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ドイツ憲法裁判所というハードル

2012年09月11日

ドイツ憲法裁判所というハードル

 9月6日にECBが南欧国債の無制限買入れを発表したのですが、それにはESM(欧州安定メカニズム)の正式発足と当該国の支援要請などが条件とされています。

 そしてこのESMと毎年の財政赤字を抑える新財政協定の合憲性について、9月12日にドイツ憲法裁判所が判断を出します。

 ドイツ憲法裁判所には、正式の立法手続きを踏んだ法律でも違憲と判断すれば無効にできる権限があります。

 ただ、昨年もEFSF(欧州金融安定基金)の機能拡充やギリシャ向けの追加金融支援について違憲とは判断しておらず、今回も同様と考えられています。しかし議会の承認を義務付ける可能性は十分にあります。

 つまりそもそも本年7月の予定だったESMの発足が、また遅れてしまう可能性が出てくるのです。そうなるとECBの国債買い入れのスタートも遅れることになります。

 ESMとはユーロ参加国が財政危機に陥った時に金融支援を行う恒久的な制度で、2013年6月までの時限措置であるEFSFの機能を引き継ぐもので、EFSFの使い残しも含めて7000億ユーロの新規融資が可能とされています。

 ただ、スペインが支援を求めた場合は最大で4000億ユーロ、イタリアの場合は最大で5500億ユーロが必要とされ、決して盤石なものではありません。

 つまりドイツ憲法裁判所の判断によってESMの発足が遅れ、その結果ECBの国債買い入れが遅れれば、以下の問題が出てくるのです。

 極論すれば、いくら財政問題が深刻化しても市場から資金調達(国債発行)ができている限りは問題が顕在化しません。イタリアもスペインもそれぞれの国内余剰資金だけでは必要な国債発行が出来ないため、ECBが昨年末と本年2月に合計1兆ユーロの期間3年・利率1%の資金供給(LTRO)を行い、イタリアとスペインの銀行にかなりの資金を供給しました。

 LTROは合計で1兆ユーロ供給されたのですが、そのうち半分は既存の短期オペからの乗り換えで新規供給は5000億ユーロでした。そのうち2000億ユーロがスペインの銀行に、1200億ユーロがイタリアの銀行に供給されました。

 ところが、イタリアやスペインの銀行がそれぞれの国債を積極的に購入した形跡はありません。そうなるとイタリアやスペイン以外のユーロ圏や、ユーロ圏以外の銀行や投資家も積極的に購入することはなく、国債利回りの上昇に歯止めがかかりませんでした。

 7月下旬には、スペイン10年国債の利回りが7.7%、イタリア10年国債の利回りも6.6%まで上昇していました。そこで7月26日にドラギECB総裁が「ユーロを守るためにあらゆる手段をとる」とこれら国債の買い入れを強く示唆し、利回りの上昇が止まりました。

 つまりECBがこれらの国債買い入れを適切なタイミングで行うと、流通市場でこれらの国債への信頼が回復し(つまり利回りが低下し)、新規に発行される国債に十分な資金が集まり、結果的にESMに金融支援を求める危険性が低下するのです。

 しかしこのECBの国債買い入れのスタートが遅れれば遅れるほど、流通市場において期待する効果が出にくくなり、結果的に膨大なコストのかかる金融支援が必要となってしまうのです。

 適切な措置をとるのが遅れて、結果的に膨大なコストがかかってしまった事例は、日本の不良債権処理や景気対策など数多くあります。

 この辺に留意しながら9月12日のドイツ憲法裁判所の判断を待ちたいと思います。

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