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ディッシュの策に嵌ったソフトバンク

2013年06月14日

ディッシュの策に嵌ったソフトバンク

 本日(6月13日)の日経平均は843円安の12445円となり、「異次元」金融緩和決定前日(4月3日)の12362円にほとんど並んでしまいました。また円相場も午後に一時93円台に入り、これも93円前後だった4月3日の水準に近づいてしまいした。

 昨日付け「なぜ見送った?固定金利オペの期間延長」にも書いたように、政府および日銀の「市場との対話能力」の欠如が原因です。市場を見て当局から素早い対応が出て来る心配が無く、マスコミが不安心理を増大させてくれるので、ヘッジファンドなどが安心して売り仕掛けが出来るからです。

 円高・株安はこれだけにして、本日の話題です。

 ソフトバンクが買収提案を進めているスプリントが50%超を保有しているクリアワイヤの取締役会が、6月12日衛星放送サービス会社・ディッシュ・ネットワークの1株=4.40ドルのTOB提案に応じるよう「株主」に勧告しました。

 この「株主」には、50%超を所有しており、残る49%超を1株=3.40ドルで買収するつもりだったスプリントも含まれています。

 ソフトバンクはこれに先立つ6月11日に、スプリントの買収金額を総額201億ドルから216億ドルに引き上げると発表していました。ディッシュは本年4月に総額255億ドルでスプリントを買収すると発表しています。

 ここでディッシュ・ネットワークとは、全米第2位の衛星放送サービス会社(1位がディレクTV)ですが、昨年12月に通信衛星経由の携帯電話帯域を、通信衛星を使わない携帯電話帯域(要するに通常の携帯電話帯域)に転用することをFCC(連邦通信委員会)に認めさせており、破綻した衛星通信会社2社から29億ドルで買い叩いた帯域が120億ドルの価値に化けたと言われていました。

 そしてクリアワイヤの持つ豊富な携帯電話帯域に目をつけ、本年1月9日に1ドル=3.30ドルで買収提案し、それを受けてスプリントが残る49%超の買収を1株=2.97ドルから3.40ドルに引き上げ、さらにディッシュが5月30日に1株=4.40ドル(総額65億ドル)に引き上げていました。

 ディッシュはスプリント本体にも本年総額255億ドルで買収提案を出しています。確かに衛星放送会社のコンテンツを生かすための携帯電話会社を取得する意味が無いわけではないのですが、どこまで本気なのかは大いに疑問でした。

 ここでスプリントの買収総額は、ソフトバンクの201億ドル(引き上げ前)とディッシュの255億ドルを単純に比較しても全く意味がありません。

 ソフトバンク案では、スプリントの財務増強のために注入する80億ドルが含まれており、ディッシュ案では株主に支払う255億ドルにはディッシュの借り入れで賄う部分がかなり含まれています。

 正直に言うと「ソフトバンクは買収総額を引き上げなくても、十分にディッシュ案を上回る提案だった」はずなのです。ソフトバンクの孫社長は、余計な時間を掛けたくないので15億ドル(1500億円)引き上げたと言っています。確かに株主の手取りは1株=7.30ドルから7.65ドルに引き上げられたのですが、その分スプリントの財務増強のために注入する金額が50億ドルに引き下げられており、「前の方が良かった」ように思います。

 本当に15億ドルを追加するのなら、クリアワイヤの買収金額を引き上げておくべきだったのです。

 なぜなら最初からディッシュの本当の狙いはクリアワイヤだけで(それも帯域だけで)、スプリントの価値はクリアワイヤの豊富な帯域が無ければ、大きく減額されてしまうからです。

 ディッシュは、これで少なくとも「クリアワイヤの持つ豊富な帯域のかなりの部分を格安で手に入れる」可能性が出てきました。そして最初からそれが「本当の狙い」だったはずです。

 ソフトバンクにとっては、最終的にスプリントは買収できても、「あまりにも高くつく戦略ミス」だったように思うのです。


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札束で何でも買えるという傲慢
かつてバブル絶頂期の日本企業は世界中の不動産や美術品を買い漁り、エンパイアステートビルにまで手を出しアメリカの逆鱗に触れました。

日本国内でもライブドアのように成金が既得権益に介入し潰された例は数多いです。

孫正義という人物の出自、ソフトバンクという企業が中韓に極めて近いこと、日本企業の皮を被った別の何かであることはアメリカの警戒を招くのに十分です。
二人で腹を割ってトコトン話し合う
ソフトバンク孫社長は米衛星放送会社のチャーリー・アーゲン会長と二人だけで会談すれば良い.お互いに個々は人生の荒波をかいくぐり立場は異なれど立派な哲学を有しているやり手CEOである.逆に両者が共同戦線を意図し,組めば強烈なポジションが得られる。
孫社長はスプリント通信会社さらなる繁栄と発展,アーゲン会長は衛星放送会社のさらなる繁栄と発展ヘ,お互いに助けあいウィンウィンの関係を未来に構築出来るのかお互いに腹底を割って会談を行い,共同パートーナーとしてやっていける確かな相手であるのか話し合ってみる.話し合ってみたがとてもお互いに共同戦線など構築できる相手ではない.この時はまた別の一手を考えねばならないが?
すくなくともスプリントが過半数の株を握っている限りはディッシュがクリアワイヤの帯域を思う存分に利用することは不可能です。
帯域を思う存分に利用できなければ化けません
もちろんディッシュ側に49%近くを握られたらスプリント・ソフトバンク側も思うように利用できないでしょう

そうなると互いに投資があまり実りません

しかしディッシュ本体の状況はソフトバンクに比べるとはるかに悪く、クリアワイヤへの投資が膠着するとディッシュは経営危機に陥りかねません

今のディッシュには遊ばせておける金などないのです。

これはソフトバンク・スプリント側も同じですが、ソフトバンク側のほうはクリアワイヤへの投資が膠着した程度では経営危機になどはならないほど財務は安定しています。


おそらく膠着状態が続いたらアーゲン氏は孫氏にディッシュの持ち分を高値で買い取らせようと動くでしょうが
ソフトバンク側にしてみれば数か月程度待つだけでその価格がどんどん下がることが予測される(それほどディッシュの台所は火の車です)ので、至極妥当な価格で買い取ることになるでしょう

なのでクリアワイヤの完全買収が数年程度遅れる可能性はありますがソフトバンク側の勝利は目に見えているので(スプリントが既に過半数を牛耳っているので、アーゲン氏の介入は遅すぎました)あわてる必要はありません

事実としてベライゾンはベライゾンとボーダフォンが55%と45%で持ち合って膠着状態が続いていますが、ベライゾンはそれが原因で深刻な状態になどなっていません


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