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「無駄撃ち」になりそうな追加量的緩和  その3

2012年05月02日

「無駄撃ち」になりそうな追加量的緩和  その3

 もう少し書きたいことがあるので続けます。

 まず昨日付け「同 その2」の中で、誤りが1つ(本文は既に訂正させて頂きました)と、説明不足が1つありました。大変申し訳ありませんでした。

 説明不足の方は、「日本銀行はこれ以外に長期国債(償還期限は全期間)を月額1兆8000億円(年額21.6兆円)も買い入れていると強調しているのですが、2011年4月~2012年3月の1年間に日本銀行の保有国債は6兆円増えているだけなのです」のところです。

 正確に書きますと、2011年3月末現在の日本銀行の保有国債は77.3兆円ですが、ここから政府短期証券と資産買入れ等の基金の保有額を引いた「長期国債」は58.2兆円で、これに対して2012年3月末の保有国債は87.2兆円ですが、同じように引くと「長期国債」は64.3兆円となります。従って、1年間で21.6兆円買入れたはずの「長期国債」の保有額が6.1兆円しか増えていないことになるのです。

 さらに付け加えますと、日本銀行による「長期国債」買い入れが月額1兆8000億円(年額21.6兆円)に増額されたのは2009年3月なのですが、2009年3月末の日本銀行の保有国債は64.2兆円で、「長期国債」は42.6兆円でした。つまり、3年間で64.8兆円も「長期国債」を買い入れたはずが、保有「長期国債」が21.7兆円(ほぼ1年分)しか増えていないのです。

 その「からくり」は2つあって、まず2009年3月の買入れ増額の際の説明をもう一度よく読んでみますと「買い入れる長期国債の残存年数は、1年未満が7.44兆円、1~10年が12兆円、10~30年が1.2兆、変動債と物価連動債は0.96兆円」となっています。つまり日本銀行の定義では「長期国債」とは発行時点で政府短期証券でないもののことで、2年国債でも残存が1年未満になった長期国債でもすべて含まれているのです。従って21.6兆円の「長期国債」といっても、かなりの部分が「短期債」で順次償還になっていくのです。

 もう1つは、日本銀行保有の「長期国債」が償還になると、政府短期証券でのみ(それも全額ではないようです)借り換えに応じていることです。

 確かに「中央銀行」の役割とは、あくまでも市中金融機関を通じて主に短期金融市場を操作することであり、リスク商品を買い入れることは「邪道」です。つまり日本銀行の理解では、その「邪道」の中には「残存期間の長い国債」を大量に買い入れることにより「長期金利」に過剰な影響を与えることが含まれているのかもしれません(注)。

 それならそれで、「長期国債」を年間21.6兆円も買い入れていかにも半永久的に資金を供給している(もう死語ですが「成長通貨の供給」と言います)」フリをするのではなく、「日本銀行は市中から短期の国債や償還が近い国債を年間21.6兆円買い入れて資金だけは潤沢に供給しますが、それでもって長期金利や経済活動に直接影響を与える意思は全く持ち合わせておりません。ただ中央銀行の役割だけはしっかりと果たしていきます」と宣言した方がよっぽど信認を得られたはずです。

(注)日本銀行は今回もETFやREITの買入れを増額しています。「株式市場」や「不動産市場」に影響を与えることは「邪道」ではないようです。

 つまり、日本銀行の意識的としか思えない「不正確」「不十分」な発表で、国債買入れについては(年額21.6兆円に増額した3年前より)はるかに以前から、資産買入れ「等」の基金では導入時から1年半もの間、(正直言って私も含めて)市場に誤ったメッセージを送り続けてきたのです。

 そう考えてくると改めて不思議に思えるのは、「本当に期間が長い国債」の需給です。今年度の国債発行額は10年債が27.6兆円、20年債が14.4兆円、30年債と40年債が7.2兆円と合計49.2兆円もあり、前年もほとんど同じであったばかりか、ここ数年発行される国債の平均年数が微妙に伸びてきているのです。

 しかし、メガバンクの保有する国債の平均残存は4年以下のはずで、日本銀行は実際には「期間の長い国債」をほとんど買入れていないのにも拘らず、それでも本日の10年国債の利回りは0.88%と低下を続けているのです。「いったい誰が期間の長い国債を買っているのでしょうか?」

 考えられるのは生保・年金・投資信託・地域金融機関などで、これはこれで将来に問題が残るのですが、当面のところ大手金融機関は買い遅れ、海外ヘッジファンドは(先物だと思いますが)空売りしているはずです。だとすると10年国債の利回りは当面「もっと低下する」しかなさそうです。

 さて昨日分の訂正と説明不足の捕捉だけで本日分の紙面を使ってしまったのですが、本日書きたかったことは、量的緩和の目的は「円安」と「株高」を引き起こすことで実体経済が回復するまでの「時間稼ぎ」をすることだと強調しているのですが、「そもそも円安は本当に日本経済のためになるのか?」でした。

 これについてはGW中に、出来るだけ書きますので覗いてみて下さい。でも毎日は書けないことを予めご了承ください。

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コメント
オリンパス事件でこちらのブログが大人気になる以前からひっそりと拝見させていただいておりました。
さて日銀の決定会合ですがこんな見方もあるようです。
http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/doramemon1205.html

5/1の記事です。この方はばりばりの債券市場の中の方ですが、同じ会合結果でもいろいろな評価があって面白いなあと拝見しております。
FRBが長期国債買い入れした分で、短期国債を処分するのとは、日銀は違うと言うことですね?

このツイスト・オペは、長期金利上昇を抑制する目的<インフレ懸念が生じないように>であり、2014年度末まで、現在の低金利政策とも一致した金融政策ですけど、白川総裁は長期国債買い入れは、長期金利上昇しないようにとの発言があったかと記憶していますけど、内容までは未確認。

私は、地方銀行の方が、大銀行よりも国債保有は多いんじゃないかと思いますから、地方銀行が長期国債の保有をしているんですか?

もし、そうであれば、将来、利回り上昇<債券価額下落>で、地方銀行は影響受けることもあり得ますね。金融機関の2重構造ですか?
郵貯やかんぽも国債の大口ホルダーですね。
参考になります。
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