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何とも奇怪なJPモルガン巨額損失の幕引き

2013年08月20日

何とも奇怪なJPモルガン巨額損失の幕引き


 米検察当局は8月14日、JPモルガン・チェースで発生した62億ドル(6100億円)の巨額損失事件を巡り、損失の舞台となった同社・ロンドンオフィスの元社員2名を刑事訴追したと発表しました。

 事件そのものは2012年5月10日、米国最強の金融持株会社であるJPモルガン・チェースが20億ドル(当時の為替で1600億円)の取引損失を出したと「突然」発表したところから始まりました。

 要は銀行全体のリスク・ヘッジを取りまとめて行うチーフ・インベストメント・オフィス(CIO)で、何かしらの理由でヘッジがうまくいかずに巨額の損失が出たとされていました。

 ところが発表直後からFRB、OCC(通貨監督局)、SEC(証券取引委員会)、CFTC(商品先物取引委員会)、果てはFBIまで、捜査・監督権限のあるところが「すべて」調査に踏み切りました。つまり当初は、全く実態が掴めていなかったことになります。

 さらに不思議なことは、最も事情に詳しいはずのアイナ・ドリュー最高投資責任者と、損失の舞台であるロンドンの取引責任者・アキレス・マクリス氏が、直後に「さっさ」と辞任してしまったことです。まあクビといえばクビですが、懲戒を受けたとか刑事・民事責任を追及された形跡は全くありません。

 そして不思議なほど、この事件は「誰も語らなく」なってしまっていました。

 そこへ「突然」2人の刑事訴追のニュースが出たのですが、事件発覚から1年3カ月も経過しており、損失も当初発表の3倍以上の62億ドルにも膨らんでいました。

 刑事訴追されたのはロンドンのチーフ・インベストメント・オフィス(CIO)でトレーディング戦略を監督していた元幹部のハビエル・マルティンアルタホ氏と、元トレーダーのジュリアン・グラウト氏です。両名とも米国人ではないため、米国当局が身柄を確保できるかどうかはわかりません。

 その容疑は、共謀、有線通信不正行為および虚偽報告で、具体的には2012年3~5月の有価証券報告書の改ざんに関与したとのことです。最大で20年の禁固刑となります。

 ところが最初からこの巨額損失の主導者と名指しされていたフランス人のブルーノ・イクシル氏は刑事訴追を免れています。何でも捜査当局への積極的な協力を約束したからだそうです。

 だとすると、これは奇怪なことになります。

 刑事訴追されたマルティンアルタホ氏とグラウト氏は、2012年初めごろから膨れ上がる損失を隠すために帳簿上の資産価値を意図的に改竄した容疑がかけられており、刑事訴追を免れた(そしておそらく実際の損失を出した張本人の)イクシル氏は、取引を早めに手じまい損失隠しに反対していたそうです。

 つまり損失を出したイクシル氏に対し、その取引を監督する立場のマルティンアルタホ氏が「強引に」損失隠しを主導したことになります。

 絶対にありえません。

 それに米国では、必ず損失が発生した過程で法規違反がなかったかどうかを調べ、さらに不正な損失隠しがなかったかを調べます。普通は損失を出した者と隠した者は同一です。

 ところが本件では、そこを飛ばして有価証券報告書を改竄した行為だけが「犯罪」とされています。これはオリンパス事件などの日本の証券取引等監視委員会の「得意な手法」ですが、米国では非常に違和感がある処理です。

 しかしJPモルガン・チェースには米当局から巨額の制裁金が科されるはずです。その金額は今までの史上最高額であるHSBCに科した19億ドルをはるかに上回りそうです。

 おそらくですが、JPモルガン・チェースは(法人としての犯罪を)肯定も否定もせず、巨額制裁金の支払いに応じ、そこで幕引きとなるはずです。

 米国当局とJPモルガン・チェースの間の「高度な政治的取引」が推察されるのですが、真相は永久に明らかにならないと思います。


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コメント
103億円申告漏れ
「オリンパス」が東京国税局の税務調査を受け、国内子会社と英国子会社との国際取引を巡る移転価格税制に基づき、5年間で約103億円の申告漏れを指摘されたことが分かった 毎日新聞
ttp://www.olympusmedical.jp/
オリンパスメディカルサイトは2013年7月末をもちまして、閉鎖させていただきました。
そういえばあの英国人元社長さんが元取締役で、昨年インディアの社長の謎の自殺が報道されましたね。
なにかあるのでしょうか。
米銀JPモルガン・チェース は、昨年発覚した過去最大のトレーディング損失を調査している米英当局と和解するため、少なくとも7億5000万ドル(約740億円)を支払うことに同意した。(ブルームバーグ)
JPモルガンに罰金1兆2700億円
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