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ダニエル・ローブの提案を拒否したソニー  その2

2013年08月09日

ダニエル・ローブの提案を拒否したソニー  その2


 2日間で800円近く下落した日経平均や、96円台前半まで進んだ円高も気になるのですが、この話題を続けます。それほど重大な意味のある話題だと思うからです。

 ダニエル・ローブ氏が主宰するヘッジファンドのサード・ポイントがソニーに投資するきっかけは、昨年11月に発行されたソニーの1500億円の新株予約権付社債ですが、さらにゴールドマン・サックスが組成した「新株予約権を買い戻す権利」によって資金負担がなくなったため、本格的な投資に踏み切れたと考えます。

 ヘッジファンドとはレバレッジをかけた投資を行うものですが、これは「レバレッジをかけて大きな収益を追及するため」ではなく「レバレッジをかけないと投資採算にあう収益が期待できないから」です。

 そもそもヘッジファンドであるサード・ポイントが、レバレッジなしでソニーに投資することは採算面から難しかったはずで、ゴールドマンの組成した「新株予約権を買い戻す権利」があって初めてレバレッジが可能になり、投資に踏み切れたはずです。

 ゴールドマンは、発行されたばかりのソニーの新株予約権付社債を1125億円も買い取って、「新株予約権を買い戻す権利」だけを有償でヘッジファンドに売り戻しました。ヘッジファンドにとっては「新株予約権を買い戻す権利」だけを保有していれば、新株予約付社債の保有と「全く同じ」収益が「資金負担なしで」得られることになります。

 もちろんそのメリットの対価は、ゴールドマンがヘッジファンドから「たっぷり」と受け取っています。しかし、その「たっぷり」の源泉である「1125億円の資金提供」は、三井住友銀行が「たぶんタダみたいな金利」で提供しています(大量保有報告にはっきりと出ています)。

 ソニーの「ゴールドマンに有利な資金調達だといいくるめられて、その気になって踏み切った1500億円の新株予約権付社債の発行」と、三井住友銀行の「親密先と勝手に思い込んでいるゴールドマンに気前よく提供した1125億円の融資」が、ダニエル・ローブ氏をソニーに引き込んだのです。こういうのを自業自得というのではないでしょうか。

 この1500億円の新株予約権付社債は全額が海外発行(ユーロ円建て)で、JPモルガン、ゴールドマン、野村、日興の各ロンドン法人が共同主幹事になっています。

 この共同主幹事の顔ぶれから考えるとゴールドマンが発行前からサード・ポイントなどの多数のヘッジファンドを巻き込んでおり、ソニーに発行を働きかけたはずです。

 現在のソニーの株価は転換価格(957円)の2倍以上ですが、ゴールドマンが組成した1125億円は本年5月に178億円が転換されただけで、その後は変更報告書が出されていないため1%(約100億円)以上の転換がされていないことになります。

 ゴールドマンが組成した残りの375億円については、本年3月末までに70億円が転換されていますが、その後はわかりません。

 しかし1500億円の全額が海外発行であったということは、すべてがヘッジファンドに販売されているはずで、株価水準にかかわらず現時点で転換が進んでいるとは思えません。どのように考えても1200億円ほどが「サード・ポイントのようなヘッジファンドの手元にある」ことになります。

 つまり第2、第3のサード・ポイントがでてきて、ソニーを攻撃する可能性があるのです。

 ヘッジファンドが「共同戦線」を張ることは普通はありませんが、ダニエル・ローブ氏の提案に「相乗り」するヘッジファンドが出てきてもおかしくはありません。

 しかし「ソニーは1500億円の資金調達ができたのだから、それはそれでよいではないか?」と考えられると思いますが、株価が値下がりすれば未転換分を償還しなければなりません。

 現時点では株価が転換価格の2倍以上なので、その可能性は少ないように思われますが、これもヘッジファンドの思惑次第になる恐れもあります。

 ソニーは普通社債の発行か、(当局に多少睨まれても)第三者割当増資にしておくべきだったのです。中途半端な新株予約権付社債にした代償は、途方もなく大きいのです。

 本誌はソニーの発行IRが出た直後に漠然とした不安感から、昨年11月20日付け「ソニーの新株予約権付社債発行」、同11月21日付け「同、その2」を書いています。よかったら読み返してみてください。


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株式、社債、借入という基本的な資金調達は、マネー総量が実体経済を上回る頃から、レバレッジ、デリバティブも援用し新株予約権付社債などのハイブリッドなものに転化してきて、急膨張した広大な金融経済に恵まれて投資銀行も人物信用重視から手っ取り早い、違法とは言えない詐術優先に舵を切ってきました。あの住銀とGSの関係を見ても英米系には日独の才覚では対抗できず、日米関係と同じくソニーも住銀も手玉にとられておしまいです。闇株さんにコンサル料払った方が安い?スタートはやはり中国の離陸と伴に1990年頃からですかねー。世界帝国経験国は次々に仕組みを作ってくる。その点では日本は中国に劣り、そもそも全く発想できませんので米国追従しかないでしょう。
ソニー格付け、ムーディーズがジャンク級に引き下げの可能性
ムーディーズは1日、ソニーの長期シニア無担保債の格付け「Baa3」を引き下げ方向で見直すと発表した。Baa3はムーディーズの投資適格格付けで最低水準。

ムーディーズは発表文で、「今回の格付け見直しはソニーの収益性改善の遅れに対する当社の懸念を反映したものだ」と説明。「大多数の事業セグメントにおいて見られる弱い収益性は、想定よりも構造改革に時間を要し、脆弱(ぜいじゃく)な財務状況が続く可能性を示唆している」と続けた。 ブルームバーグ
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