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イチロー選手のトレードに見るMLB(Major League Baseball)のビジネス

2012年07月25日

イチロー選手のトレードに見るMLB(Major League Baseball)のビジネス

 日本時間の本日(7月24日)早朝、マリナーズのイチロー選手がNYヤンキースにトレードされたというニュースが出たと思ったら、もう午前11時開始のマリナーズ対ヤンキースにイチロー選手がヤンキースのユニフォームを着て出場していました。

 それはそれで感動するシーンだったのですが、MLBのビジネスを正しく理解するために少し解説を加えておきたいと思います。

 MLBにとって7月末は重要なトレード期限です。ポストシーズンゲーム(プレイオフやワールドシリーズ)に出場する選手は、7月末までにそのチームの支配下選手になっている必要があるからです。

 さらにこのころには大体シーズンの3分の2が終わり、ポストシーズンに望みのあるチームは一層即戦力を補強し、逆に望みのなくなったチームは来シーズンのために若手中心に切り替えます。

 今シーズンに望みのなくなったチームは、給料の高い即戦力やベテランを放出し、見返りに給料の安い若手の有望株を獲得します。

 イチロー選手のトレードも、まさにそういう両チームの意向を反映したものなのですが、もう少し詳しく見てみましょう。

 そもそもMLBは、常に戦力を均等化させて競争状態を作り出して人気を維持しています。そのために新人ドラフトは前年の成績の下位チームから機械的に指名していく完全ウェーバー方式となっています。

 それ以外にもドラフトには各種の補償制度があり、結果的に成績が何年か下位に低迷すると必ず有望新人選手を多数獲得できて戦力が向上します。以前ご紹介したワシントン・ナショナルズは現在ナショナルリーグ東地区の首位を走っています。

 イチロー選手のいたマリナーズも10年間も下位に低迷しているので有望選手の宝庫になっているはずなのですが、信じられないほど下手なドラフトとトレードで「さっぱり」成績が向上しません。しかしマリナーズとしては「若返り路線」を続けざるを得ないため、最高給(年俸1700万ドル)で本年で契約の切れるイチロー選手と、来年以降の(かなり年俸が下がっても)再契約をすることはほぼ不可能だったのです。

 特にマリナーズは人口の少ないシアトルにあるため、人口の多いNYのヤンキースのように地元放送局の巨額放映権も期待できず(注)、ここからも「若手中心・低予算化」を進めざるを得なくなってきていました。

(注)全米放送はMLBが一括して契約するため巨額の放映権料となります。現在はFOX、ESPNら4局に対し年間8億1100万ドル(632億円)を各チームに分配しています。2014年からは7年で100億ドルの契約が更新されています。

 また地方放送局の放映権はそれぞれの球団の収入となるのですが、最近は人口の多い都市の放映権が高騰し球団による収益格差が出始めています。またNYヤンキースは傘下にテレビ局を保有しています。

 イチロー選手のトレードは、契約が残っているうちに「ひと商売」したかったマリナーズのオファーに、たまたま外野手に故障者の多かったヤンキースが「応じた」わけです。

 マリナーズの「ひと商売」というのは、見返りに獲得する若手選手2名のことですが、そこは「新人を含めて若手をみる力」が信じられないほど欠如しているマリナーズが将来活躍しそうな選手を獲得したのかどうかは分かりません。

 これは発表されないと思いますが、イチロー選手の年俸(1700万ドルなのですが、MLBの年俸はレギュラーシーズンの6ヶ月払いなので、残りは2か月強のため600万ドルほど)はヤンキースが契約を引き継いで支払うのですが、多分その半分くらいはマリナーズが負担しているはずです。

 つまりマリナーズは300万ドルほどの人件費を節約し、未知数の若手2人を獲得し、残るシーズンを若手中心で戦い来シーズンに備えるのです。

 一方ヤンキースは300万ドルほどの追加出費で、手薄になった外野陣を補強してポストシーズンに備えるのです。ヤンキースが来シーズンもイチローと再契約するかは全く未知数です。松井選手の例を見ても分かるように、MLBでは年々高齢の野手の価値が下がってきています。

 その理由は全く皮肉なことですが、MLBの高収益化で年俸が高騰しているため、優秀な若手がMLBに集まってきているからです。これは投手についても言えるのですが、投手はある程度「数」が必要なため、まだ価値の上昇が止っていません。

 イチロー選手に対する「夢」を壊すようなことは書きたくなかったのですが、今後もMLBを目指す日本選手が続くと思われるため、MLBの考え方を正しく理解してほしいと思うからです。

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コメント
日本のマスコミの日本人メジャーリーガーの報道は過剰でないかと感じております。イチロー選手はもうアメリカではたいした話題ではないのではないのではないでしょうか。よかったときの評価も、もうひとつで、ゴルフ選手のような打ち方をすると知人のアメリカ人が言ってました。松井のほうが評価が高かったです。
日本が海外に誇れるもので、わかりやすいものがもう他に無いのでしょう
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