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検証!東京裁判 その3

2013年08月15日

検証!東京裁判 その3


 1946年5月3日に開廷した東京裁判は、最初から答えが決まっている勝者が一方的に敗者を裁く裁判だったのですが、開廷直後に弁護側が「思わぬ」先制攻撃を仕掛けます。

 1946年5月6日、清瀬一郎弁護人(日本人弁護人副団長)がウェッブ裁判長忌避の動議を申立てます。ウェッブ裁判長が着任前にニューギニアにおける日本軍の残虐行為についての調査をイギリスおよびオーストラリア政府から依頼されていたため、東京裁判の裁判長として適格性を欠くという「当然の主張」でした。

 その証拠を清瀬弁護人に提供したのが米国人弁護団のファーネス大尉だったといわれています。当のウェッブ裁判長は着任前にこの事実を東京裁判の主宰者であるマッカーサーに伝え了承を得ていたので、大威張りで「無関係」と突っぱねるのですが(まるで半沢直樹に出てくる銀行幹部ですね)、清瀬弁護人は引き下がりません。

 すかさず大柄のキーナン首席検事が発言を求めて清瀬弁護人を力ずくで陳述台から引きずり降ろそうとするのですが、小柄な清瀬弁護人が陳述台にしがみつくように発言を続けます。休廷を挟んで形式的に裁判長席に座ったニュージーランドのノースクロフト判事が、一方的に動議を却下してしまいました。

 さらに清瀬弁護人は再開後の1946年5月13日、「平和に対する罪」と「人道に対する罪」が事後法であることをさらに突っ込みます。つまり日本が受諾したポツダム宣言の第10項にある「一切の戦争犯罪人に対して厳重なる処罰を加える」が東京裁判の根拠にもなっていたのですが、そのポツダム宣言が1945年7月26日付けであるのに対し、「平和に対する罪」などが規定されたロンドン協定は1945年8月8日付けなので、そもそもロンドン協定自体が東京裁判には無効であると指摘します(全くその通りです)。

 さらにブレイクニー弁護士が翌日(1946年5月14日)、「国際法では国家利益の追求である戦争は犯罪ではない」「国家行為である戦争に対して個人責任は追及できない」「戦争の殺人が犯罪であるとすれば、原子爆弾を投下した米国の爆撃手、命令した司令官、承認した大統領も罰せられるべきである」などと畳みかけます(最後の部分は同時通訳が止められ、速記録からも削除されています)。

 これらに対してもウェッブ裁判長がやっと「裁判の管轄に関するすべての動議を却下する。理由は将来に述べる」と一方的に宣告して逃げてしまいました。その理由については確かに判決文の中に「国家の代表者を保護する国際法の原則は、ある事情の下では適用することができない」と、子供の言い訳のように書き加えられていました。

 このようなことなどから東京裁判の国際法上の正当性については、はっきりと「違法」とするのが今日の世界法曹界の「常識」です。ところが日本の法曹界からこのような指摘が一切出ない理由の1つに、のちに最高裁判所長官を務める横田喜三郎氏が「国際法の革命」「文明の裁き」などと褒めたたえたことがあります。

 さて東京裁判とは、明らかに「事後法」である連合国軍に戦争を仕掛けた「平和に対する罪」と、連合国軍(特に中国)の国民に対する「人道に対する罪」を裁いたもので、そもそも「日本国民の感覚から見た戦争責任」とは大きく遊離しています。したがってA級戦犯が誰だったのかとか何の容疑で起訴されたのかを議論することはあまり意味がないのですが、一応検証しておきましょう。
      
 A級戦犯として起訴された28人の内訳は、陸軍関係者が15人、海軍関係者が3人、閣僚・官僚が9人、民間人(思想家)が1人となっています。

 陸軍関係者には首相でもあった東条英機と小磯国昭、特務機関長の土肥原賢二、「背広を着た軍人」といわれた実戦経験のない鈴木貞一を含むのですが、明らかに海軍関係者と釣り合いが取れていません。

 また陸軍関係者の中には軍令(軍の作戦行動に関する業務)の関係者が1人もいません。これは軍令とは、内閣も議会も通さずに天皇が陸軍と海軍を直接統帥するものと考えられていたため、天皇の戦争責任に繋がってしまうからです。ただ東条英機は開戦後に首相と陸軍大臣と軍令実務トップの参謀総長を兼任しており、形式的には軍令関係者でもあったといえます。

 その中で最終的に死刑となったのが陸軍関係者6名(東条英機・土肥原賢二・板垣征四郎・木村兵太郎・松井石根・武藤章)、閣僚1名(広田弘毅元首相)です。

 次回は最終回として、これらの判決の妥当性・整合性と、戦犯指定を免れた「とんでもない軍人」と、裁判に現れた「とんでもない証人」についてです。


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