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ドル基軸通貨体制の変遷と今後  その2

2010年12月17日

ドル基軸通貨体制の変遷と今後  その2

 前回は(12月13日)は、ブレトンウッズ体制について書きました。第二次世界大戦後の世界の通貨体制は、ドルのみが金との交換性を持ち、1オンス(31.1g)=35ドルで固定され、各国通貨はドルと交換比率が固定されており、金・ドル本位制ともいうべきものでした。
 戦前の金本位制では、供給量が限られている金に世界各国の通貨が固定されていたため、どうしてもデフレ圧力がかかったため、ドルも基軸通貨としたのですが、米国がドルを世界中にばらまく政策をとったため、たちまち米国の保有の金が枯渇してしまったのでした。

 そこで、1971年8月15日にニクソン大統領が突然、金とドルの交換停止を含む重大発表を行ったのでした。ドルが唯一の価値の裏付けとなる金との交換を停止したということは、ドルの信用が大きく棄損され、当然ドルは各国通貨に対しても売られることになりました。
 
 世界の外国為替市場は、閉鎖となったのですが、何故か世界で唯一東京外国為替市場のみが開いており、世界中から(値下がり確実な)ドルを1ドル=360円で必死になって買い支えていたのです。
 
 この発表は、世界各国の通貨当局にも、米国議会にも事前に知らされておらず、全くニクソン大統領とその周辺だけで決められたようです。そもそもブレトンウッズで世界各国が集まって決めた枠組を、米国大統領が何の権限でもって一方的に破棄できたのかは、今でもよく分かっていません。

  そして、1971年12月に、ワシントンのスミソニアン博物館に世界各国の代表が集まり、金とドル、ドルと世界各国通貨の価値の変更がなされました。金は1オンス=35ドルから38ドルへ、円は1ドル360円から308円に16.88%切り上げられました。世界各国通貨もドルに対して切り上げられたのですが、円の切り上げ幅は最大でした。
 その体制をスミソニアン体制と言うのですが、1973年には再び瓦解し、いろんな取り決めが行われたものの、1976年には完全に変動相場制に移行して、現在に至っています。

 つまり、金は完全に通貨体制の主役ではなくなったのですが、金の裏付けのなくなったドルは、現在に至るまで世界の通貨体制の主役であり続けるのです。つまり実物の金に代わって米国そのものが価値の裏付けになったのです。米国のリーダーシップ、軍事力、生産性、など全てのものが価値の裏付けとなっているのです。

 ドルは米国の通貨であるため、米国の金融政策で、その量が調節されます。米国はジンバブエなどと違うため、金融政策にある程度の節度を持っていました。ところがリーマンショック後の、ここ2年の間、ほとんど野放図にドルが米国内外に供給されているのです。
その間に、米国内と海外で流通しているドルの量、いわゆるワールドダラー(注)は、ちょうど2倍になったのです
とりあえず米国や世界の景気を上向かせるために容認されているのですが、そのあふれるドルの本当の弊害は、これから出てくるわけです。

 ところで、ここで世界の通貨体制の主役の座を降りた金(きん)について少し考えてみましょう。
 現在、金は世界中に16万5000トンくらいあると思われます。人類が金を発見したのは紀元前40世紀くらいと言われていますが、その後6000年くらいかかって人類が掘り出した金がこれだけなのです。オリンピックプール3杯分くらいだと言われています。

 あまり意味のない計算ですが、総価値はいくらくらいでしょう? 大体1オンス(31.1g)1400ドルくらいで、1ドル=83円とすると、金1トンは37億3600万円くらいになります。従って16万5000トンと言うことは、616兆円くらいなのです。日本の家計の金融資産が1400兆円と言われていますので、全部買おうと思えば買えるのです。

 もうひとつ、ドルが金との交換を停止した1971年に、日本の外貨準備はほとんどドルで、金はほとんどなかったのですが、じゃあ金にしておいた方が儲かったのでしょうか?
1971年ということは40年前です。当時金は1オンス=35ドルでした。今は1400ドルで40倍になっているのですが、ドルも360円から83円まで下がったのですから、円建てで言うと1オンス=12,600円から11,6200円と9.2倍になっています。
 ところが、ドルを.360円で買って、40年間5%で複利運用したとしても、1ドル=83円では1.7倍程度にしかなっていません。
 やはり、欧州諸国のように、金とドルの交換停止前に、ドルを金に交換しておけば、だいぶ違っていたことになります。

 しかし1995年から2003年くらいまでは、金価格は1オンス=300ドル前後で、この間は各国の中央銀行は金を市場に売却していました。金価格が500ドルに乗せたのは2006年で、1000ドルに乗せたのはリーマンショック後の事です。
 
 世界の中央銀行や国際機関の保有している量は、大体世界全体の金の18%と言われており、全体で3万トンくらいです。
最大保有国は米国で8133トン(外貨準備に占める割合78.3%。以下同じ)で、以下ドイツ3402トン(69.5%)、IMF2907トン、イタリア2451トン(66.1%)、フランス2435トン(73.0%)と続きます。(2010年9月現在)

 一方、日本は765トン(2.1%),中国は1045トン(1.8%)となっています。
先程も言いましたが、やはり外貨準備はドルばかりでなく、欧州諸国のように交換が停止される前に、ドルを金に交換しておいた方が良かったわけです。

次回は
3)変動相場制とプラザ合意
4)あふれかえるドルと、新たな国際通貨体制と続きます。

(注)ワールドダラー
米国内に流通するドル紙幣と貨幣+米国銀行の準備預金+各国中央銀行の米国債保有額。
現在、約4兆5000億ドルあると言われており、リーマンショック前からちょうど2倍になりました。
12月7日付けの「あふれるドルの行方」を、合わせてお読みください。


平成22年12月17日

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