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もう一度、JAL再上場について

2012年07月12日

もう一度、JAL再上場について

 昨日付けの「JAL再上場について考える」は、頂いたコメントから気がついたのですが、いろんなポイントをいっぺんに盛り込んだため、焦点がぼやけてしまっていました。

 そこでもう一度、「はっきり」と書くことにします。

まずJALの破綻処理とは「最大債権者の政府が債権を株式に変換して保有し、上場後に売却して回収を図る」ことで「極めて常識的な方法」です。JALの場合は破綻時に政府(企業再生支援機構と日本政策投資銀行)が6000億円のつなぎ融資を行い、そのうちの3500億円を株式に変換しました。日本政策投資銀行のつなぎ融資は返済されています。

 この仕組み自体に対しての「批判」もあるようですが、その時点で他にリスクをとるスポンサーが出るはずも無かったため、結果だけを見た「公平さを欠く批判」です。

 もう少し詳しく見てみましょう。

 2009年6月に破綻した米国GMは、すべての債権を15億株の新株に変換して処理したのですが、その割り当ては500億ドルの貸付債権を持つ米国政府が60.8%、95億ドルのカナダ政府が11.7%、200億ドルの医療関連債権を持つ労働組合が17.5%(米国では年金は自己責任です)、270億ドルの無担保社債を持つ投資家が10%(残額は放棄)となり、決して政府だけが「独り占め」したわけではありません。

 しかしJALのケースでは、減額されたものの年金は維持され、大幅カットされたものの金融機関の貸付債権も残り(今後も取引が継続されます)、全体としては「許容範囲」です。

 それよりも政府が破綻時につなぎ融資をする時とそれを株式出資に切り替える時に、年金カットや雇用調整などを8つもある組合に承諾させ(つまり支援中止をちらつかせて有無を言わさず承諾させた)、そもそも当初から中途半端な民事再生ではなく会社更生法適用としたことも含めて「政府の強い態度」が再生を後押ししたのです。

 再上場に際しての「利益」をほぼ政府(企業再生支援機構)が独占するとの批判に対しても、「利益」がすべて日本で発生することも(国民に還元されることは絶対ないにしても)過去の事例に比べれば格段に「良いこと」なのです。

 過去には、昨日も書いた日本長期信用銀行のように「10兆円も税金で支援したものの、儲けをすべて外人にとられたケース」や、世間では成功例だと評価されているものの当初の出資額を既に超える配当をはじめ、すっかりルノーに吸い上げられて資産が「スカスカ」になっている日産自動車のケースなどがあるのです。

 じゃあ、何が問題なのでしょう?

 それはこのJALのケースが(成功したとして)、株式市場がより「政府主導の企業再生の場」あるいは「官僚組織にとって新たな利権の場」となることです。確かに対象企業が限られるのですが、株式市場に今まで以上に「干渉」が加えられ、それが株式市場の正常な形を歪めてしまうことです。

 その1つが、JAL株式売出しの主幹事選定に「政府の意向」が入ることです。野村証券などが外されて、今まで以上に「聖域」の外資系証券と「身内の」銀行系証券が優遇されそうなのですが、「増資インサイダー」事件の処分と「政府にとって(利益確保のために)重要な主幹事選定」をごっちゃに考えてはいけないのです。

 大型の新株発行(売り出しも)には、「大問題」とされる「増資インサイダー」に当たるかどうかはともかくとして、増資の発表前後に海外市場で(貸株を使った)十分な「空売り」が積み上がって初めて成功するのです。当然これから上場するJAL株式では「空売り」が出来ません。

 そこへ(ヘッジファンド向けの安直な営業しかやったことのない)外資系証券と(そもそも株式営業の実勢が大きく見劣りする)銀行系証券だけで「成功する」と考えているとすれば大きな間違いです。ここは野村証券などへの増資インサイダーの処分は高額の罰金か課徴金で終わらせ、JAL株式の売り出しではしっかりと働いてもらうべきなのです。
 
 また直近で2000億円の増資を発表した全日空と主導したとされる野村証券が、必要以上に「悪者」にされそうなこともあります。確かに直前の株主総会で「何の予告もしていない」などの問題もあるのですが、同業のJAL株式が大量に売り出される前に株式市場から資金を調達しておくことは、自由な資本市場においては「当然の判断」なのです。

 つまり「市場の常識から微妙にずれた政府の判断」によって、株式市場がもっと歪んだものになってしまうことへの懸念なのです。

 最後に、なぜ東京電力に対しては(やはり政府が巨額の出資をするのに)JALの時のような「破綻処理を含めた強硬な介入」が出来ないのでしょうか?

 答えは簡単で「東京電力は完全に役所なので、これは役所と役所、あるいは官僚組織の中の利権争い」だからです。最初から国民のためとか日本全体のためなどという視点が抜けているので、いつまでたっても「何が何だかわからない」状態が続くのです。

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コメント
藤原
歴史嫌いの私が逆説の日本史とであい、
闇株とであい、nhk平清盛を見て、このところ
時代の本質というかーーーー

人はあるべきようはという7
文字を保つべき成  明恵

なぜか引っ掛かる言葉です。

ぜひ闇株でとりあげてください

東電<親方日の丸>は、論外!

枝野氏は、東電を破綻させない閣議決定をする発表をし、原子力損害賠償支援機構法<平成23.8.10日法律弟94号>が施行されました。

結果、24年3月期決算は、純資産合計8124億円で貸借対照表上、債務超過とはなりませんでした。

売上    5兆3494億円
営業利益   △2725億円
経常利益   △4004億円
純利益    △7816億円


資本金      8487億円
資本剰余金    9009億円
利益剰余金   △2874億円

純資産合計    8124億円

貸借対照表、固定資産で、未収原子力損害賠償支援機構交付金1兆7626億円が計上されて、資産扱いで債務超過とはなりませんでした。この交付金は、東電が特別負担金として返済義務がありますから、実体は[借入金<負債>」ですけど、会計上、交付金として資産に<会計と実体を見る税務の違い>。

こんな会計を許容していいいんでしょうか?

文言の遊びなんですかね?交付金は・・・

企業が社債発行しますと償還までは、負債計上なのに、この交付国債を資産計上して債務超過決算としない「カラクリ」!
とてもよく分かりました。
なぜ東京電力に対しては強硬な介入ができないのか、掘り下げて下さい。
NHK
クローズアップ現代みました。(^O^)
結局、JALに投資した京セラはいくら設けたのでしょうか?
いわゆる利益供与にあたるのでは?
増資してないみたいですね。
増資してましたね。
何かふにおちないです。
きっと、航空業界に詳しい人がいないんだと思います。
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