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不思議な「外務省」

2012年08月22日

不思議な「外務省」

 外務省設置法第3条には「平和で安全な国際社会の維持に寄与するとともに、主体的かつ積極的な取り組みを通じて(中略)、国際社会における日本国および日本国民の利益の増進を図ることを任務とする」と書かれています。

 その外務省が8月20日に次官級の人事を内定しました。さぞかし「日本国および日本国民の利益の増進」のための人事のはずなので、少し詳しく見てみましょう。

 駐米大使(注)の藤崎一郎氏の後任には外務次官の佐々江賢一郎氏が、駐中国大使の丹羽宇一郎氏の後任には外務審議官の西宮伸一氏が、駐韓国大使の武藤正敏氏の後任にはこれも外務審議官の別所浩郎氏が、さらに佐々江氏の後任の外務次官には内閣官房副長官補の河相周夫氏がそれぞれ就任します。

 (注)正式には「在アメリカ合衆国駐箚(ちゅうさつ)特命全権大使」で、他の国の大使も同じように呼びます。

 大使の任命には閣議決定と天皇の認証が必要です。さらに相手国の合意(アグレマン)が必要で、拒否(ペルソナ・ノン・グラータ)されることもあります。最近では本年6月に鈴木敏郎・駐イラク大使がこれで解任されていますが、日本が駐日イラク大使を国外追放した報復でした。

 報道では「日米同盟の弱体化や中韓両国との関係悪化など外交の相次ぐ混乱で、主要大使人事は年次や格といった組織の秩序に重きを置く従来型に回帰した」とされています。

 つまり前半部分が確かに外交上の問題点で「日本国および日本国民の利益」のために最優先に解決するべきことなのですが、それに対して外務省が後半部分の「組織の秩序に重きを置く従来型に回帰」したことになります。

 確かに外務官僚の最高ポストである駐米大使は外務次官から、中国・韓国の大使もそれなりの序列通りの起用となったようです。つまりやっと念願の「外務省の希望通り」の人事となったのです。

 と言うのも今回交代する米中韓の大使は、それぞれ就任時に何らかの「外部の圧力」などが働いた形跡があり、必ずしも「外務省の希望通り」の人事ではなかったようなのです。

 藤崎駐米大使は伊藤博文の玄孫なのですが、外務省人事が末期の自民党政権に混乱させられた結果の「棚ボタ」就任(2008年)でした。民主党政権になってからも2009年12月に「クリントン国務長官に急遽呼び出されて普天間のもたつきを注意された」と発言したものの米国国務省に「呼び出していない」と言われるなど、迷走の多い大使でした。

 丹羽中国大使は伊藤忠商事の元社長・会長で、2010年6月の菅政権の「脱官僚依存」の象徴として起用されました。確かに実績は何もなかったのですが、そもそもチャイナスクール(注)の最高ポストである中国大使が民間から任命されたことは、チャイナスクールだけでなく外務省としても「全く面白くない」ことで、全く協力しなかった可能性があります。

(注)外務省入省後に中国語を集中して学ぶグループ。もちろん英・独・仏・露語などのグループもあるのですが、チャイナスクールはずっと中国関係のポストのなかで出世競争をしていくため、特にこう呼ばれています。チャイナスクールは中国政府と喧嘩をしてしまうと仕事がなくなるか危険なものになるため、絶対に中国政府と争いません。同じことがロシア語を学んだロシアンスクールについても言えます。

 武藤韓国大使は、韓国語が堪能で韓国事情にも詳しい「適任」ですが、横浜国立大学卒で、しかも明らかに序列を飛び越えた抜擢で就任したため、外務省の中でも「妬み」があったのでしょう。

 つまり交代する3人の大使は、時の政権の影響など事情はそれぞれ違うものの、外務省本流からすると「面白くいない存在」だったようです。それを「日米関係の弱体化や、中韓両国との関係悪化など外交の相次ぐ混乱」に乗じて一気に放逐したことになります。

 万が一にも、外務省本流や「その意を受けた」現地大使館が「早く失脚させるために意識的に協力しなかった」なら、それが米中韓という日本にとって最重要の3か国であるだけに大いに国策を損ねていたことになります。

 まあ、ようやく「外務省の希望通り」の人事となったので、これからはさぞかし米中韓とは「良好な関係」が築かれることを期待することにしましょう。


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 今回の尖閣事件の処理方針も、民主党政府が考えたのではなく、事を荒立てたくない外務省が事前に考えたシナリオをそのまま政府に認めさせただけのように感じる。 
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