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巨大な「ゾンビ企業」東京電力

2012年08月03日

巨大な「ゾンビ企業」東京電力

 FOMC(7月31日~8月1日)の結果は、「必要なら追加緩和」というニュアンスが強く感じられるものの、実際の追加金融緩和は見送られました。

 従ってタイムリーな話題が無くなってしまいましたので、久々に東京電力についてです。

 7月31日に原子力損害賠償支援機構(以下「機構」)を引受先とする1兆円の優先株が無事に払い込まれました。これは5月21日に発行決議をして6月末の株主総会の定款変更(種類株の発行と発行株数上限の変更)を経て払い込まれたものです。

 まあ発行決議のあった5月21日の引値が162円で、5月10日が196円だったのですが、インサイダー取引があったなどという「野暮なこと」は誰も気にしていないようです。因みに本日(8月2日)の引値は141円で、最安値は7月20日の120円です。

 せっかくなので5月21日のIR「第三者割当による優先株発行のお知らせ」を見直してみました。

 発行されるのはA種優先株式(議決権あり)が16億株(払い込み価格が200円)で3200億円、B種優先株式(議決権なし)が3億4000万株(払い込み価格が2000円)で6800億の合計1兆円です。

 優先株の発行以前の東京電力の発行株数は16億株をわずかに超えていたのですが、自己株や単位未満株があるため議決権付きの発行株数は16億株をわずかに下回っています。

 従って払い込み直後の機構の議決権比率は50%をわずかに超えます。まあ1兆円も払い込んで、普通株の時価総額2266億円と「ほぼ同じくらい」の議決権しか取得しなかったことになります。

 もちろんA種優先株はいつでも「直近5営業日の引値平均の90%」で普通株に転換でき、B種優先株もA種優先株(議決権あり)に1:10で転換できる(普通株への直接転換もできます)ことになっています。またその転換価格の上限は300円、下限は30円とされているので、最大で333億3333万株もの潜在株となります。

 発行前の普通株の発行株数が16億株だったので、実に2000%以上の希薄化なのですが「別に問題はない」ようです。ついでに言えば6月の株主総会で、発行できる株数の上限が141億株となったのですが(普通は発行済み株数である16億株の4倍の64億株までしか増やせないはずです)、これも「別に問題はなかった」ようです。

 また不思議なことにA種優先株にはB種優先株(議決権なし)への転換も可能とされており、東京電力の経営改革に一定の目途がついたと機構が判断した場合には「自発的に」議決権の比率を50%以下に引き下げるようになっているそうです。優しいですね。

 これ以外に機構は合計2兆5462億円もの「資金援助」を決定しており、東京電力は平成24年3月期決算で、そのうちの1兆7626億円もの「未収支援金」を資産計上して、やっと8124億円の「資産超過」となっていたのです。

 また震災直後に民間銀行から2兆円もの緊急融資を受けているのですが(それ以前の融資残も合計で2兆5000億円ほどありました)、今回の優先株の払い込みを受けて新たに総額1兆700億円もの融資が順次実行されていくようです。

 また公募社債の発行残高も平成24年3月末現在で3兆6774億円もあります。

 因みに発表されたばかりの第1四半期(平成24年4~6月)の決算短信では、経常損益段階ですでに1341億円の赤字です。これに1610億円の特別損失と118億円の特別利益を加えて2855億円の期間純損失です。年率1兆円を超えます。

 つまりいくら不幸な震災による被害があったとしても、あらゆる面で優遇されている完全な地域独占企業でありながら、東京電力は完全な「死に体」なのです。

 当然のように機構の引き受けた1兆円の優先株は「償還出来るはずがない」のです。コメント頂いて気がついたのですが、機構の払込資金は全額「みずほコーポレート銀行」からの借入です。どういう条件(期間とか担保の有無とか)になっているのでしょうね?

 JALの場合と全く違い、東京電力は原子力発電も含めて「完全なる官僚組織」です。従って「株式市場を使った公的支援のスキーム」に見えるだけで、全くの国民不在・市場原理無視の「丸抱え救済」なのです。

 まあ株主責任(100%減資)だけを一方的に取らされなかっただけ「良かった」としましょう。

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コメント
原子力損害賠償支援機構へ割り当てた優先株式1兆円の原資は、みずほコーポレート銀行からの借入金と、大量保有報告書の取得代金内訳から分かります。

希釈率300%以上となる株式発行は、上場廃止規定に抵触しますが、証券取引所が、やむをえない事情とした場合には、抵触しませんけど、「東電」だから認めたことなのかと。

優先株式から普通株式へ転換されることはなく、東電の利益剰余金、発行されと予測する公募増資等資金から、優先株式を自己買い入れ消却していくのかと思います。

みずほの1兆円融資は、公募増資の買取引受幹事会社となる確約を取り付けたんじゃないでしょうか。

貸主・みずほコーポレート銀行と 借主・原子力損害賠償支援機構との1兆円金銭消費貸借契約書の返済期限を見てみたいです。

[東電は、平常時の繰返し業務をこなすことしか能のないな社員しか
養成してこなかった会社]
これには、経営幹部も含まれる。

闇株さま、読者のみなさま、足らざるところ多き者ではありますが、
一つの意見としての投稿をお赦しいだければ幸いです。

福島原発は水素爆発、格納容器の破壊、メルトダウンの過程及び
結果により大量の放射性物質の漏洩を起こした。
だが震災発生から以降に福島原発で何が起きて、このような惨事に
至ったのかは、今だに解明検証できていない。
しかし、これまでに行われた事故調査や、メディアによる取材など
により、いくつかの否定できない問題点が認識されている。

これらの問題の根幹を成す共通の素地は、非常時に何が起こり
その時にいかなる対処が必要となり、それを最も効率的に実施
するためには、どのような備えをしておくべきかということが
真剣に取り組まれた形跡がないことである。

それは、原子力行政、及び事業を実施している企業の双方、
更には、外部にあって学識により協力し、あるいは批判する
有識者、そして原発施設の誘致による利害当事者となっている
公共団体、及びその電力の供給を受ける消費者、また、事故
発生時には、被害をこうむる可能性があるにもかかわらず、
何らの利害も認められていない近隣の公共団体及びその住民
らの、いづれからも、強力で、無視できないような、批判が
表明されてこなかったことが、原発災害のすべての根底にあ
ることを認識しなければならない。
ここには、無責任という体質がよこたわっている。
つまり日本という国全体に蔓延している思考停止状況を、
厳しく認識し自覚すること、そして、今から何を考えな
ければならないのかを洗い出してゆくことから始めねば
ならない。
今の日本は、平常時の範囲にある繰返しにしか対応能力
がない。
平時の運営と並んで、
いざ非常時のあらゆるケースについて想定し、その対処
を現実の課題として考えうる限りの試行し、そこから、
最良の対処を模索し、結果を評価することをたえまなく
続けることにより非常時の対応能力を高めておくことは、
この国の運営と安全保障を担うべき統治者の責務である
と同時にその資格をもつ者たるゆえんでもある。
その任を十分に果たさない者は、政権を降りねばならない。
また同時に有権者は、自らの責任と自覚をもって、国の
統治を担うべき新たな者を選ばなければならない。

東電が、平常時の繰返し業務をこなすことしか能のないな社員しか
養成してこなかった会社であったが、このこは一企業の問題にとど
まらず、日本という国によこたわる問題だと強く感じます。
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