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日銀の「異次元」金融緩和と国債市場

2013年10月08日

日銀の「異次元」金融緩和と国債市場


 日銀の「異次元」金融緩和が始まってから半年がたちました。開始直後はいろいろと混乱した国債市場も「すっかり」落着きをとり戻し、全期間で利回りが低下しています。

 本日(10月7日)の国債利回りは、2年債が0.09%、5年債が0.21%、10年債が0.64%、20年債が1.50%となっています。ちなみに国債市場が混乱していた5月下旬は、2年債が0.14%、5年債が0.44%、10年債が0.94%、20年債が1.68%となっており、特に5~10年債の利回り低下が大きくなっています。

 その理由は、この期間の日銀買入れが多いからです。白川総裁時代の日銀買入れは基本的に3年以下の短い国債を集中的に買い入れていたのですが、現在では「すべての期間の国債」を買い入れており、特に買い入れ額の多い5~10年国債の利回り低下が大きくなっています。

 5~10年国債の利回りが低下すると企業向け貸出金利や住宅ローン金利も低下し、経済に好影響を与えると考えられます。何よりも国債の毎月の新規発行額は5年債が2兆7000億円、10年債が2兆4000億円もあり、この期間の国債が月間7兆円以上の日銀買入れの中心となっているため、発行される国債の消化を大いに助けていることになります。

 日銀には、発行直後の国債を買い入れないというルールがあったはずですが、いつの間にか「反故」になっており、実際に発行直後の国債も「ドンドン」買い入れています。

 誰も問題視しないのですが、日銀が堂々と「銀行や証券会社に代理入札させて」国債を引き受けているのです。

 また日銀の国債保有残高(短期国債を除く)が日銀券の発行残高をこえてはいけないという「日銀券ルール」も、とっくに「反故」にされています。もっと遡れば、赤字国債は10年で全額現金償還しなければならないルールもあったのですが、大昔に「反故」にされています。

 財政再建と大騒ぎして消費増税まで強行しておきながら、せっかく決めたルール(それぞれ財政の歯止めになるものです)は、次々と「黙って」反故にされているのです。

 米国では連邦債務の上限が、いつのまにかなくなっていたようなものです。

 さしあたっては、日銀の「大盤振る舞い」で国債利回りが低下し、国債の消化も問題なく行われ、しかも「異次元」国債買入れは当面続くため、まことに都合がよい状態が続くようにも思えます。

 最近は「国債が暴落する」とヒステリックに騒ぐ評論家も、NHKが絶賛する無名ヘッジファンドもおとなしいのですが、それでは全く問題がないのでしょうか?

 9月30日現在の日銀の資産には167.6兆円の国債が計上されています。このうち政府短期証券が41.5兆円あるため、長期国債(注)は126.1兆円となります。

(注)日銀のいう長期国債とは、残存期間に関わらず政府短期証券ではない国債のことです。

 「異次元」金融緩和が始まる直前の3月31日では(この時点では資産買入等の基金と併用だったのですが合計すると)125.3兆円の国債が計上されており、このうち政府短期証券が34.0兆円あったため、長期国債は91.3兆円でした。

 つまり「異次元」金融緩和の半年間で長期国債が34.8兆円増えています。その間の買い入れは月間7兆円としても42兆円になるため、その差額は保有国債(主に白川総裁時代に買い入れた短い国債)が償還になっていることになります。

 一方、同じ9月30日現在の日銀の負債は、日銀券が83.5兆円、当座預金残高は97.4兆円となっています。また資産負債総額は208.1兆円です。

 わかりやすくいうと、日銀は(政府短期証券を含めて)167.6兆円の国債を保有しているのですが、これを(返還義務のない)日銀券を83.5兆円発行し、残りは傘下の銀行から預かっている97.4兆円の当座預金でファイナンスしているのです。

 レバレッジがちょうど2倍ということになります。また保有する国債の中には1年未満で償還になる政府短期証券が41.5兆円あるため、実質的には1.5倍といったところです。

 したがってまだ日銀はヘッジファンドではありませんが、このままいくと見事にヘッジファンドになります。その弊害は、近々詳しく書くことにします。


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確か来週金曜、中央大学にて日銀副総裁(岩田氏?)がご講演されるようです。
闇株さんもぜひ紛れて、突っ込んだ質問をしていただければと思いご案内いたしました。
講演詳細
テーマ「量的・質的金融緩和」の目的とその達成メカニズム
10/18 15:00~16:30
中央大学多摩キャンパス8号館8206教室

5~600人は入る箱ですので簡単に紛れられます。
ご参考まで。
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