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欧州市場における「新たな火種」

2012年07月23日

欧州市場における「新たな火種」

 先週末(7月20日)の欧州市場では、ユーロの下落・株式下落・スペイン国債利回りの上昇となりました。典型的な危機再来相場のようですが、そんなに単純でもなさそうです。

 まず通貨ユーロは、先週末の引値で1ユーロ=1.2150ドル、対円では95.30円となりました。対ドルでは最初にギリシャ問題が発覚した2010年5月に1ユーロ=1.2ドルを割り込んでいるのですが、対円では2000年10月に89円を瞬間に割り込んだ時以来の安値です。因みにその時点では1ユーロ=0.8252ドルでした。

 本誌は昨年9月以降ずっと「ユーロ安」と主張しています。一本調子で「ユーロ安」になっているわけではないので自慢は出来ないのですが、その理由は「域内で通貨を固定してその中に財務問題国を抱えた場合の処方箋は通貨安(つまりユーロ安)しかないことをユーロ圏首脳が理解している」と「ECBがユーロ安のために大量資金供給などの正しい方策を思い切って行い市場にも明確なメッセージを伝えている」と考えているからです。

 つまり「ユーロ安」は、ユーロ圏首脳やECBが明確に「ユーロ安」にしようと思っているからであり、別に心配することはないのです。

 逆に日本では政府や日銀が「円安にしようと思っていない」か「思っていても正しい方法をとらない(分からない)」から「円高」なのです。

 次にスペイン10年国債の利回りが週末に7.3%となり史上最高水準です。10兆円の銀行支援が正式に決まったところの利回り上昇なので「かなり問題」です。またイタリア10年国債利回りも6.2%へと上昇しています。

 これは単純に銀行の不良債債権問題とか国家の債務問題ではなく、全く違ったレベルでの問題が顕在化してきているような気がします。

 ドイツ10年国債の利回りが1.17%と、ほぼ史上最低利回りとなっています。本年3月頃の利回りは2%くらいでした。日本10年国債の利回りは本年3月の1%あたりから直近の0.74%へ低下しているのですが、それに比べても「異常な利回りの低下」です。

 これは巨大な債券アービトラージが、巨大な損失を抱えていることを意味します。債券アービトラージとは「割安な債券(例えばイタリアやスペイン国債)を買い、割高な債券(例えばドイツ国債)を売る」ものです。いくらイタリアやスペイン国債が問題含みと言っても「同じユーロ建て、ユーロ体制堅持のために支援体制が出来るはず」と思って利回りが拡大していく過程で(あるいは支援の合意が出来そうなときに)巨額に積み上がっているはずなのです。

 当たっているとすれば「新たな火種」となります。

 直接関係ないかもしれませんが、ユーロ圏ではドイツ・オランダ・フィンランド・オーストリアの2年以下の国債利回りがマイナスになっています。これもこれらの国債が債券アービトラージの「売り」の対象になっており、「品借り調達」のコストを考えるとマイナス利回りになっているような気がするのです(注)。

(注)例えば、本来の2年国債の利回りが0.2%としても、「品借り調達コスト」が0.3%であれば、国債をマイナス0.1%で購入しても「品貸し」に出せばコストが合うのです。誰も指摘しないのですが、国債利回りがマイナスになるのはこういう場合しかないのです。

 何れにしてもユーロ圏、およびその周辺の非ユーロ諸国(英国・スイス・スウェーデン・デンマークなど)の債券市場は「新たな火種」を抱えているような気がします。

 話題が全く変わるのですが、先週末(7月20日)に笠間治雄・検事総長が「勇退」し、小津博司・東京高検検事長が「予定通り」に昇格しました。まあ笠間氏の就任時からの既定路線で、粛々と「赤レンガ派」に大政奉還が行われたわけです。

 本誌で以前、小津検事長の検察官定年(63歳)が本年の7月12日と書いてあったので「どうしたんだろう」とのコメントも頂いていたのですが、7月21日だったようで「無事セーフ」でした。検事総長の定年は65歳なので、まるまる2年間の任期となります。

 明日は「近衛上奏文」を再開します。

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コメント
まさか、第2のLTCMとなる様なヘッジファンドがでてくるんじゃないでしょうね?

ジャンク債買い・欧米国債券売りポジションでしたが、1997年のソロスによるタイ・バーツ売り浴びせからのアジア通貨危機→ロシア危機から、新興国債券の損失が膨らみ、破綻。

歴史は繰り返しますから・・
円安がどれだけ日本経済にいいのかはよく分かりませんが、日本政府、日銀は日本の電機メーカーなど大きい輸出企業が2、3社潰れるくらいまでいかないと本気で円高対策なんかしないんじゃないですかね。
それはアービトラージとは言わないし、現代の巨額資金を集めることに成功しているような優秀なファンドが、そんなアホな戦略にベットしているとは思えない。
欧州中央銀行<以下、同銀行と言う>・ドラギ総裁は、同銀行の主たる債務が国債市場への介入を不可欠とする認識と発言し<9月4日>、金利コントロールを同銀行が取り戻す必要があると。

このことは、ドイツ、フランス以外のユーロ国には、金利政策の意味がなくなっていて、スペイン、イタリア等は、国債利回り上昇<国債価格下落>していて、金利政策でその利回り低下<金利低下>は見込めないから、同銀行が、国債購入することが、責務を果たす手段であり、ユーロ存続に関わるとしています。

※但し、短期債だけのようです。

スペイン、イタリアが発行した国債を、スペイン、イタリア市場で国債購入を発行国に求めても、金利政策が意味を持たない状況であるから、堂々巡りとなるだけだから、同銀行がその国債購入をしていかないと、ユーロ存続の危機になるってことかと思いますけど。

このことが決定されれば、ユール買い・ドル売り、円売りの流れになり、対米ドル、円に対してユーロ安進行の歯止めとなる可能性がでてくるかと思います。しかし、本格的な歯止めになるには、疲弊しているユーロ実体経済が持ち直していかなければ、ユーロ安は、止まらないかと見ますけど。

財政ファイアンスなんて言及する立場の方がいますけど、米国では、FRBによるツイスト・オペ実施して、長期金利上昇に歯止めをかけていますから。

債券市場では、スペイン、イタリア等国債に関して、信用リスクの保証コスト<CDS値>上昇しますから、その見地からも、同銀行による国債購入をしなければユーロ危機は脱出できないっつてことかと・・・
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