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新株発行を巡る「影響が大きい」裁判所の判断

2013年05月30日

新株発行を巡る「影響が大きい」裁判所の判断

 JASADQ上場のソーシャル・エコロジー・プロジェクト(以下「ソーシャル」・コード6819)が5月14日に取締役決議した新株発行に対し、株主が「不公正な増資」であるとして発行差止め仮処分を申請していたのですが、昨日(5月28日)東京地方裁判所がこれを却下しました。

 ソーシャルの経営に不満を持つ株主が、来る6月下旬の定時株主総会に独自の取締役と監査役の選任を株主提案していたのですが、ソーシャルが500万株の第三者割当増資を決議し(それまでの発行済み株数は2115万株)、さらにその新株に本年3月末だった基準日に遡って議決権を付与するというものです。

 この株主は30%を少し超える議決権を確保しており、株主提案が承認される可能性が強かったのですが、この新株発行と議決権の付与(株主総会の直前に取締役会決議するはずです)で、一気に絶望的になってしまいました。

 この裁判所の新株発行差止め却下の理由に、今後の株式市場に「非常に大きな影響を与えそうな」判断が3つも入っています。順番に解説します。

その1 「会社の支配権をめぐる争いがあり、その争いに重要な影響を与えることが明らかであるとしながら、新株発行を差止めなかったこと」

 従来は、会社の支配権をめぐる争いに重要な影響を与える新株発行は、裁判所によって差止められるという考えが株式市場の常識・良識であり、従って乱発されることはありませんでした。

 その常識・良識を欠いて強行したケースでは、2004年の宮入バルブ、2005年のニッポン放送(新株予約権)、2006年のサンテレホン(新株予約権)、2008年のクォンツ(現在は上場廃止)などで差止めが認められています。

 詳細は省きますが、ソーシャルの新株発行はこれらのケースに負けない「あからさま」なものだったのですが、何故かその差止め請求が却下されてしまいました。理由はソーシャルがわずか1億円の借金返済を迫られていると主張したからのようです。

 この影響は「何だ、会社の支配権を奪われそうになったら、いくらでも新株発行を強行して防げばよいのか」と安直に考えて実行する上場企業が増え、株式投資の重要な目的である「支配権の獲得」が実質的に不可能となることです。特に外国人投資家からみて日本の株式市場の魅力が大きく損なわれてしまうことになります。

その2 「新株の発行価格は過去6か月平均の10%引き以内であれば、合理性が無いとは言えないとお墨付きを与えたこと」

 ソーシャルの新株の発行価格は1株=53円で、決議前日の引け値の77円、その前日の90円に比べて「大変に有利な発行」です。しかし日本証券業協会の指針の「直近6か月以内の平均株価の10%引き以内」には、かろうじて収まっていました。

 これは非常に実務的な話になるのですが、例えば株価が急上昇したタイミングをとらえて過去6か月の移動平均の10%引きを発行価格とすると、時価に比べてかなり安い発行価格で新株発行が出来ることになります。しかし最近では、とにかく時価に比べてかなり安い発行価格は認めないという「指導」がされていたはずです。

 しかしソーシャルの発行価格に対して裁判所は「指針に該当していれば良い」と判断してしまったのです。これも「何だ、それで良いのか」と考え実行する発行会社が続出することになります。市場の健全化のために「指導」していた財務局や取引所の立場がなくなってしまったことになります。

 その3 「会社が、基準日を過ぎた後に株式を取得した株主に株主総会の議決権を認めるというのであれば、これは防げないとしたこと」

 ソーシャルは6月3日に発行される株式の引受者に、6月下旬の株主総会の議決権を与えることを「あらかじめ想定した」差止め請求も、裁判所がこのように却下してしまいました。確かに会社法124条4項にはそのような規定があるのですが、その趣旨は決して会社が支配権の争いを有利にするために恣意的に行うものではないと一般的には解されていました。

 しかしこれでは、会社は物理的な株主特定の手間さえ厭わなければ、好きな日の株主に株主総会の議決権を与えることを「防げない」ということになってしまい、悪用する会社が出てきて株主総会の公正さや権威が、大きく損なわれることになってしまいます。

 これら裁判所の「3つの判断」は、今後の日本の株式市場に大きな影響を与えることは間違いないと確信するのですが、その影響とは決して好ましいものではないはずです。

 「闇株新聞がこんなことを言っていた」だけでも覚えておいて頂きたいのです。


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コメント
法律側面と歴史認識力
とんでもない事がまかり通るものです、しかし地裁とは、小生が別の件で「地裁とは判事と称するキチガイが歩いとる」
と評したことがあります、その判事の知能指数は?。日本最高知能の判事は広島高裁長官の方に思えます。ところで闇株新聞さん、スポーツの閑話は小生見ないから良いとして、貴方の歴史に関するお喋りの低級に呆れて、そのため小生が度々参考にさせていただく株式市場の裏話に関する信用を貶めます。
歴史
歴史なんて大体合ってればいいんでないんのかなー。
歴史認識でおかしな事を書きましたら
多分 このブログにとって
大変悪い影響がでるような気がしますけどね・・
いつも楽しく読ませてもらっています。
この件、まだ裁判所の決定は読んでいないのですが、闇株さんの記事を見る限りとんでもない決定だと思います。

こういった馬鹿げた判断がでる最大の要因は、一部の裁判官が先例を過度に重視している点にあります。
もちろん、全うな判断をする裁判官も沢山いるのですが、一部の裁判官は、先例で示された基準に該当するかを形式的に判断する以上の能力を持っていません。

不幸なことです。
この決定が上級審で覆ることを強く望みます。
いつも楽しく拝見しています。
私も本件については差止請求が却下されたのは理解しますが、議決権まで認められるとは。4項に抵触すると思うのですが。。
SECは払い込まれた資金の出所を調べるべきと思います。
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