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ECBの新たな決断 南欧国債の無制限買入れへ

2012年09月10日

ECBの新たな決断 南欧国債の無制限買入れへ

 ECBは9月6日の理事会で、南欧諸国(主にスペインとイタリアのことと思われます)の国債を買い入れることで大筋合意したと発表しました。

 買い入れる国債は残存年数が1~3年で、買入れ額には上限を設けないとしています。
 
 実際の買入れにはESM(欧州安定メカニズム)が正式に発足し、資金繰りに問題の出た国がESMに支援を要請してその条件である財政再建計画を受け入れるなど、まだハードルが残るのですが、週末(9月7日)にはスペイン10年国債の利回りは5.57%、イタリア10年国債が5.02%と劇的に下がり(価格は上昇)ました。

 またユーロも、翌日の9月7日に発表された雇用統計で米国の追加金融緩和予想が高まったこともあるのですが、ECB理事会前の1ユーロ=1.250ドルから1.2815ドル、対円では98.00円から100.30円まで上昇しています。

 ユーロ市場の不安がピークに達していた7月下旬にはスペイン10年国債の利回りが7.7%、イタリア10年国債が6.6%まで上昇し、ユーロの安値が1ユーロ=1.204ドル、対円で94.02円となっていました。

 これを受けて7月26日にドラギECB総裁が「ユーロを守るためにECBはあらゆる手段をとる」と「ユーロは不可逆的(後戻りできない)」と発言して市場を落ち着かせていました。今回はそれを具体的に発表したわけで、同じ趣旨の発言が繰り返されています。

 さて昨年11月1日に就任したドラギECB総裁は、就任直後と本年1月と7月の3回にわたって政策金利を1.50%から0.75%まで引き下げ、昨年末と今年2月に合計1兆ユーロの資金を期間3年で金融市場に供給し(LTRO)、また7月5日には3回目の利下げと同時にECBへの預金金利をゼロにするなど思い切った金融政策を打ち出しています。

 つまり中央銀行としてあくまでも正攻法である金融政策を、絶妙のタイミングと市場予想も上回る大胆な規模で打ち出して効果を上げてきました。

 しかし今回の南欧国債の購入は、正攻法の金融政策をやや踏み外しているかもしれません。なぜならMoody’sの格付けで、スペイン国債が本年6月にBaa3に、イタリア国債が本年7月にBaa2にそれぞれ格下げされています。お膝元のフィッチでもイタリア国債はAマイナスですが、スペインはBBBとなっています。

 ECBは、2010年5月に最初のギリシャ問題が発覚した時に国債購入プログラム(SMP)を導入し、約2100億ユーロ(約21兆円)の国債を購入していたのですがドラギ総裁就任後は中止しており、本年3月に正式に打ち切っていました。

 このSMPで購入した国債の内訳は未公表ですが、ギリシャ国債を500億ユーロほど購入していたはずです。これは本年2月の総計1070億ユーロのギリシャ債務再編の際に「別枠」とされて債務減免を免れています。

 ただ今回は、ECBは他の国債保有者に対して「対等な立場」であると説明しています。

 ドラギ総裁は、あくまでもユーロ圏の銀行に1兆ユーロもの資金を3年にわたって政策金利で供給し、さらにECBへの預金金利をゼロにして、あくまでも金融機関が潤沢に供給される資金を使って債務問題国の国債を購入して利鞘を稼げるようにしていたのですが、期待した結果が出ていませんでした。

 そこで今回、あくまでも残存年数が1~3年の国債に限ってECBが直接購入することにしたのです。つまりECBとしてはあくまでも資金を潤沢に供給する「間接的な効果」から、直接これらの国債を購入して「直接的な効果」を与えようとしているのです。また買い入れ上限を定めないことによって、市場により安心感を与えようとしています。

 そもそもECBはユーロ圏内で流通する通貨(ユーロ)を発行しているので、その裏付けとなる資産にユーロ圏の構成国の国債を「一定量」保有することは問題が無いはずです。さらに付け加えると1兆ユーロの資金供給(LTRO)は、かなりの部分がイタリアとスペインの銀行に対するもので、結果的にイタリア国債やスペイン国債をかなり担保に取っているはずです。つまりECBとしては「イタリアとスペインに対するリスク」をかなり抱え込んでいたことになります。
 
 つまりこれ以上の資産劣化を防ぐために、より積極的な効果を出す必要があったはずなのです。

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