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シルバー精工倒産について

2011年01月05日

シルバー精工倒産について


 昨年末も押し詰まった12月28日に、東証1部上場のシルバー精工が2回目の不渡りを出して銀行取引停止となった旨の発表が突然行われました。

 最近は上場会社の倒産も別に珍しいことではないのですが、何しろ1952年創業、1964年東証2部上場、1984年東証1部上場の名門企業であり、1991年には売り上げが140億円ほどありました。

 ただ今回の一連の経緯には、腑に落ちない事がたくさんあります。

 まず、12月28日の昼ころ、東京証券取引所が突然「シルバー精工が2回目の不渡りを出して銀行取引停止となった恐れがあるという報告を受けたため、上場廃止となる情報が開示される恐れがあるので確認のため」として同社株の取引を一時停止にしました。

 その後、不渡りそのものが12月16日と12月22日に起こっており、少なくとも12月22日には銀行取引停止となっていた事が分かったのですが、営業日で見ても12月24日、同27日、同28日の午前中までは、この事実を隠したまま通常通り取引が行われていたのです。

 もちろん銀行取引停止は即刻上場廃止の理由となり、事実同日中にシルバー精工から、12月22日に2回目の不渡りを出し、銀行取引が停止されている旨と、同日付けで東京証券取引所の整理銘柄へ指定され、翌年1月29日に上場廃止となる決定がなされた旨のIRが出されました。

 会社側のIRを見ても、5億円の借り入れの担保に入れていた5億円の約束手形が突然回ってきて決済できず(1回目の不渡り)、さらに追加担保として弁護士に預けていた別の5億円の手形が、これも突然回ってきて決済できなかった(2回目の不渡り)が、どちらも回さない約束の手形で不渡りと認識していなかった、というおよそ意味不明の理由が書かれていました。

 この重大な情報開示が遅れたことについては、東京証券取引所は12月28日に一旦、シルバー精工を「開示注意銘柄」に指定したうえで、事実が確認できると「開示注意銘柄」の指定を解除して、同日中に整理銘柄へ指定しています。「どうせ上場廃止にするのだし、重要情報の開示が遅れたのはシルバー精工が一方的に悪いのだから、ここのところは今さら問題にしても仕方がない」という事なのでしょう。ただ取引所という公共性の強い立場としては、今後の事もあるため、放っておくことは許されないとは思います。

 ただ、シルバー精工については、このような事実があります。

 資料が手に入る範囲の平成14年3月末から、最後の短信が出ていた平成22年9月末までの8年半の間の、最終純損失額の累計が178億円、その間に市場から第三者割当増資、新株予約権の行使、及び新株予約権付き社債の発行等で調達した金額の累計が143億円、そして現時点では債務超過になっていると思います。つまり8年半の間で資本市場から調達した143億円をきれいに食いつぶしたのです。これは確かに言語道断です。

 その間の売り上げは、年によってばらつきがあるのですが、累計で400億円にも満たないので、通常の営業だけでは、絶対に178億円もの累計損失は出せません。きっとブラックホールがあったのでしょう。
 
 特に、平成18年秋頃に、約9000万株の第三者割当増資を57円で強行して50億円以上を調達したあたりから、経営陣の交代、大型の投資などを繰り返し、短期間で大きな損失を出すようになり、転落への道を転がり始めていたのだと思います。

 さて、シルバー精工は、このように資本市場からの143億円を食いつぶしただけであり、このようなことは繰り返されてはならないのですが、私が逆に懸念するのは以下の点です。 

東京証券取引所をはじめとする日本の取引所は、すでに上場企業の増資について非常に神経質になっており、なかなか了解を出さないと聞いています。また、公募増資に対してもルールを厳しくしようとしています。(昨年12月27日付け「空売りしたら新株取得の禁止」をご参照ください)

 つまり現状でも既に上場会社の増資については証券取引所を含む当局は、基本的に認めたくない、あるいは認めるとしても厳しい規制下で行わせる、という明確な意思表示をしているわけです。そこへ、さらにシルバー精工のような事例が出てくると、さらにその傾向が強まるのではないかと思います。
 
 基本的には資本市場と言うのは自由に資金調達が出来る市場でなければなりません。確かにシルバー精工については言語道断なのですが、これによって現在の風潮である何でもかんでもまず規制してみるという姿勢がさらに強化されると、ますます日本の資本市場が機能不全になってしまうと、株式市場の活況化は到底望めなくなり、日本経済の閉塞感が続くことになってしまうのです。

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コメント
民事再生後のシルバー精工は?
シルバー精工は民事再生後復活するのでしょうか?子会社があるのでそこで資金調達したりするのでしょうか?
昔シルバー編み機の編み物教室へ通っていたので気になります。
お世話になります。とても良い記事ですね。
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