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ダニエル・ローブの提案を拒否したソニー

2013年08月08日

ダニエル・ローブの提案を拒否したソニー


 本日は日経平均の急落(576円安)や、みんなの党の御家騒動(騒動を起こすほど大きくはないのですが)や、TPP交渉と並行して始まった米国との2国間協議などもありますが、この話題にしました。

 ソニーは昨日(8月6日)、ダニエル・ローブ氏のエンタテインメント事業を分離上場させる提案を正式に拒否したと発表しました。

 ダニエル・ローブ氏が主宰するヘッジファンドのサード・ポイントは、ソニー株式を7000万株(6.9%)保有していると主張しています。

 またサード・ポイントは7月22日に、2年弱保有していた米ヤフーの株式を4000万株売却して6.5億ドル(650億円)の売却益を含む11.6億ドル(1160億円)の資金を確保しています。米ヤフーの株式も6000万株(5.5%)を保有していたとされていますが、現物株は4000万株だけで、あとはデリバティブで株価の上昇だけを得る仕組みだったようです。

 サード・ポイントの保有する(と主張している)ソニーの株式は7000万株で、現物株での保有は4600万株(これはソニーも確認しているはず)とすれば、残りの2400万株はどのような形態で保有しているのでしょう?

 今まではあまり強調していなかったのですが、この2400万株はソニーが昨年11月30日に発行した1500億円の新株予約権付社債を、ゴールドマン・サックスが1125億円も買い取って組成した「新株予約権を買い戻す権利」での保有であると考えます。

 6月12日付け「ソニーの新株予約権付社債・リパッケージ取引で分かったこと」を参考にしてください。これだとソニー株式のコストが転換価格の957円よりも「金利分とゴールドマンへの手数料」だけ上昇しますが、資金負担はゼロとなります。サード・ポイントのようなヘッジファンドにとっては非常に「使いやすい」スキームです。

 ここからは推測ですが、最初にサード・ポイントはゴールドマン・サックスに勧められて「新株予約権を買い戻す権利」を230億円分(2400万株に相当)投資したのですが、そのうちソニーのエンタテインメント事業の価値が株価に十分に反映されていないことに気づき、今年になってから4000万株を取得して5月14日に株主提案を行ったのだと思います。

 その後さらに600万株を買い増して、現在の7000万株となったはずです。そのように考えると概算のコストは1400円弱と考えられます。

 さてソニーとしては7000万株としても6.9%の株主でしかないサード・ポイントの提案を「受け入れる義務」は全くありません。ただ同じように最大で5.5%の株主でしかなかった米ヤフーが「振り回された」ので、慎重に構えなければならないだけです。

 しかしダニエル・ローブ氏の提案が「株主全体の利益を増加させるか?」は、真摯に検討する必要はあります。

 米国の大手映画会社(6社)は、ソニー・ピクチャーズ(コロンビア映画)以外はすべてメディア総合会社の傘下に入っており、ソニー・ピクチャーズを含めて単独で上場している会社はありません。

 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズは、ABCやESPNとともにウォルト・ディズニー・カンパニーの傘下で、20世紀フォックスはマードック氏のニューズ・コーポレーション、パラマウントはCBSとともにバイアコム、ユニバーサルはGEが親会社のNBCユニバーサル、ワーナー・ブラザースはタイム・ワーナーの、それぞれ傘下です。

 確かにエレクトロニクス企業であるソニーの傘下に映画会社があることは、他の大手映画会社に比べてややシナジーが弱いように思います。

 さらにソニーの2013年3月期に事業別営業損益では、稼ぎ頭が金融事業の1458億円、次いでエンタテインメント事業が850億円、「本業」のエレクトロニクス事業が1344億円の赤字です。

 このように考えると、ダニエル・ローブ氏の提案するエンタテインメント事業の分離と米国市場での上場は、それなりの説得性があります。20%程度を売り出すだけなので支配権がなくなるわけではありません。

 例えば「20%だけの売り出しではなく、議決権を10分の1にして50%超を売り出す。分離したエンタテインメント会社は20%分の資金だけを使ってよろしい。あとはソニー本体で召し上げる」とでもダニエル・ローブ氏に逆提案してみたらどうでしょうかね?

 売り出す株式の議決権が薄められていることは、別に米国市場では珍しくはありません。


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コメント
サードポイントの狙いは、自分達がかき回す?事で株価を吊上げ売り抜て利益を得たいだけでしょうね。
日本の株主はもとより、現ソニーの経営陣の賛同を得られないのは百も承知でしょうね。

新株予約権付き社債の転換状況をソニー尋ねたことがありますが、公表する気はないようです。
こういうのもつけ込まれる一因ですね。
いつも興味深く、拝読しています。日常の中に、いろいろなしかけが介在していることに、びっくりです。それも、とがめられることもなく。
そこで、お願いがあります。一度東京電力の株【株価】について、考察を聞かせてください。
オリンパス取締役、損害賠償「520億円と認識」「追加増資は不要」 都内で開いた2013年4~6月期決算発表の記者会見で、粉飾決算事件を巡って国内外の投資家が請求している損害賠償金額について「(現時点で)520億円と認識している」と述べた。そのうえで「この金額であれば追加の増資は不要であり、現時点で考えていない」と説明した。(日経)
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