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日米の金利上昇をどう見る

2010年12月22日

日米の金利上昇をどう見る

 日銀の追加金融緩和があった10月初めに0.82%まで下がった10年国債の流通利回りは、その後1.25%まで上昇(価格は下落)し、本日は1.18%となっています。
 一方、11月初めにFRBによる6000億ドルもの国債の買い入れを発表した米国の10年国債の利回りも、発表直前の2.4%台から上昇し、一時3.5%をつけ(価格は下落)、前日は3.33%となっています。

 それぞれ、意外な金利上昇となっており、いろんな解説がなされています。今日はこれについて考えてみましょう。
まず、最初に頭に入れておかなければならないのは、国債の流通利回りは、需給で決まることと、経済の先行き予想によって決まることがあり、どちらを見るかによって全く反対の結果になるのです。

 米国の方から行きましょう。

 FRBが向こう半年くらいの間に6000億ドル(資産担保証券の償還分の再投資分を入れると9000億ドル)もの長期国債を購入するのですから、間違いなく需給関係から流通利回りの下落(価格の上昇)になるだろうと思われていました。
 しかし、この国債は主に銀行や、投資信託等の機関投資家の保有分を買うので、銀行や機関投資家は、その資金で貸し付けを増やしたり、株式や不動産などを購入したりするため、企業活動が活発になったり、株式の上昇などの資産効果により、結果的に経済が上向くことが期待されるわけです。事実、その効果は出始めています。

 その結果、金利が多少上昇することは当たり前であり、経済が健全な証拠なのです。
 特に日本では、それをとらえて、米国の金融緩和は失敗に終わったなどと、パニックになって、日本国債まであわてて売却しまい、日本国債の流通利回りまで急上昇してしまったのです。
 ただ、米国の財政赤字も年間1兆5000億ドル程度と、空前の額になっており、国債の大量発行懸念から流通利回りが上昇する可能性は、日本よりは高いと思います。しかし、現在の政策を続けることにより経済が上向き、税収が増えて財政赤字が減ることが期待できることと、まだ中国をはじめとする資本流入国は、まだその受け皿として米国債の購入を続けていることから、ギリシャやアイルランドのように財政赤字から国債の流通利回りが高騰するという心配は当分の間ありません。

 つまり、米国債の流通利回りの上昇は、「良い金利上昇」で、たまたま、ややスピードが早かったということだと思います。まあ最大の犯人は、単純に需給関係からあわてて米国債を大量に買ってしまい、あわてて損切った日本の銀行や機関投資家なのでしょう。

 米国債の流通利回りは、急上昇はしないものの、全体としては少しづつ上昇することになると思います

 それでは、日本の方はどうでしょう。

 まず、米国と需給の構造が全く違います。2010年9月末の国債発行残高は854兆円(財投債と政府短期証券を含む)で、そのうち海外投資家の保有が51兆円、家計の直接保有が35兆円しかありません。
 実に631兆円が国内の金融機関の保有なのです。金融機関とは、銀行、郵貯、簡保、年金、信金等の中小金融機関、そして日銀などです。
 同じく2010年9月末の全国銀行の実質預金は566兆円、貸出残高が419兆円で、実に147兆円も余っており、そのうち125兆円くらいの国債を保有しています。

 つまり、日本の金融機関の運用は国債をはずして考えられず、仮に金利が少し上がりそうだと言って、これを全部売却するなどあり得ないのです。新聞等で、米国債の損失を埋めるために日本の国債を売却したという記事がありますが、実際は米国債の利回りの上昇(価格の下落)を見て、日米の国債を取り巻く環境の違いなど全く考えずに、パニック的に日本国債も売ってしまったということだと思います。

 特に、日本の国債の流通市場は、エリート(と自分で思っている)の銀行マン等が牛耳っているため、経歴に傷がつかないように、常に言い訳ができるような行動をとるものなのです。「いやあ、誰も予想できなかった米国債の暴落で、日本国債も暴落したのでして、私が間違ったわけではありません」なんてね。

 そもそも日本の金融機関は、日銀が国債をいくら買い入れてくれても、その資金で貸し付けに回したり、株式投資を増やしたりすることは全くないため、そもそも景気浮揚効果は最初から期待できていません。だから経済が上向いて、結果金利が上昇するということ(良い金利上昇)は、全く考える必要はありません。

 つまり、日本の国債の流通利回りは、また少しづつ下落するはずです。

 その結果、日米の金利差は拡大します。

その結果何が起こるか?
少なくとも、ドルは対円ではこれ以上弱くはなりません。70円台もないと思っています。
為替の予想は年内にもう一度書きます。

11月30日 「日本国債の話 その1」
12月1日  「日本国債の話 その2」

を読み返してみて下さい。


平成22年12月22日

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