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100円を割り込んだユーロについてもう1度考える

2012年05月25日

100円を割り込んだユーロについてもう1度考える

 どうも最近の表題が長くなる傾向があるのですが、本日はこの話題です。

 昨夜(5月23日)遅くに100円を割り込んだユーロは、本日(5月24日)も99円台での取引が多くなり、ユーロ・ドルも1ユーロ=1.25ドル台となっています。

 もう少し長い期間で見ると、昨年秋からのギリシャを含む債務問題深刻化と昨年末のECBによる巨額資金供給を受けて本年1月に1ユーロ=97円まで下落し、その後の世界的な経済回復期待で本年3月には1ユーロ=111円まで回復していました。

 ユーロ・ドルは、一昨年の春に最初にギリシャ問題が出てきた時の1ユーロ=1.2ドル割れから、昨年春に1ユーロ=1.5ドル手前まで回復しており、現在は一昨年来のユーロ安水準となっています。

 最近のユーロ下落の原因は、市場では「ギリシャのユーロ離脱懸念」とされています。

 この点は何回も書いているのですが、統一通貨ユーロ体制の維持そして拡大は、欧州諸国が米国に対峙するために「必要不可欠」なもので、簡単に変形したり崩したり出来ない「政治的戦略」なのです。

 従って多少のことは「運用ルール」の変更でカバーします。事実、サルコジ落選後は「財政再建一辺倒」から「成長と財政再建の両立」への変更を行いました。硬直的な財政再建に固執して、欧州の政治が「極右」や「極左」に脅かされるのは本末転倒だからです。

 5月19日のワシントンG8サミットの首脳宣言のトップにも「成長と雇用の促進は不可欠」が織り込まれ、2番目に「ギリシャがユーロ圏に残ることへの関心を確認」が入れられました。

 ユーロはギリシャを簡単に離脱させません。何故ならそれは「経済問題」でなく「政治問題」だからです。ユーロが「ちょくちょく仕組みが変わるローカル通貨」では米国に対峙できないからです。

 以前は経済的に「ユーロ構成国に問題国が出てくると、離脱させた方がユーロの信認低下を防ぐ」と考えていたのですが、政治的に考えると「ユーロから離脱の前例を作らず、長期にわたってユーロ体制の維持・拡大を続ける」ことが正解のような気がするのです。

 確かに2009年12月末発効のリスボン条約では「EU離脱」のルールが策定され、EUを離脱すればユーロからも離脱できることになったはずです。しかしこの「EU離脱」も、例えば加盟国が共産主義とかイスラム主義に「乗っ取られた」場合を想定しているだけだと最近思うようになりました。

 ギリシャはもともと左翼政党の強い国ですが、ユーロから追放して「もっと左旋回」されては困るのです。

 経済的に考えても「ギリシャを追放して欧州諸国がギリシャ債権で被る損失」と「離脱の前例を作って、ユーロの信認が長期にわたって損なわれるコスト」の合計が、「今まで通りギリシャを金銭的に支援するコスト」より格段に大きいと判断されているはずなのです。

 余談ですが、これらのコストを「日本が600億ドルも気前よく支援する」無意味さと不自然さをぜひ理解して頂きたいと思います。典型的な「国策なき浪費」なのです。

 それでは「経済的」に考えた処方箋は何かというと、「経済成長重視への転換」は大正解で、そのために唯一とれる方法が「ユーロ安」なのです。

 最近のユーロ安は「ギリシャの離脱」を懸念して下落しているのではなく、「経済成長のためにユーロ安が必要」だからです。

 世界はドルも、ユーロも、(多分)人民元も、資源国通貨やその他の新興国通貨も、すべて「引き下げ競争」に入っているのです。

 無策の日本は、強烈な「円高」に襲われます。

 しかし、そこで5月14日付け「改めて日本政府に対する真摯な提言  その4」で書いた「1971年以降、日本経済が負担した膨大な円高コスト」を一気に取り戻し「現在の日本経済のどうしようもない閉塞感」を一気に改善するだめに「戦略的外貨取得」を強力に推進する最後のチャンスだと思うのです。


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コメント
ギリシャがユーロから離脱することのギリシャとドイツの政治的駆け引きの臭いも!

ギリシャがユーロから離脱しますと、ギリシャは自国通貨からして、ハイパー・インフレ懸念があり国民は悲惨な生活をすることにもなり、ドイツ、フランスの金融機関は保有するギリシャ国債の一部債権放棄をして、債務交換契約を実施したのに、ユーロ離脱となりますと、ドイツ、フランスの金融機関には、破綻する銀行も出てくる可能性があります。

ユーロ安は、特にドイツには輸出企業には恩恵ありで、差し引き計算をしてドイツ、フランスは、ギリシャがユーロ圏内の方がプラスじゃないかと!離脱がありますと、ドイツ、フランスには、余計なコストが必要かと思いますけど!

ですから、米国はギリシャ・ソブリン債危機ですから、冷たい目で見ていて、日本のように気前よくIMFへの出資もしなかったのかと!
「戦略的外貨取得」を日銀(あるいは官民で作った基金)が実際に行ったら、欧米諸国から為替介入だと批判されませんか?
その批判を日本はどうやってかわすべきか当ブログ著者の考えが知りたいです。

闇株さんのブログを毎回興味深く見させてもらってます。
ギリシャはユーロを離脱しないのが確率90%と思ってます。しかし、日本が太平洋戦争を起こしたように、追い詰められて感情的になり暴発するのが確率10%と思ってます。
離脱の結果がギリシャにとっても、国際市場にとっても破滅的なので、相場は下げてます。それにセル イン メイということもあります。6月17日、ギリシャ再選挙が終わるまでだらだら下げるかもしれません。6月に入って下げる分は、完全にギリシャのユーロ離脱を織り込みにいったと考えて良いでしょう。
買いを入れるのはおもしろいでしょう。
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