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なぜ見送った? 固定金利オペの期間延長

2013年06月13日

なぜ見送った? 固定金利オペの期間延長

 日銀が6月10日~11日に開催した政策決定会合では、最も期待されていた「固定金利オペの期間延長」が、あっさり見送られてしまいました。
 
 「固定金利オペ」とは、日銀が金融機関に国債などを担保に0.1%で最長1年間の資金供給を行うものですが、その期間を3年程度に延長することが期待されていました。

 そうすれば、まず残存年数が3年未満の国債利回りが0.1%近くまで低下し、それを受けて5~7年国債利回りも低下し、最終的には10年以上の国債利回りも(大きく低下しないまでも)落ち着くことが期待されます。

 「異次元」金融緩和では、全期間の国債利回りを低下させるはずが、意に反して全期間の国債利回りが(かなり)上昇してしまい、株式市場の混乱や住宅ローン金利の上昇などの「弊害」が出始めていました。

 つまり日本経済の回復のためには、本来は「金融機関が貸出を増やすこと」が必要なのですが、その前に国債利回りを全般的に落ち着かせることが「最優先課題」になっていたはずです。

 経済が本格的に回復して国債利回りが「ある程度」上昇することは当然ですが、国債利回りが先に上昇して経済の回復を阻害する事態は、現時点で最も避けなければならないものです。
  
 そうでなくても書店では「国債暴落」をテーマにした本が並びはじめ、本日(6月12日)のNHK「クローズアップ現代」は、お決まりの不安を増大させる内容でした。ますます市場が不安になってしまうのです。

 昨日(6月11日)の黒田総裁の会見内容は「市場は次第に落ち着く」と強調し、「固定金利オペ」の期間延長も「長期金利の変動は収まってきており、現時点では必要ない」との理由で見送ったと話していました。

 これは市場が「固定金利オペ」の期間延長を期待したので、長期金利の変動が収まってきていたことを全く理解していません。

 今後、長期金利の変動が大きくなった段階で、「固定金利オペ」の期間延長を導入すればよいとのニュアンスですが、その時になれば導入しても効果が無いことを全く理解していません。

 意外とも思えるタイミングで、思い切って導入して初めて市場心理を変化させ、効果が発揮されるのです。4月4日の「異次元」金融緩和は、タイミングはともかく、その内容が「思い切ったもの」だったので、あれだけ円安・株高になったのです。

 つまり黒田総裁は、全く市場と対話が出来ていないのです。

 そういう意味では、国債利回りを落ち着かせる「唯一のタイミング」を逸してしまったような気がします。

 また日銀は、昨年12月(白川総裁時代です)に導入していた「貸出増加額に見合う資金を0.1%で最長4年間貸し出す制度」で、3.1兆円の貸出を行ったと発表しました。

 今回「固定金利オペ」の期間を延長していれば、「貸し出しも国債購入も、資金は日銀が0.1%でいくらでも面倒見ますよ」という過保護状態になるのですが、もともと金融機関は過保護すぎる状態にしてやらないと役に立たないものです。だからどんどん過保護状態にしてパニックを避けてやらなければ、国債市場の混乱は収まらないのです。

 本日(6月12日)の日経平均は小幅安(28円安の13289円)で終わりましたが、10年国債利回りが一時0.9%、為替も未明に95円台半ばまで円高になり、黒田総裁の言う「市場が次第に落ち着いている」ようには見えません。

 繰り返しですが、経済が回復して国債利回りが(ある程度)上昇することは喜ばしいのですが、先に国債利回りだけが上昇して経済回復を阻害してしまう事態は、最優先に避けなければならないのです。

 その「唯一のタイミング」を逃してしまったかもしれません。

 市場と対話が全くできない政策当局は、ヘッジファンドの格好の餌食になるのです。


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コメント
市場との対話重視せよ!
クロチャン,貴方市況との対話不足と感じる.市場との対話を重視し良好な状態に向上させなければならない.このため日銀関係者との会合外に市場関係者との定期的会合案を構築し,市場との融合対話政策を取り入れ等考慮する必要性がある.
黒田パパ、お願い!
黒田パパがあやさないと債券トレーダー君が泣き止んでくれないみたい。白川パパが過保護すぎたのね。低金利に慣れきったせいかすっかりひ弱になっちゃってるわ。
日本国債利回り上昇と米国債利回り上昇は別の理由からで、その2つに関連性はないのでしょうか。米国債利回りが上がるから日本国債利回りもあがるというような。そうすると世界中の金利が上昇すれば相対的に日本国債の利回りが少し上がっても問題なさそうですがそんな簡単なものではないのでしょうか。
今ここで戦力を逐次投入しても効果なし
日本が円安で潤うと食い詰めてしまう筋はあちこちに存在するわけで、ここで浮き足立ってしまったら白川体制の二の轍を踏んでいたことでしょう。

参院選前という露骨なタイミングは安倍政権と黒田日銀の肝が試されていますね。
日本版ヘッジファンドの早期創設運用
日経株価の上下動が800~1000円余も1回のみで無く,何度も起こる主因を熟慮しましたか?ただしFRBの金融緩和縮小論傾向意図は別解とする.この主因は株式に日銀が動かせるETF等の資金不足,つまり具体的に言えば,株式に数兆円しか投入出来ない.これでは資金不足,最低限100兆円の準備金を必要とする.で具体案であるが,GPIFの株式投入額割合の増大枠の早期決定し増額の結論を出す.次に日本郵政の莫大な資金を日本株式への枠拡大運用の早期決定し,これらを運用し日本版ヘッジファンドを早期に設立し為替や株式の変動幅を減少対策とする.
日銀は、いったい何がしたいのでしょう?
4/4の「異次元」金融緩和を決定した時に、総裁は、「イールドカーブを下げる」と発言しましたが、その後の日本国債の金利は、発言時より高めに推移し、総裁の発言は、インプレ期待がある中で、長期金利が上がるのは、当然といった感じに軌道修正され、その結果、市場の日銀に対する不安というか不信というものが醸成されつつある中での今回の政策決定会合だったと思われるので、ここで「固定金利オペの期間延長」を決定すれば日銀は、長期金利を下げるもしくは安定させるために断固として対処するというメッセージを市場に伝えられて多少なりとも日銀に対する不安や不信を払拭できたと思います。
今回は、がっかりさせられました。4月の出し惜しみしないでやれることは全部やるという趣旨で行った「バズーカ砲」は何だったのでしょう?

とは言うものの、一方で私の中では、「固定金利オペの期間延長」を見送るという日銀の判断に納得する部分もあります。
最近の日銀の「異次元」金融緩和の副作用に対する対応をみていると副作用のことを考慮していないように思えたので、「異次元」金融緩和決定時に副作用を考慮しなかった日銀に、副作用に対し適切なタイミングで適切な対応を求めるのは、無理があるかなとも思っていました。人間は、普段していない行動や判断を必要な時に、適切に行動や判断することは、基本的には難しいですから、今回の日銀の判断もしょうがないといえば、しょうがないと思えます。

でも、今回のことでますます日本の将来に不安になりました。
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