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日本銀行の「困った」体質

2012年08月10日

日本銀行の「困った」体質

 昨日(8月8日)から行われていた日本銀行の金融政策決定会合は「全く何もなし」でした。先週のFOMCとECB理事会も「何もなし」だったので予想はされていたのですが、白川総裁はその後の記者会見で「利付国債買入れの下限金利の撤廃」まで「必要な状況ではない」とわざわざ否定していました。

 「下限金利を撤廃」したところで「当座預金の付利(0.1%)を撤廃」しないとほとんど意味がないので、両方ともわざわざ否定してしまったことになります。

 ただ「今後も資産買入れ等の基金の着実な積み上げを通じ間断なく緩和を進めていく」と強調しており、これが「緩和継続」あるいは「追加緩和」を強く示唆したと受け止められているようです。

 ところがこのコメントは「何も特別なこと」を言っていないのです。

 4月27日の「追加緩和」で「資産買入れ等の基金の上限を70兆円、ただし2012年末までは65兆円とする」と決めた通りに積み上げると言っているだけなのです。後で別の例もご紹介しますが、日本銀行の発表やコメントには「意識的に市場に錯覚を与えるため」としか考えられないものが多いのです。

 その資産買入れ等の基金は(7月12日にも「追加緩和」されており)総額70兆円のうち資産購入が45兆円(残存1~3年の利付国債が29兆、短期国債が9.5兆円など)と共通担保オペが25兆円となりました。7月末時点での残高は資産が24兆円(利付国債が14兆、短期国債が4.5兆など)と共通担保オペが31兆円(これから25兆円まで減らす)となっています。

 確かに利付国債を中心に年内に16兆円(注)ほどの残高が「着実に積み上げられる」ことにはなっています。

(注)2012年末までの上限65兆円から共通担保オペの25兆円を引くと資産分は40兆円となり、現在の残高が24兆円なので年内の買入れ余力が16兆円となります。確かに残存1~3年の利付国債と短期国債を中心に毎月3兆円ほどの買入れが必要となります。

 資産買入れ等の基金は「残高の上限」とはっきりと書いてあるので、買入れた利付国債や短期国債が償還になっても(残存期間が少ないので次々に償還になります)、さすがに償還分も新たに買入れて残高を維持するのだと思います。

 何故こういう書き方をするかと言いますと、日本銀行は量的緩和とは別に「長期国債」を市中から買入れて「成長通貨(もう死語ですが)」を供給しています。この買入れ額は2009年3月から月額1兆8000億円(年額21兆6000億円)となっており、日銀総裁もたびたび「長期国債」を「年間21兆6000億円も」買入れているとコメントしています。

 しかし本年7月末現在の日本銀行の「長期国債」の保有額は65兆9000億円で、その1年前の2011年7月末が60兆9000億円で5兆円しか増えていません(資産買入れ等の基金の保有分は除く)。

 「以前から保有していた長期国債が償還になったのかな?」と思っても、償還分で購入することになっている短期国債の残高はその間に16兆3000億円から13兆2000億円に「減って」います。

 そのからくりは「長期国債」を「年間21兆6000億円も」買入れていると言っても、その大半が「発行時に長期国債だった残存年数が(多分)2年未満の利付国債(注)」であり、かつ「保有国債が償還になっても(多分)借り換えに応じていない」からなのです。

(注)21兆6000億円の内訳は1年未満が7兆4400億円、1~10年(かなりの部分が1~2年と思われます)が12兆円となっています。

 日本銀行が短い国債しか買入れていないことは、むしろ中央銀行として当然なのですが、問題は「実態を正確に説明せずに、市場に誤ったイメージを与えていること」なのです。

 「資産買入れ等の基金」の場合も、2010年10月に35兆円で導入されたのですが、実はそのうちの30兆円は2009年12月に導入されていた「固定金利資金供給オペ」をそのまま取り込んだもので、2010年10月の導入時には22兆の残高が既にありました。

