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JPモルガン・チェースの巨額損失の不思議

2012年05月16日

JPモルガン・チェースの巨額損失の不思議

 5月10日に米国最強の金融持株会社であるJPモルガン・チェースが20億ドル(1600億円)の取引損失を出したと発表しました。

 日本では、お決まりの「デリバティブ」取引による損失(金融機関などで損失が出ると、大体この表現で済ませます)と報道されていますが、要は銀行全体のクレジットリスクをまとめてヘッジする部門で、何らかの理由でヘッジがうまく機能せず損失が出たようです。

 しかし、発表直後にFRBが調査に乗り出し、次いでOCC(通貨監督局・傘下の銀行部門を監督)、SEC(証券取引委員会)、CFTC(商品先物取引委員会)と監督権限のあるところ全てが調査に着手しました。

 直観的に「不思議」なことが幾つかあります。

 まず、20億ドルの損失は巨額であること間違いないのですが、別にJPモルガン・チェースの屋台骨が揺らぐほどの数字ではありません。(AIJ投資顧問の浅川社長がほとんど1人で吹き飛ばした金額にほぼ等しい)。また当局にとって絶対回避しなければならない「JPモルガン・チェースが経営危機を起こすことによる金融システムの動揺」は起こるはずもありません。

 だったら、何ですべての監督機関が「大慌てで」調査に入ったのでしょうか?

 次に、米国ではどこかの国と違って、こういう問題が出たとき真っ先に「その損失が何による損失なのか」と「その損失を抱えたポジションは既に解消されたのか、まだならどう解消されるのか」が公表されます。市場の無用の不安と混乱を防ぐためです。

 昨日(5月14日)になってようやく「問題のポジションの解消には年内いっぱいかかるかも知れない。またその過程で損失があと10~20億ドル増えるかもしれない」というニュースが伝わってきましたが、そもそも会社の正式発表ではなく、市場が一番知りたい「何のポジションが、どれくらい(量)、いつ頃までに市場に出てくるのか」の答えになっていません。

 これらから類推できることは、JPモルガン・チェースも監督機関も「どこに問題が発生しているのかも含めて(だからすべての監督機関が調査に入った)全く実態が把握できていない」ことです。

 さらに同日、この取引の直接の責任者だったとされるイナ・ドリュー最高投資責任者(CIO)が辞任すると発表され、現場の取引責任者だったロンドンのアキレス・マクリス氏も辞任すると噂されています。つまり問題に最も近いはずの2名が真相解明の前に会社を去ろうとしているのです。

 つまり、これからしばらく(たぶん半年くらい)の間、米国の金融市場は「大変な疑心暗鬼」に襲われるはずです。普段歩き回っている広場に埋まっているのが、爆竹なのか原爆なのかが分からない状態なのです。

 これが一番の問題です。

 本来このポジションは、JPモルガン・チェース全体のクレジットリスクを一元的にヘッジするためで、独立した部門が各現場に全く知らせることなく全体のヘッジ戦略を立案し実践するもので、ジェイミー・ダイモンCEO(後述)や辞任するドリューCIOなどごく一部の最高経営陣だけが「関わっていた」はずです。

 これは米国の金融機関では別に珍しい方式ではありません。

 あくまでも推測ですが、この独立した部門がいつの間にかヘッジという目的から外れて、「収益のために巨額のポジションを積み上げてしまっていた」のではないかと思います。つまり全体のポジションを報告させてそのヘッジを行う部門が「暴走」していたわけで、チェックするところがどこにもなかったのです。

 問題は、これが「現場レベルの暴走(つまり不正)」だったのか、ダイモンCEOまで承知していた「組織ぐるみ」だったのか、はたまた「全く使用していたヘッジモデルがガラクタだったのか」が分からないことです(多分、最後まで分かりません)。

 問題を複雑にしているのが、ダイモンCEOは現在作業が進んでいる金融規制改革法案(ボルカールール)反対の急先鋒だったことです。オバマ大統領も同日(5月14日)この損失に触れ「だから金融規制改革法案が必要なのだ」と発言しています。
 
 ここから先は、米国の金融市場の規制と自由化の歴史や、JPモルガン・チェースの沿革や、ダイモンCEOについてなどを解説した方が良いと思いますので、続きます。

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コメント
本論とは話が逸れますが、本日10時現在、円が対ユーロに対し高く振れているのに対し、対ドルに対しては安く振れています。

これまでの流れ(欧州債務危機→円高株安)とはやや異なってますが、日本の債務に対する懸念がマーケットで強まったのでしょうか。
FBIが調査に乗り出したとの報道があったようです。お書きになられた通りCEO関与の有無などの犯罪事件性の調査ということなんでしょう。
こんにちは、日本ではほとんど報じられていないのですが、MF GLOBALというブローカーの顧客資金が紛失して、JPモルガンの口座に移されています。

MF GLOBAL 社長が顧客資金をJPモルガンへの送金を指示 内部メモ - YouTube http://bit.ly/GVYZ5J

主流メディアでは報道されていないのですが、JP モルガンが横領しているとネットではまことしやかに話がでています。

JPモルガンはインチキ担保を使って、CME(シカゴ先物市場)から、マージンコールがずっとでていて、ポジションを解消させられたようです。

おっしゃるとおり、これだけならば、「JPモルガン・チェースの屋台骨が揺らぐほどの数字ではありません」はないのに、JPモルガンを筆頭に金融株はうられまくっています。爆竹クラスではないでしょう。

JPモルガン・チェース、バンクオブアメリカ、ドイチェバンクはこのインチキ無担保デリバティブで崩壊寸前という話もあります。

現段階では、いわゆる陰謀論の話として理解していただいてもよいのですが、JPモルガンの発表がFACEBOOK IPO直前にマーケットに冷や水を浴びせるようなタイミングででてきたので、よっぽどのことだと理解しています。(ご存知の通り、ロンドン鯨として、一月以上も前から話がでていました。)

アメリカ市場はヨーロッパやJP モルガンの損失などで、弱くなっていますが、機関投資家がFACEBOOKのIPO向けの資金用意で他の株を売ってきたという需給関係もあるとのことです。需給の改善とFACEBOOKご祝儀相場で、短期的に戻すかもしれませんが、大きな爆弾がいたるところに埋め込まれていると思います。
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