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「無駄撃ち」になりそうな追加量的緩和  その2

2012年05月01日

「無駄撃ち」になりそうな追加量的緩和  その2

 昨日の続きです。

 まず追加量的緩和の効果とは、それ自体が銀行貸出の増加や経済活動の活発化を直接的に引き起こすのではなく、まず株高とか円安にしてその心理効果と資産効果で実体経済が回復するのを待つ「時間稼ぎ」でしかありません。それが世界の共通認識なのです。

 だから中央銀行は内外(特に海外)に向けて、経済を回復させるために緩和すると「強いメッセージ」を発信しないと何の効果も出てこないのです。

 従って、特に最近の日銀総裁の「いかにもいやいやながらで、すぐにでも止めてしまいたい量的緩和」というような態度は、著しく効果を減殺します。世界のヘッジファンドなどの投機筋はその辺の「真意」を敏感に読み取ります。

 つまり、先週の追加量的緩和は「もう最後ですよ」というメッセージがはっきりと感じ取られるので、効果としては「マイナス」でしかないのです。

 もう1つ、中央銀行の発表は「正確」でなければなりません。別に日本銀行の発表が「嘘」だという訳ではないのですが、意識的としか思えないほど「不正確」なものが多いのも事実です。

 例えば、今回65兆円から70兆円に「増額」された資産買入れ等の基金は2010年10月に導入されたのですが(当時は35兆円)、実はそのうちの30兆円は2009年12月に導入されていた「固定金利資金供給オペ」をそのまま取り込んだもので、基金の導入時には既に22兆円以上の残高がありました。

 つまり、2010年10月に新たに導入された資産買入れ等の基金は「わずか5兆円」だったのです(だからわざわざ「等」と入れてあったのです)。それが何回か増額されて今回の量的緩和で「やっと40兆円(うち長期国債29兆円)」に増額されたのです。つまり増額された基金総額70兆円で、そのうち資金供給オペは5兆円減額されて30兆円になるので資産買い入れ枠が40兆円となります。

 最初からそう発表されていれば随分イメージが違ったはずです。明らかに「誇大開示」だったわけで、「実は大規模な量的緩和でも何でもなかった」のです。

 因みに「本当の」資産買入れ等の基金40兆円のうち、2012年3月末現在の残高が14兆円のため、あと26兆円の買入れ余力(大半が残存1~3年の国債)が出来て、やっと「買入れ基金」と言える代物になりました。それからはっきりと「残高目標」と書かれているので、買入れた国債などが償還になってもさすがに補充してくれるはずです。

 というのも、日本銀行はこれ以外に長期国債(償還期限は全期間)を月額1兆8000億円(年額21兆6000億円)も買い入れていると強調しているのですが、2011年4月~2012年3月の1年間に日本銀行の保有国債は6兆円増えているだけなのです。

 当然日本銀行の保有国債にも償還があるからで、日本銀行が年間21兆6000億円の国債を買い入れていることは事実なのですが、本来、中央銀行の国債購入とは市中に資金を「半永久的」に供給して経済を拡大させる「強力なオペレーション」というイメージが強いのです。ところが実際は「半永久的」な供給が年間6兆円で、残る年間15兆円は市中にある国債の償還を「前倒しさせているだけ」で、イメージが全く違うのです。

 要するに日本銀行の発表には、意識的と思える「不正確さ」がかなりあり、金融市場に「誤解」を与えていることが多く、いつか「しっぺ返し」を受けることになるのです。

 話を戻しますが、今回「ほぼ最後だと読まれている追加量的緩和」を行ってしまった後に「円高」が進んだ場合、実はもう1つだけ「方法」があります。

 2012年3月末の日本銀行バランスシートは、資産勘定である39.0兆円の貸付(うち34.6兆円が資産買入れ等基金に入れられている固定金利資金供給オペ)、負債勘定である34.4兆円の当座預金残高があります。

 そもそも「量的緩和」とは、中央銀行が資産(国債や貸付)と負債(当座預金)を両方膨らませて「緩和」のメッセージを送ることなのでそれはそれでよいのですが、この固定金利資金供給オペの金利と当座預金につく金利がともに0.1%なのです。

