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えっ 日本国債格下げ? 

2011年01月28日

えっ 日本国債格下げ? 

 1月27日に、米国の格付け機関であるStandard and Poor’sが日本国債の格付けをAAからAAマイナスに1段階引き下げました。

 当然、日本の政府債務が増大を続けていることが理由になっているのですが、もともと昨年1月にアウトルック(将来の見通し)がネガティブに引き下げられていましたので、時間の問題だったということが出来ます。今回の引き下げでアウトルックが「安定」になりましたので、追加の引き下げは当面ないことになります。
 今回の格下げは自国通貨建て(つまり円建て)国債だけでなく、外貨建てにも適応されるようです。もちろん外貨建ての日本国債はないのですが、外貨建ての日本政府保証債等にも適応されることになります。

 もうひとつの有力格付け機関であるMoody’sの格付けでは、日本国債は2009年からAa2、アウトルックは「安定」となっています。

 日本国債は、確かに発行額は大きいのですが、その95%以上が日本国内で安定的に消化されており、国債の流通利回りも先進国で一番低く、今回の格下げでも特に国債流通市場に混乱はありません。
 為替相場も発表直後にドルで83円台に乗せたのですが、すぐに82円台後半の取引となっています。

 まあ、これらの格付け機関の格付けは、歴史的に見てもあまり役立つことは少なく、むしろいろんな弊害を引き起こしているのです。その辺の一端をご紹介しましょう。

 世界の格付けを二分するStandard and Poor’sとMoody’sは、ともに米国の会社です。Standard and Poor’s は1860年創業で、大手出版社のマグロウヒルの子会社です。一方のMoody’sは1900年創業で、現在ニューヨーク証券取引所に上場しています。しかし、これらの会社の実態、特に格付けのやり方については、外部からはよくわかりません。

 ただ以前から、何か問題が起こった発行体の格付けの変更が遅れ、さらに急速な格付けの変更(引き下げ)を行い、結果的にさらに問題を大きくしてしまうという批判はありました。
 最近の例では、ギリシャ国債の格付けを昨年、あわてて数段階引き下げて投機的になるBB+と格付けして、問題を余計大きくしてしまいました。

 またサブプライム問題の本当の原因も、この格付け機関にあると言っても良いのです。

 そもそも低所得者向けの住宅ローン(サブプライムローン)というものは昔からあったものなのですが、当然焦げ付きのリスクも大きいため流動化されにくく、おのずから発行できるローン総額に限度が出来、結果的に節度が保たれて問題が起きなかったのです。

 ところが、その焦げ付きリスクの大きいローンも、たくさん束ねて、利払いと償還を優先的に受け取るような仕組みにすると、統計的に言って全体の例えば50%くらいがAAAの格付けが取れることを発見した者がいました。
 つまり、如何に焦げ付きリスクが大きいローンでも、全体でみれば、少なくとも半分位はちゃんと支払うはずなので、利払いと償還を優先的に受け取る部分を50%とすれば、その50%は焦げ付きのリスクがほとんどなく、結果AAAの格付けが得られるということなのです。

 AAAの格付けが取れれば、外国(特にヨーロッパ)の機関投資家が喜んで買います。そうすると流動化がどんどんできるため、ローン会社は資金が回収できるため、また改めてサブプライムローンをどんどん売り込みに行けるようになったのです。そこで今まで保たれていた節度が壊れ、気がつけば全く無収入でホームレスのような移民にまで、立派なプール付きの一軒家が買えるローンがつけられたのでした。

 AAAの債券だと有り難がって買っていた欧州の銀行は、まさかそのAAAの債券の中身が、昨日までホームレスだった移民の住宅ローンだとは夢にも思いませんでした。ただ有力格付け機関の格付けだけを見て買っていたのです。
 だから、米国の国内問題であるはずのサブプライム問題で、欧州の銀行が巨額の損失を出すことになったのです。つまりサブプライム問題をここまで大きくしたのは、米国の格付け機関の責任と言っても良いのです。

 今回の日本国債の格下げに話しを戻しますが、非常に気になるのは、与謝野経済財政政策担当大臣の「今回の決定は、日本の消費税は諸外国に比べて低く、使っていない武器(つまり消費税引き上げを)早くやりなさい、と言ってくれているのだと思う」との発言です。

 本誌1月17日付け「内閣改造について」でも書きましたが、今日本で一番やってはならない政策が増税なのです。まず何をおいても経済を上向かせなければならないのですが、財務官僚は財政再建の大合唱です。そこへ財政再建論者の与謝野氏の経済財政担当大臣への起用は非常に問題であると指摘しました。

 日本国債の格下げそのものは、株式市場は全く無視しても大丈夫ですが、ここで消費税を含む増税が前面に出てきますと、株式市場への重大な懸念材料となります。

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