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改めて日本政府に対する「真摯な提言」  その5

2012年05月15日

改めて日本政府に対する「真摯な提言」  その5

 このシリーズの最終回です。

 「真摯な提言」は2つだけで、「円の国際化(基軸通貨化)」と「国家による戦略的な外貨取得」をそれぞれ推進することです。この2つは別のことのようですが、実は同じことを違う角度から言っているだけです。
 
 つまり「海外に日本国債を大量に販売することにより円を国際化(基軸通貨化)する」と「その国債を原資として戦略的に海外資産を取得する」を通じて世界における日本の存在感や発言力を取り戻すということなのですが、もっと具体的に説明します。

 昨年12月末現在の資金循環統計によりますと、日本全体の金融資産は2753兆円(家計1483兆円、法人796兆円、一般政府474兆円)で、そのうち602兆円が海外に投資されています。また、日本全体の負債総額は2484兆円(家計357兆円、法人1029兆円、一般政府1099兆円)で、そのうち352兆円は海外からの資金です(預金取扱機関・保険会社・年金基金などは金融仲介機関でダブルカウントになるため除外してあります)。

 すぐわかる問題が2つあります。

 まず1つ目は、日本全体の金融資産のうち21.8%に当たる602兆円が海外に投資されています。それは一般政府に入っている「外為資金特別会計」や、家計部門などの金融資産が金融仲介者を通じて海外に投資されているもので、「かなりの部分が為替リスクを負っているもの(つまり現在の円高で巨額の損失が出ているもの)」と言えます。

 一方、海外からの調達はそもそも352兆円しかなく、さらにその中には国債の外人保有の78兆円、株式の外人保有の40兆円などがあり、「意図して海外から調達したもの(つまり、本来海外から調達した資金は円高になれば償還負担が軽くなるなどのメリットを受ける場合があり、それを狙ったもの)」はほとんどありません。

 つまり、日本全体のバランスシートは「非常に円高に弱い」形をしており、不幸にして「1971年以降ずっと円高で、現在は最円高に近い」状態なのです。

 当然膨大な損失が発生しており、円高による輸出企業の競争力低下とか、交易条件の悪化に伴う所得の海外流出などと並び「膨大な円高コスト」を構成しています。

 2つ目は、日本全体の負債総額の44%(1099兆円)も占める一般政府の負債のうち、海外からの資金が僅か78兆円(しかも後から買い入れたもの)しかありません。つまり残る1021兆円がすべて日本の金融資産(全体の2753兆円から海外に投資されている602兆円を引いた2151兆円)で賄われているのです。

 明らかにバランスを欠いた不健全なものと言えます。つまりこの状態で政府関係者が、国債を海外に販売する努力を一切していないことの方が「異常」なのです。

理由はともかく世界最強通貨である円建てで、世界が求める安全資産である国債で、巨額の発行残高と流動性を持つ「日本国債」が、海外投資家に僅か78兆円しか保有されていないことは、政府関係者の「怠慢」以外の何ものでもないのです。

 だから「国債を海外投資家に買ってもらい(注)」「その資金で外貨を取得して」円安になれば、円安で株が上がり経済が回復する効果以外に、今までの「膨大な円高コスト」を取り戻せるのです。

(注)実際は海外投資家に日本銀行保有の国債を買ってもらい、その分日本銀行が市中から国債を買入れ、その分市中に新規国債を発行するのが自然です。

 「外貨を取得する」メリットは、単に「円安になったら儲かる」だけでなく、その外貨を使って「国益」のためになる投資を行えることです。今でもIMFへの600億ドルもの資金援助や、100億ドルもの中国国債の買い入れなど「果敢」な投資は行っているのですが、「国益」のためという点では零点です。

 具体的は投資方法について紙面が無くなってきましたのでまた別の機会にしますが、1つだけ言えることは「例えば100兆円の予算で海外投資をしますよ」と宣言するだけで、世界中から「飛び切りの投資案件が舞い込んでくる」ものです。

 現在の外為資金特別会計の100兆円の大半はFRBにあり(ドルだから当然です)、米国が金融システムの信用補強に勝手に使っており、日本が全く勝手に使えません。勝手に使えない資金に世界中から「飛び切りの投資案件」が持ち込まれることはありません。

 だから、新たに100兆円か200兆円の外貨(主にドル)を取得して、「新たに投資する」と宣言すればよいだけなのです。

 これで本シリーズは一旦終わりますが、また機会があれば書くことにします。

 明日は「JPモルガンチェース巨額損失の不思議」の予定です。

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JPモルガンチェース巨額損失の不思議、興味深いです。みずほの巨額ディーリング益の不思議もお願いします。
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