出し価格:77円
払い込み価格:73.48円<1株3.52円利益・利益率4.78%>
公募増資手数料:4億5760万円
売り出し手数料:6864万円
※手数料:77円ー73.48円差額

<日証金>
      <出来高>  <日証金・貸し株残>

5月16日 381.6万株   18.9万株
  17日  57.3万株   18.3万株
  18日 126.7万株   18.9万株
  19日  62.5万株  216.3万株・・・新規申し込み197.7万株

公募増資発表があった5月19日の日証金新規貸株申し込みが、197.7万株・出来高62.5万株。5月13日の信用売り残高は、391,000株でしたから、自己貸株から証券会社が日証金へ付け替えしたのでもありません。

これは、大引け後、時間外取引で新規信用売り建て増加、或いは、市場外でも信用取引はできますから、市場外での新規信用売り建てがあったと考えるのが妥当かと思います。

※市場外の信用取引は、8013<ナイガイ>で、大株主・エッシモが、過去、期日到来した信用買い建て株数をクロスでしていました。立花証券利用。

このことは、19日に公募増資発表がなされた結果からと思います。


公募増資時の空売り規制施行後、7261<マツダ>が24年2月22日に公募増資等を発表。前日19日昼休みにロイターが公募増資報道。


1.公募増資による新株発行<一般募集>
募集株数   10億9975万株

共同主幹事会社:SMBC日興証券

2.オーバーアロットメントによる売り出し

1億1925万株<一般募集株式の15%以内が限度ですから>・上限株数

売り出し人・SMBC日興証券

発行価格及び売り出し価格 124円
払い込み価格118.88円<1株5.12円利益・利益率4.30%>

共同引受会社利益<手数料>111億1728万円

売り出し会社利益<手数料>6億1056万円

信用残高推移  <売り残>      <買い残>
1月27日    5,365,000  23,607,000
2月3日     6,860,000  23,921,000
  10日   12,631,000  15,581,000
  17日   18,151,000  18,955,000
  24日   46,903,000  35,063,000
3月2日    83,870,000  58,469,000

公募増資発表前の2月10日、17日に3日の信用売り残高からは売り残急増していますから、公募増資発表前なら増資株取得しても空売り規制を受けませんから、子の信用売り増加は、事前に公募増資株を売り捌くのに、照会されたいたんじゃないでしょうか。

※公募増資発表後の金融庁の空売り規制は、発表後から発行価格決定日までの間に、空売り建て人は、公募増資等株の取得はできない<現渡し決済防止>んですけど、発表前なら、空売り建て<つなぎ売りであり利益確保>をし、公募増資株の取得をして現渡し決済できますから、ザルで水を掬う規制措置!

月21日昼休みにロイターが公募増資方針と報道。

2月21日
前場出来高   1285万6000株
後場出来高 1億6744万4000株<138円~149円>と、ロイター報道で出来高急増。

21日<日証金>
       <貸株>
新規  1648万1000株
返済    69万8000株
残   2011万1000株

要するにルールって、証券会社に都合良くできていますから・・個人投資家は、それら<公募増資等の仕組み>を知らなくても株式売買はできますが、知っていれば、売買に役立つかと思います。



4月16日<月>11:30分

トンビさん/証券取引等監視委員会の「果敢」な処分勧告 (04/16)

と最新コメント表示にありますけど、コメント欄では、このコメントは管理者の承認待ちと表示されています。
問題の増資は2010年の方だと思います。
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2012/04/70666.php
SS様のいうように、2010年の増資です。↓が内情に詳しいようです。

http://www.nikkosos.jp/
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