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もう少し、ソニーの新株予約権付社債について

2012年12月12日

もう少し、ソニーの新株予約権付社債について

 昨日再開したばかりですが、早速たくさんの方々にお読み頂けたようです。大変ありがとうございます。

 頂いたコメントを含め、もう少し補足しておきます。

 まず「ゴールドマンは引受手数料とは別に裁定取引分の利益を得て、それが巡り巡ってソニー株主の懐から出ていることになりますね?」とのコメントを頂いたのですが、正確には「引受手数料とは別にヘッジファンドの裁定取引分の利益と、さらにご丁寧にこれらヘッジファンドの上前をはねるゴールドマンの利益が追加されて、ソニー株主の懐から出ていることになる」のです。

 ソニーは仮に、さんざんヘッジファンドに収益機会を提供して最終的に全額が償還されてしまっても、その間はコストゼロで(引受手数料は別にして)資金調達が出来たので「知ったことか」と考えたのなら、それは経営判断なので口出しは出来ません。しかしこれは違います。

 単純に「第三者割当増資や公募増資は当局のご機嫌と株主の利益を損ねてソニーの企業イメージを悪化させます。そこで新株予約権付社債ならコストもほとんどゼロで自己資本が拡充でき、まさにソニーにうってつけの資金調達ですよ」などとゴールドマンの担当者に囁かれて、その気になっただけだと思うのです。

 ヘッジファンドやゴールドマンにとって、第三者割当増資や公募増資なら(インサイダー取引をしないとして)発表から値決め、払い込みまでの「短期決戦」ですが、新株予約権付社債なら償還まで何年にもわたって収益機会が提供される「非常に旨味のある資金調達」であるだけの話です。

 つまりその背景には、日本の当局による「必要以上に第三者割当増資や公募増資に対する罪悪視」があるはずです。その結果、当局お気に入りのライツイシューも含めて、もっと株主の利益を損ねる事態が発生するのです。

 今回の仕組みは、たまたまゴールドマン関連のSPCが大量保有報告を提出したため報道されたのですが、その報道の大半は10%を超える株主が出現したがソニーの経営権取得を目的としていないことが画一的に強調されていただけです。

 本誌の解説が「絶対に正しい」と言うつもりもないのですが、少なくともその意味を考えた報道は、今に至るまで皆無です。

 こういうマスコミの体質に、当局の一方的な「価値観」と、上場会社の「事なかれ主義」が合わさると、ますます「知らないうちに」巨額の収益が株式市場から抜かれていくことになるのです。

 残念ながら今回のゴールドマンの取引に問題はありません。これが米国市場なら「発行市場における名義借り」の犯罪(注)なのですが、日本市場やユーロ市場では問題になりません。

(注)1991年に当時最大の投資銀行だったソロモン・ブラザーズが国債入札で応札上限(35%)を超えないようにヘッジファンドのスタインハートなどの名義を借りた不正事件があり、ソロモン・ブラザーズが消滅する直接の原因になりました。

 それでも米系のゴールドマンは「名義借り」の怖さを熟知しているため慎重に検討したはずです。買い取り価格を101にしているのもそのためです。もっとも新株予約権を「買い戻せる権利」の売却とセットにしているので、サービスしたわけでも何でもありません。

 コメント頂きました買い取り単価101の計算方法は、ご指摘の通りです。

 昨日も少し書いたのですが、この取引の背景にはゴールドマンが業界最大のプライムブローカーである優位性を利用したことがあるはずです。

 プライムブローカー業務とは、ヘッジファンドに対し大量の注文執行だけでなく、マージン管理、借株の調達・返却、資産評価などのサービスを独占的に供給する非常に利益率の高い業務です。

 金融危機以前はベアー・スターンズとリーマン・ブラザーズが最大手だったのですが、どちらも破綻したためJPモルガンとゴールドマンがそれぞれ買収して、現在はほとんど2社独占となっています。

 野村証券はリーマンの全く価値のない海外部門など引き受けず、このプライムブローカー部門だけを買収すべきだったと思います。

 今回のゴールドマンのアイデアは、顧客のヘッジファンドとの会話のなかで出てきているような気がします。

「知恵は現場にある」のです。

 信用取引の手数料や金利をゼロにするだけでは「知恵は出てこない」のです。


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新株予約権と社債部分を切り離した社債部分の債券ですけど、仕組債として様々な商品として、個人投資家向け商品として販売もされるんでしょうか?

そうであれば、具体的にどのような商品として販売されるのか、お教え頂けないでしょうか?
ソニーの案件ではありませんが、以下のような無担保転換社債型新株予約権付社債<総額35億円>を債務の株式化<DES>として新株発行をした例があります。


平成23年10月25日 8245<丸栄>から第三者割当による新株式発行(現物出資(デット・エクイティ・スワップ))に関するお知らせがありました。

平成21年3月16日に興和株式会社へ割り当てた第3回無担保転換社債型新株予約権付社債<以後、転換社債と言う>発行総額35億円を債務の株式化<DES>により普通株式を1株80円で4375万株として23.11.10日に発行するものです。21.3.16日終値169円。

この総額35億円転換社債<転換価額修正条項がありますからMSCB>は、当初転換価額222円<下限価額180円>で、平成26年2月28日を満期償還日とし、転換価額の修正条項は、25.2.28日終値×95%価額を修正転換価額とするものです。


その後、22年8月2日に、興和株を第三者割当とする新株発行<1株115円で3000万株発行 総額34.5憶円>をし、転換社債の転換価額は、216.1円に調整されました<私の計算です>。

そして、平成23年10月25日転換社債35億円債務を株式化した新株発行となります。23.10.25日終値78円。

では、どうして債務の株式化をして新株発行をしたのかですが、下限価額180円を大きく割り込む株価推移ですし、償還期日には償還金を用意しなければなりませんから、貸借対照表上からも実施したんじゃないかと推察します。


35億円債務の株式化で、24.2月期貸借対照表は、固定負債・社債44.1憶円→7.0憶円 資本金81.8憶円→99.3憶円 資本剰余金54.9憶円→22.9憶円・・・・資本剰余金を取り崩し損失補填 利益剰余金△41.7憶円→11.4憶円。純資産合計161億円→206億円となりました。

しかし、MSCB発行で、下限転換価額180円、総額35億円転換社債を債務の株式化をして1株80円で新株発行する手法もあることを知りました。

因みに、興和株式会社の出資会社は、
興和紡 18.58%  三菱東京UFJ 3.96%  みずほコーポ銀行3.67%  名糖産業  3.06%等です。
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