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なぜ世界経済が不安になると円高になるのか?

2012年06月01日

なぜ世界経済が不安になると円高になるのか?

 日本の「戦略的通貨政策」についていろいろ書いている途中なのですが、少し違った方向から見てみたいと思います。

 本日(5月31日)の東京市場では、円が対ドルで78円台後半、対ユーロで97円台後半と「円高」が進みました。特に対ユーロでは今年1月高値の97円に近付いています。

 原因はもちろん「欧州債務危機」が深刻化して世界経済が不安になって来たからなのですが、それではなぜ世界経済が不安になると「円高」になるのでしょう?

 あまり理論的に説明されていないので、考えてみます。

 確かに2008年夏のリーマンショックを引き起こした米国発の世界金融危機では、半年くらいの間に円が、対ドルで111円から87円へ、対ユーロで170円から111円へ、リスク通貨の代表である対豪ドルでは105円から55円への急落(円が急騰)となりました。

 これは世界金融危機の少し前の2006年まで日本は世界で唯一の金融緩和(量的緩和)を続けており、さらに世界はまだまだ活発に投資活動を行っていたため、結果的に日本で調達した資金が世界各国の投資に使われており(キャリートレード)、それが金融危機で一気に巻き戻されたので「円」が急騰したのです。

 ところが現在は世界的に金融緩和(量的緩和)が進んでおり、さらに世界的に投資活動が活発でないため、そもそも円を使ったキャリートレードなどほとんどなく、新たに世界経済に不安材料が出ても巻き戻しで「円高」にならないはずです。

 ということは世界の投資家が「新たな経済不安」が出るたびに、ドルやユーロから円に乗り換えていることになるのですが、例えば外国人投資家による日本国債保有額は昨年末で78兆と過去最高となったのですが、リーマンショック直前でも67兆円あったため「急増している」というほどでもないのです(もっともその時は円が対ドルで111円、対ユーロで170円だったため、ドル建て・ユーロ建てでみると「かなり増えて」います)。

 2011年末の日本の対外資産は582兆円で、リーマンショック直後の2008年末の519兆円から増えています。もちろんこれは為替の需給とは直接関係がないのですが、少なくとも日本人が外国資産を大量に売却して「円」に戻していることも無さそうです。

 つまり世界経済が不安になった時に急に「円高」になる理由も良く分からないのですが、趨勢的に「円高」が定着してしまった理由も、もっと良く分からないのです。

 もちろん日本銀行の金融緩和の度合いが欧米に比べて少ないからなのですが、それだけでもないような気がします。

 少し角度を変えて考えてみましょう。

 個人的には「長期的に見て2国間の為替レートは、2国間の物価上昇の差を反映したものになる」が正しいと思っています。つまり物価が上昇しない国の通貨(円)は、物価が上昇している国の通貨(円以外のほとんどの通貨)に対して「強く」なるのです。

 この場合の物価上昇とは過去の数値ではなく、あくまでも将来(はっきりと向こう何年分とは言えないのですが)の予想される趨勢を反映しているはずです。

 つまり日本は、「今後、世界で最も物価が上昇しない、あるいは下落する(つまりデフレの)国」と世界中で認識されており、ユーロ危機でも何でも世界経済の不安の影響を受けて「さらに輪をかけてデフレになる国」と認識されているのです。だから趨勢的に「円高」が定着してしまい、世界経済不安のたびにもっと「円高」になるのです。

 デフレの原因は、少子高齢化、政治が弱体、官僚が増税などの省益を優先する、など山ほどありますが、要するに日本が今のままだと「世界で一番のデフレなので円高が続き、世界経済が不安になるともっとデフレになりもっと円高になってしまう」わけです。

 逆に言えば、今の円高が「ほとんど永遠に続く趨勢的な日本のデフレ」を反映した水準であるとすれば、趨勢的なデフレ予想が少しでも本当に改善されると「かなりの円安」に修正されるはずです。

 じゃあ、どうやって「デフレ予想」を改善すればよいのか?

 次回に続きます。


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コメント
初めまして。水盛と申します。
将来へのデフレ見通しにより通貨が強くなるという主旨の事を書かれていますが、今のドル円の相場を見ているとアメリカの経済指標が悪化する(=不況、デフレの兆候)度にドルは安くなり円が強くなっています。これは貴方記事と矛盾しているように感じるのですがどのように説明出来るのでしょうか?ご教示頂きたく宜しくお願いします。
”物価が上昇しない国の通貨(円)は、物価が上昇している国の通貨(円以外のほとんどの通貨)に対して「強く」なるのです”

デフレ国の通貨が強くなる理論的背景がよく分かりません。御教授頂ければ幸いです。
デフレかインフレかは全く関係ありませんね。闇株さんが記事の中で書いている「物価上昇の差」が為替レートを決める要因です。もっと正確に書くと購買力平価ですけどね。
なのでブレトンウッズ崩壊後、日本はインフレの時代もありましたが、アメリカはもっとインフレだったので、ずっと円高だったのです。これからもずっと円高が続くでしょう。
なので闇株さんのドルを買うという提言は机上の空論で上手くいかないと思います。
毎年下がり続けるダメな会社の株を無限ナンピンする様なものですw
株も為替も買いです。
天与の絶好の買い場の到来でしょう。
3月高値、5月6月波乱
6月中旬以降、別のシナリオの到来
すべて、絵を描いている者たちがいます。
ニュースを信じてはいけません。操作されていますし後追いですから。
ユーロもドルも円も元も問題はあります。どこに焦点を当てるかだけです。
問題は不安を煽って(つまりストーリーを作る)乱高下させているだけです。
株も為替も実需ではない。レバレッジをかけた投機で経済戦争です。
円高過ぎ!
どこまで円高は進むんだろー?何時が円の買い時?
通りすがり
日本がデフレ・インフレになるというよりも、相対的に見なければいけません。為替はあくまで2国間の相対的トレードなのです。
つまり、日本がインフレだとしても、それがアメリカのインフレよりも低いインフレならば円高になります。デフレの場合は日本のデフレがより強いものであれば円高という具合です。
インフレがより強い場合はその通貨の価値が下落してしまうため(ジンバブエなんかはその最たる例)に、2国間のうちより相対的にインフレが強い国の通貨が安くなるのです。
応援クリックしたいのですが、バナーが出てません。ケータイからです
日本政府の「借金」がどういう性質の物かよく勉強すれば、すぐ解る答えなんだがね。
6月4日 日経平均8238円
6月21日現在  8802円

やはり天与の絶好の買い場でした。 
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