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大手邦銀がやっと納税してくれる!

2012年05月18日

大手邦銀がやっと納税してくれる!

 2日ほどJPモルガン・チェースのことを書いたからではないのですが、本日は日本の銀行の話です。

5大銀行グループ(三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそな、三井住友トラスト)の2012年3月期決算では、連結最終利益の合計が前年比36%増の2兆4000億円となりました。

 しかし2013年3月期の予想ではその合計が1兆9000億円と、また減益になってしまうそうです。

 しかし2011年3月期の三菱UFJに続き、2012年3月期では三井住友、みずほ、りそなが、やっと法人税を納めてくれるそうです。貸し付けを増やさず、「タダ」みたいな預金金利しか支払わず、およそ日本のGDPに何の貢献もしていないのですから、せめて納税くらいはしてもらわないと話になりません。

 2012年3月末の全国銀行(120行)の合計では、預金残高が597兆で貸付残高が426兆円で、その差が171兆円もあります。因みに10年前の2002年3月末では預金残高が500兆円で貸付残高が442兆円でした。この10年で預金が97兆円も増えているのに貸付が16兆円も減っているのです。これではデフレになるはずです。

 しかし2012年3月末の貸付残高は久しぶりに前年比で増えています(といっても5兆円ほどですが)。これは3大メガバンクの海外融資残高が40兆円と前年比2割強(つまり7兆円ほど)増えているからで、国内の貸し付けが増えている形跡はありません。

 また増えた海外融資も、主に欧州銀行がアジアなどで貸し付けを回収した後に貸し込んだものが多いようです。日本企業へ新規融資した方が「よっぽど安全で、日本経済のためになる」と思うのですがね。

 5大銀行グループのうち三菱UFJの連結最終利益は9813億円と国内上場企業で最高となったのですが、この中には米国モルガンスタンレーの持分化に伴う特殊要因(負ののれん計上)が3000億円ほど含まれています。その米国モルガンスタンレーへの出資に関する「おもしろい話」を、昨年4月11日付け「三菱UFJモルガン・スタンレー証券の巨額損失の裏側  その2」に書いてありますので、ぜひ読んでみて下さい。

 それから、5大銀行グループの保有国債の「益出し」による売買益合計も6800億円と、連結最終利益の3割近くを占めています。

 「益出し」と書くと何のことか分かりにくいのですが、要は財務省の「国債暴落ネガティブキャンペーン」を真に受けて、期間の長い国債を売却して期間の短い国債に積極的に入れ替えた結果なのです。5大銀行グループの保有国債の平均残存は3年前後まで短くなっているはずです。当然ですが短い国債は利回り(収益性)が大きく落ちます。

 確かに「国債利回りの上昇」に対しては非常に強いポートフォリオなのですが、残念ながら新年度に入っても国債利回りは下落(価格は上昇)を続けています。このままずっと辛抱していればよいのですが、だいたい我慢できなくなって利回りの高い期間の長い国債を買い込んだ瞬間に「暴落に見舞われた」ことが過去に何回もあります。

 まあ、この辺を考えると5大銀行グループの今期(2013年3月期)決算は余り期待できそうになく、それよりも「日本経済のために」貢献してくれることもなさそうです。

 法人税を納税してくれることが「やや救われる」だけです。

 その法人税ですが、実は2011年の税制改正で、大企業は繰越の赤字で相殺できる黒字は80%までということになっていました。適用は2012年4月以降からです。

 つまり繰越の赤字があっても、その期の黒字の20%には課税されることになったのですが、ほとんどの大銀行が毎年巨額の業務純益をあげながら1990年代からずっと法人税を支払っていません。つまり繰越赤字が無くなるのを待って(つまり累積赤字を全部有効に使い切ってから)税制改正したのです。

 日本の行政は(国税局は財務省の外局です)は、やはり銀行に優しいのです。

 昨日の「JPモルガン・チェースの巨額損失の不思議」にコメントを頂いているのですが、ご指摘の通りJPモルガン・チェースはJPモルガンの名前が先に来ていますが、実態はチェース・マンハッタン銀行による吸収合併でした。またそのチェース・マンハッタン銀行もその前に合併したケミカル銀行による吸収合併でした。

現在のJPモルガン・チェースの法律的な存続会社はケミカル銀行です。

 同じように吸収した会社の名前を使っているのがバンクオブアメリカ(実態はネーションズバンク)ですが、金融界以外では電話会社のAT&Tがあります。昨年4月15日付け「東京電力と米国AT&T」に詳しく書いてありますので、時間があったらぜひ読んでみて下さい。

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朝日新聞に取り上げられていましたね。おめでとうございます。大手マスコミ記者も情報源としてきっと有料会員になっているんでしょうね。しっかりした内容のサイトなので当然かと思います。これからもシャープな切り口で末永く続けてください。応援しております。
たしかに、よくご存知と思うことがしばしば書かれており勉強になります。ちなみに、当時米国で「弱者連合」と形容されたケミカルとマニハニの合併まで遡ると、法律的な存続会社はその2社のうちでさらに弱いほうのマニハニでしたが、名前はケミカルを残しました(CEOはマニハニ出身者が短期間やってからケミカル出身者に禅譲するという、いまの米銀ではありえない悠長な口約束が履行され、ケミカル出身者が計約10年以上やった後にジェイミー・ダイモンが就任)。いまのJPモルガンチェースはテクニカルには、ケミカルに名を変えた旧マニハニです。
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