 これを両方とも0.05%に下げると、現在0.1%に張り付いている2年国債の利回りも0.05%程度まで下がるはずです。そうすると現在0.25%程度の米国2年国債との利回り差が拡大し「円安」になるはずです。

 「経済評論家」が好んで使う理論なのですが、実際には、日米2年国債の利回り差が多少拡大したからと言って、わざわざ日本国債から米国国債に(為替リスクを取って)乗り換える投資家が出てきて円安になるわけではなく、円安は(米国経済の回復など)その時の日米両国の経済状況の違いを反映するので必然的に日米2年国債利回り差も拡大しているだけなのです。つまり「因果関係」が全く逆なのですが、「経済評論家」にウケると思うので多分効果(円安)が出ると思います。
 
 残念ながら日本銀行の方は「本誌」を読んでいないと思いますし、仮に「たまたま」読んだとしても「取り合わない」と思いますが、一応真面目に提言しているのです。

 昨日「憂慮」した通り、NY時間になって円・ドル相場は79円台に突入しています。

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コメント
究極の円高デフレ対策は日銀か無限に円をすってゴールドを買うことと思います。今後世界中の中央銀行は無限に札をするでしょう。しかし錬金術が発見されないかぎりゴールドは刷れません。日銀も円を刷ってもドル、日本国債などリスキーな資産しかなくそこがポイントなんでしょうね。
日銀の人材や政府与党、野党のシンクタンクにこういう事がわかる人材は全くいないということなのでしょうか?

財務省から出向でFRBに人材を送るとか、アメリカのファンドビジネスのスペシャリストをシンクタンクに招くとか、しないものなんですかね?

それこそ先生の存在にすら気づかない政府の情報網って、どこまでザルなんでしょうか?
まぁ海外には平気で情報をダダ漏れさせてるような国ですから仕方ないのかも知れませんが・・・
実は円高のうちに海外市場に日本国債を、という記事を野田さんにメールで送った事があるんですけどね。。。

恐らく同じような読者の方もいらっしゃるはずです。

いわゆるネトウヨの感情剥き出しのブログとはワケが違うのは、誰が読んでもわかると思うのですがね。
言い回しはかなり異なりますが、先生と同じようなご意見の方がいました。
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/2670440/
バブル後のデフレ状況の中で、消費者物価指数の対前年上昇率をゼロ以上<安定的に>とする目的で、日銀は、金利政策に代えて、日銀当座預金残高目標を30兆円規模とする量的緩和政策を実施し、2006.3月に消費者物価指数が、対前年比4カ月連続ゼロ%以上となり、解除しました。

では、この政策が、直接的に経済再生となっかは疑問であります。企業が、潤ったのは円安恩恵を受けた外需企業で、あったかと思います。

米ドル円は、2004年12月~2005年1月 野101~102円台から、07.6月の124円台まで円安が進み外需企業が潤い、消費者物価指数は、2008.8月に対前年度比102.6%まで上昇しましたが、2010.8月には、99.0%に。

消費も対前年比で、08.7月に07.3月・-0.35→2.4%となりましたが、09.8月には、-2.4%に。

量的緩和が市場マインドを良くすることは否定しませんが、実際に緩和から経済状況がよくなたと証明はできないかと思います。


労働者の現金給与額<全産業>の対前年度比は、07年度ー0.7%、08年度ー1.1%、09年度ー3.4% 2010年度+0.5%でしたから、個人が犠牲になり外需企業が、円安効果で潤ったとも取れます。

日米金利差は、以前と比べて大きな差にはなっていませんから、金利が高い国の通貨に円を売り、他通貨国へ投資する状況とは違うと思いますし、企業は、金融機関からの借入資金<負債>じゃない、増資により資金調達<資産>ができますから<株式の希薄化がるにしましても>。

ただ、米国経済が持ち直しませんと、世界経済へ与える影響は大きいかと思います。
記事の中で、2012年3月末の日本銀行のバランスシートについて重大な誤りがありましたので訂正させて頂きました。大変申し訳ありませんでした。
>究極の円高デフレ対策は日銀か無限に円をすってゴールドを買うことと思います。

バカですか?
各国が金を刷って金(きん)を買い出したら
金本位制・・・つまり金の通貨化にいたり、
それはデフレ対策どころか超デフレになる。
日本に比べてオーストラリアは上手にやりましたね。
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