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なぜ世界経済が不安になると円高になるのか?  その2

2012年06月04日

なぜ世界経済が不安になると円高になるのか?  その2

 先週末(6月1日)の世界の金融市場は大混乱でした。

 欧州では相変わらずのギリシャをはじめとする南欧諸国の債務問題が深刻化し、それに米国市場では5月の雇用統計の予想外の不振が加わりました。

 NY終了時ではドルは78円ちょうど、ユーロは96.97円と「円高」が進みました。特にユーロは本年1月の安値97.04円を下回り、比較できる安値が2000年10月の89円割れしかなくなってしまいました(その時は1ユーロ=0.8252ドル)。

 株式市場も当然下落しているのですが、昨年秋にユーロ危機が深刻化して世界経済が不安に襲われたときの安値から、今年3月に一時的に世界経済の見通しが明るくなった時の高値までの上昇幅のどれだけを、各国株式市場が先週末までに失ったのかを比較してみましょう。

 NYが41%、NASDAQが46%、欧州ではドイツが57%、英国が63%、悪い方に行くとフランスが80%、イタリアが98%となります。

 日経平均は87%ですがTOPIXだと97%とイタリア並みになります。さらに東京市場は引け後の海外市場の混乱をまだ反映していませんので、当然にもっとこの数字が大きくなります。因みに上海と香港はともに65%です。

 もっと注目すべきは国債市場です。

 米国10年国債の利回りが1.45%、ドイツ10年国債も1.18%と、それぞれ史上最低を大きく更新しています。日本の10年国債利回りも0.81%まで低下しましたが、日本では1998年の金融危機時に0.5%割れまで低下したことがあります。

 本年3月頃は、米国国債が2%、ドイツ国債が1.8%、日本国債が1%くらいでした。本来の利回り低下に加えてユーロ圏内の債務問題国の国債からの逃避資金の受け皿にもなるドイツ国債の利回り低下が一番大きい(スペイン10年国債が6.46%、イタリア10年国債が5.71%まで上昇しています)のですが、米国国債の利回り低下も日本国債よりも大きく、結果として日本と米国・ドイツとの長期金利差が縮小しています。これは結構注目すべきことです。
 
 経験的には、米国国債とドイツ国債の利回り低下は「パニック的」で、債券のアービトラージ市場で「巨額損失」が出ている可能性があるのですが、これは別の機会に書きます。

 要するに「日本・米国・ユーロ圏(とりあえず代表してドイツ)の中で、一番株式市場の下落幅が大きい(従って一番経済状況が深刻のはずの)日本が、長期金利が相対的に下がらず(従って長期金利差が縮小し)、さらに円が一番強くなっている」のです。

 後講釈としては、米国では雇用が伸びないため大統領選挙を控えて追加金融緩和の期待が盛り上がり、ユーロ圏もとにかく債務問題の解決には追加金融緩和を含む経済対策が必要とされ、結果的には消費増税一辺倒で追加金融緩和の可能性が一番少ない日本の円がドルやユーロに対して強くなったと考えられるのですが、それだけでもなさそうです。

 確かにリーマンショック以降、特に2010年以降の為替相場は「金融の緩和度合い」によって決まっていました。もちろん「金融が(量的に)緩和されている国の通貨が、需給関係から弱くなる」もので、日本銀行の消極的な金融緩和が円高の理由だとされてきました。

 それが微妙に変化してきているはずです。先進国の金融量的緩和が限界まで来てしまって、今までの「御利益(ごりやく)」がなくなってきているからです。

 大体、経済理論とか相場解説とかは「後付け理論」に過ぎません。経済学者や経済評論家(株式や為替評論家も含む)は、この「後付け理論」を一生懸命考えているだけなのです。しかし「主流の後付け理論」によって相場が変動することも事実です。

 為替相場に関しては、その「主流の後付け理論」が交代しそうな気がします。

 直感的には「為替相場は金融の緩和度合いによって決まるのではなく、経済状況に関わらず物価上昇の差、もっと言うと物価上昇予想の差によって決まる」ような気がします。

 結局、本題に入る前に紙面がなくなってしまいましたので、頂いているコメントへのお答えも含めて次回に続きます。

 「こういう経済政策や通貨政策の話は誰でも言える内容になりがちなので、もっとマニアックな内容にしてほしい」とのコメントも頂いています。たしかにその通りなので、マニアックな内容も準備していますよ。

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コメント
円高コナンドラムについて藤巻さんがロイターに書いてます。
『オピニオン:ユーロ崩壊と円高の終焉は近い』
円、ユーロとも変動相場制のフリをした固定相場制だからだ、と。
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE85000M20120601?pageNumber=4&virtualBrandChannel=0
ももやさんのリンク読みました。
藤巻は相変わらず現状認識が出来てないなー。
この人、10年前からドル円は200円いくとか吹いている絶対円安論者w
ここまでいくともう宗教だわ。
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