 つまり「資産買入れ等の基金」は導入時には僅か5兆円だったのです。正確にそう言うと随分イメージが違ったはずです。ただこの5兆円の中にETFとREITが5000億円ほど入っており確かに株価が上昇したため「資産買入れ等の基金は非常に効果のある量的緩和策」というやや誤ったイメージを植え付けてしまったのです。

 こういう日本銀行の「困った」体質は、今後も問題となって行きそうです。

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コメント
闇株さんは色々と勉強になりますが、では、日銀に「やるべきこと」をやらせるにはどうすればいいんですか?何ができるんでしょう?糞みたいな社畜サラリーマンの飲み屋での無意味な愚痴と同列には捉えたくないんですが。
日銀法改正しかないと以前から言われていたが、もはやその段階にきている。

相手が動かない時(動けない時)に日銀が何かを仕掛ければ効果が大きいはずなのに何もやらない。

明らかに、日本ではなく海外の特定の個人、団体の利益につながることを行っているのが、
日銀と言わざるを得ない。
それは、これだけ金利が下がっている国で株価がこれだけ下がっている国もないという所で証明されている。

日銀法改正しかない。
市場に錯覚を与えるためというより、緩和、緩和とうるさい政治家に錯覚を与えるためというのが本当のところかと思われます。今の状況では緩和をしたくないというのが日銀の本音なのでしょう。困った体質です。
もはや日銀法改正しかないと思います。
日銀は為替政策に対しての認識を改めるべきだ。適正な為替レートは政府の市場介入だけではなく、日銀の量的緩和によっても実現されなければならない。
円高は日本の輸出産業に打撃を与える。輸出産業は労働生産性が他国より高く、労働者を高給で雇うことができた。これらの良い職が日本から失われる。結果として日本の法人税所得税が減ることになる。日本が財政悪化していくのは当然だ。
実力に見合う円高なら税収は減らない。円高は国益などと言うアナリストは、日本の財政悪化を見落としている。国破れて円あり…
闇株さんがどのように孫崎さんの本を読まれたのか分かりませんが、あまり学ばれ無かったのは残念です 近年の日本官僚の推し進めている政策の多くは対米配慮の産物。 日本の国益よりアメリカの国益を優先する。 オバマ大統領が輸出に力入れる言った時点で円安政策なんて選択肢はないんですよ。 日本が日本の国益に基づいて行動できるようになるためには、アメリカの呪縛から離れる必要があります。 EUと関係を深めるのが反米云々といったアメポチぶりでは孫崎さんの本を云々する資格はないです
 上記のコメントは多分8月6日付け有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」に書いた「日本が国際社会で生きる道」に対してのものだと思われます。

 そこではまさにご指摘の「近年の日本官僚の推し進めている政策はまさに対米配慮の産物で、日本の国益より米国の国益が優先されている」ことを基本認識として書いたつもりです。

 ただ金融分野、特に「円」は日本が世界で戦える唯一の武器であり、それをEUにも中国にも「中途半端に振りまく」のではなく、米国のドル基軸通貨体制のなかで確固たる役割を果たし、米国にとっても「無くなると困るもの」にしてしまって初めて「米国と(ある程度は)対等に口がきけ、日本が日本の国益に基づいて行動できるようになるかもしれない」と書いたつもりです。

 今後の有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」も、こういった観点から書いていきます。8月中にお申込み頂ければ8月6日の配信分もお読みできますので、よろしくお願いします。
>shionさん

横ですが
民主党本部
03-3595-9988
並びにshionさんの地域の国会議員に電話をかけたり
陳情したりするのがよろしいかと思います。

衆院の解散総選挙が目前に迫る中で
民主党が大惨敗するのは民主党員にも
理解できていますので
「選挙前に為替介入や金融緩和を行って
景気を(一時的でも)良くすれば
選挙が有利になりますよ」と懇切丁寧に
教示して差し上げれば、動く可能性
無きにしも非ずではないでしょうか。

勿論回数、人数が多いほど政治家を
動かしやすいでしょう。
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