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ギリシャよりはるかに難問のスペイン危機

2012年04月19日

ギリシャよりはるかに難問のスペイン危機

 昨日(4月17日)のNY株式は、スペイン短期国債(30億ユーロ)の入札が無難に終わったことから194ドルもの上昇となりました。ここのところNY株式に(従って日本を含む世界の株式に)最大の影響を及ぼしているのがこのスペイン債務問題のようです。

 スペインのGDPは約1.4兆ドル(世界第12位)とギリシャの約5倍もあり、直近の失業率は22.9%とギリシャの21.8%よりひどく、若年層に限ると50%を超えています(これはギリシャも同じ)。要するに「ギリシャの5倍の経済規模を持つスペインの経済状況が、ギリシャと同じくらい悲惨」なのです。

 スペインの公的債務残高が急増中とはいえまだGDP比80%程度であるとか、スペイン人はギリシャ人よりは働くとか、スペインではギリシャ危機の根本的原因である一部富裕層による国有財産の海外隠匿と脱税がそれほど極端でないなど、やや救われる要因もあるのですが、いずれにしても今年の世界経済を取り巻くメインイベントになることは間違いありません。

 そこで、スペイン危機がどのようにユーロの枠組みや世界経済に悪影響をもたらすかを、歴史的考証を含めて2回にわけて書くことにします。

 その前にIMFの資金増強に対する野田政権の「異常なほどのサービスぶり」について書いておく必要があります。

 そもそもIMF(国際通貨基金)とは、1944年のブレトンウッズ協定で世界銀行(国際復興開発銀行)と共に創設されました。本部はワシントンにあるのですが歴代の代表が欧州から出されているように、どちらかと言えば世界銀行が米国の、IMFが欧州のそれぞれの意向をより反映しているようです。

 従ってIMFがユーロ圏の債務問題対策を重要視することは当然なのですが、そもそもユーロ圏の危機対策はESFS(欧州金融安定基金)と、それを引き継ぐESM(欧州安定メカニズム)が前面に立つもので、IMFの役割はあくまでも補助的かつ非常事態に限られるものです。つまりIMFのユーロ圏での政治的地位の拡大という多分に政治的な思惑が透けて見えます。

 今回の資本増強についても、最大出資国である米国は当然協力せず、欧州各国にしても新設のESMへの資金拠出を優先すべきであるため二重負担になり、そもそも中国をはじめとする新興国は「全くの他人事」なのです。そこへ「ギリシャよりひどい財政状態」のはずの日本がポンと600億ドルも約束したのです。因みにIMFの篠原副専務理事は財務省の出身です。

 つまり、600億ドルが多いか少ないかの前に「何の効果があるのか?」なのです。

 安住財務大臣は「日本の消費税引き上げに強い理解を貰った」とか「言うべきことは言わせて貰う」などと無邪気にはしゃいでいますが、仮にIMFがユーロ危機に支援したところでそれはIMFの欧州における発言力が強まるだけで、IMFを通じて資金協力しただけの日本がユーロ諸国に何か発言できるはずがないのです。

 三井住友銀行から融資を受けているオリンパスに、三井住友銀行の預金者が何か要求しに行っても追い返されるだけなのと同じです。

 さらに、今回の600億ドルの資金協力はIMFへ出資ではなく、単なる貸付金でIMFに対する発言力の強化にもなっていません。ただ公平を期すために書いておきますと、リーマンショック後にも日本はIMFに1000億ドルもの緊急融資をしていたのですが、これが半分くらい返済されているので、今回は基本的にその分を改めて貸出すということになります。

 本日、「日本に続いて」北欧3国が合計263億ドルの資金協力を決めたと報道されていますが、これはそれぞれの国会決議が要るはずで(日本と違って民主的なのです)まだ流動的です。

 日本の場合、最終的には「いくらかの協力」をするにしても、国民の税金を使うのならもう少し「国策」を考えた使い方をすべきなのです。また日本が「何の国民の承認も得ずに」600億ドルを勝手にIMFに出せるのは、外為資金特別会計という「国民のチェックが全く働かない壮大なブラックボックス」を使うからです。まあ、すでに取得している外貨(ドル)の運用先を変更するだけで、新たに政府短期証券を発行してドルを調達する必要は無いのかもしれませんが、本来は国民の財産なのでもう少し「国益」につながる使い方をする必要があると思うのです。

 最後に、コメントを頂いているのですが昨日「政府紙幣」について書いた時に「政府が4.8兆円の紙幣を刷ってそれでドルを購入して支払う」と書いたのは、あくまでも巷間言われている「デフレ対策のために政府紙幣を発行する」となると、政府がただ紙幣を刷って公務員の給料や戦闘機の購入などに充てることと並んで「こういう使い方になる」として書いたものです。

 これだと多少インフレにはなっても、究極的に守らなければならない「通貨(円)の信認」を損ねてしまうため、やはり「暴論」だと確信しているのです。

 結局、スペインについて書かないうちに紙面が無くなってしまいましたので、明日に続きます。

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コメント
>2012年04月19日 ギリシャよりはるかに難問のスペイン危機 <

記事で、>コメントを頂いているのですが昨日「政府紙幣」について書いた時に「政府が4.8兆円の紙幣を刷ってそれでドルを購入して支払う」と書いたのは・・・<

とされてはいますが、

>2012年04月18日 もう一度考える「日銀券」「政府紙幣」「永久国債」<

記事で、>最近約束してきたIMFへの600億ドルの増資のために紙幣を刷ってこれを外為市場でドルに換えて支払うようなことになるのです<

と書かれていますから、文脈、18日及び19日記事からしまして、方便とまでは言いませんが、単純ミスかと思います。

マスコミ責任もありますが、この特別会計予算をもっと掘り下げていかないとと思いますけど。

話は、異なりますが、原価が上がっても利益が増加するのが、総括原価×3%方式の電力会社。製造会社は原価上昇しても簡単には、販売価格への転嫁はできませんから。

東電が債務超過とならないのは、原子力損害賠償支援機構法施行で、交付国債は資産計上されるカラクリ。この交付国債資金は特別負担金として返還義務がありますから、実態は借入金ですけど、負債計上ではなく資産計上されていますから、債務超過決算とはならない仕組みです。

今後は、資本増強の資本政策でしょうね!

福井県・大飯原子力発電所の再稼働問題は、どうも、先に再稼働があり、その根拠を後付けしている感じですね。関西地方は、関東地方等よりも原子力発電への依存が大きいんですけど、電力使用量を2010年度の猛暑時のピーク時から割り出し、夏に電力が不足すると。そして、ピーク時の頃に揚水発電所の定期検査をすることのようですね。こんなカラクリで、電力不足計算から、大飯原子力発電所の再稼働ありきの様子!また、火力発電所の稼働率も少なくした計算もですね!!

事故発生時の国民への健康被害の配慮なんて微塵もありませんから!

そして、政治家は官僚の僕となっていて、再稼働も官僚のいいなり・・千谷氏登場も、官僚が、枝野経済産業大臣を囲い込むため<千谷~枝野ラインを利用>。




スペインを救うには6千億ドルくらい出さないといけないのではないでしょうか
欧州全体への影響を考えると、救わないという選択肢はありえないと思います
流石にそれくらいの大金を出せば、世界も日本を見直すかと
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