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ECBの金融緩和と日本銀行の無策

2012年07月16日

ECBの金融緩和と日本銀行の無策

 先々週の7月5日にECBが0.25%の利下げを行ったのですが、それより重要なことは中央銀行への預金金利を0.25%からゼロとしたことです。

 一方、我が日本銀行は先週7月12日の政策決定会合を「ホンの微調整」だけで終わらせ、最も期待されていた日銀当座預金金利の引き下げ(あるいは撤廃)を、わざわざ解説付きで見送ってしまいました。

 一方、米国も先月のFOMCでは、残存3年以下の国債売却・残存6年以上の国債買い入れの「ツイストオペ」を延長しただけで、追加の量的緩和を見送っています。またFRBへの預金金利は0.25%です。

 この辺の差が、為替市場に「はっきりと」現れています。

 まずECBが緩和した7月5日から先週末の7月13日までに、1ユーロ=1.25ドル台から1.22ドル近辺へ、また1ユーロ=99.70円から97円前後まで「ユーロ安」が進んでいるのです。

 株式市場でもその間に、DAXもCACも10%以上の上昇となっています。

 つまり「金融政策は時間稼ぎに過ぎないものの、経済回復のためにはその時間稼ぎが必要であり、とりわけ自国通貨安・株高が重要である」ことを理解しているECBと、「全く理解していない(しようとしない)」日本銀行の差が現れているのです。

 ドルについては、少なくとも米国政府は政治的に「対ユーロではドル高政策に切り替えている」と考えているのですが(事実、ドルインデックスは昨年5月の72.70をボトムに先週末には83.35まで上昇)、これはまた別の機会に書きます。

 ECBの金融緩和の効果を、もう少し詳しく見てみましょう。

 まず7月5日以降にECBへの預金金利がゼロになったため、ECBの翌日物預金残高が8000億ユーロ台から3000億ユーロ台へ激減したとの報道があるのですが、これはその分がほとんどそっくりとECB当座預金残高に振り替わっているだけで「資金が大量に貸付けや国債買入れ」に回ったわけではありません。

 重要なことはその心理的効果で、「そのうち貸し出しや債務問題国の国債買い入れに回るはず」だとする期待感がでて、ユーロ安・株高効果と合わせて経済回復・債務問題解決への「時間稼ぎ」となるのです。

 さらに目に見える効果として、ドイツの2年国債の利回りがマイナス0.05%、最上格付けでもないフランスの1年未満の短期国債の利回りまで若干のマイナス利回りとなったことです(スイスの短期国債の利回りはマイナス0.4%です)。

 日経新聞では「ECBの預金金利がゼロになったので、国債への需要が一気に高まり、マイナス金利でも信用力の高い独仏の国債で運用したい投資家が増えたから」と解説していますが全くの「意味不明」です。

 これにはいくつか理由が考えられるのですが、まずECBの総額1兆ドル・3年の資金供給に対する「担保繰り」が厳しくなっていることや(注)、そもそも債券のアービトラージ市場で「売り対象である割高銘柄」の独仏国債がスクイーズ状態になっていることが考えられます。スイス国債のように通貨が違う場合は単純に過剰な資金流入なのですが、同じユーロ建ての独仏国債では、これくらいしか考えられません。

(注)7月5日にECBは、従来担保として認めていた政府が保証する銀行の貸出債権の「増額」を認めない決定をしています。

 日本では日本銀行の「資産買入れ等に基金」で買入れる3年未満の国債利回りは、その売却代金を日本銀行当座預金に置いておくと0.1%の金利が付くため、当然のように0.1%以下にはなりません。

 そこで日本の短期金利(短期の国債の利回り)がユーロの短期金利を「大きく上回る」状態になってしまっているのです。これではユーロ安が進むはずです。

 これを食い止めるためには、日本銀行は即刻当座預金金利を撤廃するだけでなく、懲罰的な「マイナス金利」まで考える必要があるのですが、当然のように「全く期待できず」当面はユーロ安・円高が続くことになるのです。

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コメント
これは、私だけの説ですが、日本は金融政策の実験場になっていると思います。

国家を没落させる手段として、経済を縮小させ、増税と財政再建という両立しない政策により国民経済を疲弊させ、国債の海外販売を進め他国の支配力を高める。

日銀は自分の意思で政策決定していない、誰かが決めたシナリオで踊っている、というのが私の仮説です。日銀自身それに気が付いていません、「誰か」が考えた「偽の経済理論」を信奉し実行しているだけです。

日本の実験で立証されたことが、EUで行われ始めました。

誰が何のために? アメリカの9.11ツインタワー同時テロはアメリカ人でも半分以上は真犯人は別にいる、陰謀だと考えているというアンケートがあります。経済とか医療とかエネルギー政策が、倫理道徳、人類愛、マーケット理論だけで動いていると考える人は陰謀論も信じないでしょう。

でも、アメリカも中国も貿易交渉では「国益は放棄し、中立な立場と人類愛の精神だけに基づき」条件交渉していませんよね。
結局、日銀は何も変わっていないということがハッキリしました。あの「平成の鬼平」と言われた三重野総裁以来の金融政策が今後も続くということでしょう。そして、明白なのは、この金融政策レジームが続く限り日本経済はダメだということです。
円高が悪いといわれるが、輸入品が安くなるから、それに依存するものはよいではないか?
それよりも、輸出入において、暴利を無サボぼているもの、たとえば小麦の輸入についての農協の役割をなくすとか、電力料金が亜米利加の二倍だから、これをせめて亜米利加の7割にするとか。
 原発は放射線線の規制が1ミリシーベルトで人員を雇っているが、それが今回5ないし20ミリまでいいというなら、その人員はへらして、安くすることが可能だと思う。
 為替は分からないが、高いほどいいのではないか?
 もう国内は商品は飽和、つまりいきわたっているから、色々無理ではないか?
 仕事を作るなら財政出動しかないから、そのための方策を色々する上において円安がいいのならそれは失業対策としていみがある。
 しかしソレヲしてもたとえば鉄が安ければ、輸入が増えるだけで、国内効果は限定される。では何がいいかというと軍事を予算を増やすことである。
 これ以外にはないのでは?
円安は国全体ではソンが多いのではないか?
それよりも電気料金が亜米利加の二倍だからこれを1.3倍くらいにするよう規制を緩和するとか。法人税をなしにするとか。社会福祉費用を減らすとかして、国内に企業がいやすいようにすることをして、産業を維持して、なおかつ円高に維持することではないか。
 為替の問題ではないのではないか?
>健太さん

1ドル=103円にすれば、ご希望通り電気料金はアメリカの1.3倍になりますよ。
つまり、為替の問題なのです。
>dellさん
ご返事ありがとうございます。
 即座にそのような思考ができれば、経済現象の理解がすすみますが、どうも無理ですね。色々考えて、何かおかしいなあと思っていることはおそらく円だけで考えているからでしょうね。意見や考えも円建てか、ドル建てか元立てかでかんがえる必要がありますね。市井にいて、身近に接しないと無理ですが、これから勉強です。
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