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もっと日本の「戦略的通貨政策」について考える  その2

2012年05月29日

もっと日本の「戦略的通貨政策」について考える  その2

 昨日の続きなのですが、表題を「戦略的外貨取得」から「戦略的通貨政策」に変えました。言いたいことは全く変わりません。

 現状を冷静に見て、日本が世界で戦える武器は通貨「円」しかありません。単純に「円高」なので「円」が世界の需要を集めていることだけでなく、その流動性や国債市場の厚みなどが「国際通貨(基軸通貨)」の要件を満たしているからです。円の国際化(基軸通貨化)を中心とした「戦略的通貨政策」を強力に推進することが、世界における日本の存在感を増大させ、日本経済の現状を打破するほとんど唯一の方策だと確信するのです。

 具体的には、海外における「円の流通」と「円の保有(特に日本国債の保有)」を増やし、また同時に「戦略的外貨保有」を推進することによって世界における日本の発言力を増大させ、将来の外貨の値上がりによる収益を国民に還元することです。

 単純に言うと、海外で国債を含む「円」の需要が増えることは「円買い」要因なので、同時に日本で外貨を積極的に取得する「円売り」要因を作り、内外で円の資産と負債を拡大することよって「円の国際化」を進めるのです。

 ただ、黙っていてもそうなりません。今こそ「戦略的通貨政策」を進めなければならないのですが、日本政府の最近の対応は「完全に間違った方向」へ向かっています。

 その一例が先週末に突然報道されている「人民元と円の直接取引」です。これ自体は、現状の円と人民元の交換にはドルが介在しているため、直接取引することによるコストが軽減されるので別に悪いことではありません。

 しかしどうも日本が国を挙げて一方的に人民元の国際化を支援するということのようで、これ自体も別に悪いことではないのですが、最大の問題は「同時に円も国際化するために中国にも協力してもらう」発想が完全に欠落していることです。

 これらは昨年12月の日中首脳会談で合意した「金融・経済協力」に沿ったもので、その中で一方的に日本政府が中国国債を100億ドル取得することが盛り込まれていました(日本はパンダ2匹を有償で貸与してもらうことだけ)。昨年12月28日付け「2012年に起こりそうなこと その5 中国の変調」でも批判的に取り上げてあります。

 中国政府の意図は明確で、海外における「人民元の流通」と「人民元の保有」を増やすことにより人民元を国際化して一層の資金流入を促進し、同時にその受け皿として中国国債の海外保有も増やそうとしているのです。

 まさにこれは日本政府が真っ先にやるべきことを中国政府が始めてしまい、さらに日本政府が「何の条件も付けず率先して支援している」ことになるのです。

 そうでなくても中国政府は(面と向かっては言わないものの)3兆3000億ドルもの外貨準備の70%がドルに偏重しており、その分散化が至上命題のはずです。

 日本政府が人民元の国際化を支援しても、中国国債を100億ドル(8000億円)購入しても良いのですが、(中国の外貨準備は日本の2.5倍あるのですから)交換条件で中国に日本国債を250億ドル(2兆円)ほど買ってもらい(「持ち合い」という便利な言葉があります)、さらに中国の外貨準備のドル(購入している米国国債などの資産)500億ドルと日本国債の500億ドル(4兆円)を交換することくらい持ちかけるべきなのです。

 つまり中国政府から見れば流動性のない中国国債を100億ドルも買ってもらう(人民元の国際化に協力してもらう)代わりに、流動性抜群の日本国債を250億ドル(単純に日中の外貨準備額に応じて)買えばよいのです。

 さらに中国政府が本音で減らしたい外貨準備の「ドル」を500億ドルも世界最強の「円」の、それも優れた流動性をもつ日本国債と交換してくれるのです。

 これは中国政府にとっても「絶対に悪い話ではない」はずです。日本政府からすれば「戦略的外貨取得」と「海外投資家による国債保有の増加」の両方が「新たな為替水準を変化させることなく」出来てしまうのです。

 ところがどうも日本政府は、流動性のない中国国債を100億ドル(8000億円)も新たな国民負担の国債発行を行って購入するだけのようです。

この100億ドルも、先日のIMFへの600億ドルもの資金協力も、外為資金特別会計の資産(ドルのことです)を売却して充てると説明しているのですが、昨日書きましたように外為資金特別会計のドル資産は米国の了解なしに勝手に売れません。だから結局、新たに国債発行(新たな国民負担)となるはずなのです。

それより重要なことは、「円」を国際化(基軸通貨化)するといっても、あくまでもドル基軸通貨体制の中で「円」の役割を増大させることしか日本には選択肢が無いはずです。「ユーロ諸国」にも「中国」にも、中途半端に「いい顔」をすることは絶対に「国益」にならないのです。

非常に重要なことなので、まだまだ続けます。


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コメント
早い内に民主党政権を引きずり落とさないと、向こう30年位、貧しい生活を強いられる事に成りそうですね。
ドルはやがて紙くずになる、という説があります。1ドル=50円以下になると。ユーロも紙くずになるそうです。
アメリカは戦略的にドルの価値を下げ、そのトレンドは大きな流れでは変わらないという説、闇株様は、どうお考えですか?
やがて紙くずになるドルやユーロを取得して、外貨の値上がりを待つという戦略は、どうなんでしょうか?(元はいつかは値上がりする気がしますが、それもいつになるのか?)円高が何年も続いているので、円安がいつか来るなんて思わなくなってきました。
「弱い日本の強い円」という本でも、20年くらい先には円安に触れるかも知れないが、円はしばらくは強いと書いてあったと思います。
日本国債を中国が持つと、利益確定できそうなタイミングで、大量に売ったりしませんか?(少し前、そういうことがありましたよね?)
バブル時の松下幸之助の主張を思い出しました。
国に余って居る、お金を海外の銀行に預ければ金利だけで生活出来て税金を取る必要が無くなる。と言ったら、学者や評論家に税金を取らない国家など!と叩かれ引っ込めてしまいましたが…。歴史に学ぶ事は無さそうですね(;´~`)
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