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Jトラストの決算発表から見えてくるもの

2013年11月13日

Jトラストの決算発表から見えてくるもの


 本日(11月13日)、Jトラスト(東証2部上場・コード8508)の平成25年4~9月期決算が発表されました。

 発表された数字そのものは11月8日に下方修正されていた通りで、営業利益が22億3200万円(前年同期比70.2%減)、経常利益が16億6100万円(同77.8%減)、純利益が11億4400万円(同84.6%減)となりました。

 さらに平成25年7~9月期だけに限ってみると営業利益がわずか600万円(平成25年4~6月期は22億2500万円)、経常利益が6億円の赤字(同22億6200万円の黒字)、純利益が9億2200万円の赤字(同20億500万円の黒字)となっています。よくわかりませんが純利益の端数が少し合いません。

 平成25年7~9月期には、977億円を調達したライツイシューの株式関連費用が11億円計上されていますが、それを考慮しても本年7~9月期に入ってから「尋常でなく収益が落ち込んでいる」といえます。

 平成26年3月期の通期予想の発表は見送られました。従来予想(営業利益161億、経常利益173億円、純利益150億円)を据え置いたのではなく、算定が困難なため予想そのものを白紙に戻したといえます。

 最も注目されていた海外事業については、与信総額が547億円(うち親愛貯蓄銀行の貸出金が517億円)となり、1年前の平成24年9月末現在の50億円から「急増」しています。親愛貯蓄銀行を平成24年10月に子会社化したからです。

 最大の問題は、平成25年4~9月の海外事業のセグメント損益が15億1000万円の赤字となっていることです。前年同期(つまり信愛貯蓄銀行を子会社化する前)は1億6200万円の黒字でした。

 これは11月8日付け下方修正IRに書かれていた海外会社の貸倒引当金の計上方法の変更は、「体制整備を進めているところ」と書かれていたので当然に反映されておらず、通常業務のなかで「債権の遅延が想定を上回った」結果のはずです。

 つまり海外業務とくに親愛貯蓄銀行の業績は、引当金をどうこうする前に「すでに足を大きく引っ張っている」ことになります。

 韓国の貸倒引当金の基準は日本よりも厳しいので、親愛貯蓄銀行の引当金を本社(日本)基準にすれば「増益要因」との楽観論もあるようですが、だとすれば通常業務でも「引当金の戻入」があるはずで、セグメント損益が大幅に赤字になる説明がつきません。

 しかしJトラストが本年7月に完了させたライツイシューで977億円を調達できた「効果」は絶大といえます。平成25年9月末現在の純資産が1702億円(1株当たり1383円)と前年同時期の708億円(1株当たり1013円)を1000億円近く上回り、同じく現預金残高も1291億円と前年同時期の621億円から670億円も増えています。

 977億円も調達したので当然ですが、これで仮に親愛貯蓄銀行が最悪の状態になっても屋台骨が揺らぐことがなくなったことも事実です。

 つまり藤澤社長としては「何が何でも1000億円ほど調達しておかなければならなかった」のです。たまたまアベノミクス効果による株高と、当局が推奨していたライツイシューを使ったので「成功」したともいえます。

 だとすると、その「しわ寄せ」はますます株価に出てきます。ライツイシューは公募増資などに比べて既存株主の利益を損なうことが少ないとして、当局が大変にお気に入りの資金調達ですが、そんな魔法のようなことはありません。Jトラストは直前の発行済み株数の6316万株に、何と5426万株も発行しています。

 どちらが好ましいかの議論ではなく、公募増資では海外のヘッジファンドが値決め直前に貸株を調達して空売りするため、確かに株価が下落します。しかしそれは「新株発行による需給関係の悪化が短期間に吸収された結果」ともいえます。

 逆にライツイシューでは「ほとんど吸収されていない」ことになります。

 だから「何か悪いニュース」が出てくると、大きく値下がりすることになります。新株が発行される以上、必ず株価に影響は出ます。それが先に出るか後から出るかの違いだけです。

 Jトラストの株価は「これからも巨額資金調達の悪影響が出てくる」と思うのですが、同時にそれで経営上のセーフティネットを得たことも事実なので、それでよいのかもしれません。


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コメント
貸し倒れ引当金
こんばんは
以下の部分について、Jトラストより発表されている資料と異なる記述があるのではないかと考えましたのでコメントを頂けませんか?

> これは11月8日付け下方修正IRに書かれていた海外会社の貸倒引当金の計上方法の変更は、「体制整備を進めているところ」と書かれていたので当然に反映されておらず、通常業務のなかで「債権の遅延が想定を上回った」結果のはずです。

これに対しJトラストより公開された「補足資料」3ページ販管費の「主な増減要因」に以下の様な記述があります。

>当社グループの事業規模の拡大に伴い人件費が11.4
億円、その他経費が12.3億円増加したうえ、利息返還
損失引当金繰入額は減少したものの、親愛貯蓄銀行
において貸倒引当金を積み増ししたこと等により貸倒
関係費が23.4億円増加したため増加

私は上記のJトラストの発表では4-9月期決算には親愛貯蓄銀行が韓国企業であるため韓国の貸倒引当金の基準で計上している、という意味であると考えているのですがいかがでしょうか?

その上で、闇株新聞様もご指摘のように、11月8日付のJトラストにより業績予測の修正で、
>貸倒引当金の計上方法についても当社グループとしての基準に統一するべく適時開示業務にかかる体制整備を進めているところであります。

なのではないでしょうか?

返信、よろしくお願い致します。
MB様

仰る通り、4~9月期の親愛貯蓄銀行関連の引き当ては韓国基準で、日本基準への変更はされていないと考えるしかありません。

ただ同じく「補足資料」の7頁目の上の表にある引当金総額は平成25年3月期から8億円しか増えていないため、残る15億円ほどの貸倒関係費は実損で最終処理したことになります。

ついでに言いますと、同じ表では平成24年12月期の引当金が63億円ほど増えていますが、これは親愛貯蓄銀行の資産が500億円ほど増えた結果だとすれば同行の引当率は12%程度と推測されます。これが韓国基準のはずで、日本基準だとどうなるかは予想が難しいところです。

闇株新聞編集部
Jトラストの会計マジック
だんだん自分のコメントがまちがっているように思えてきました。
お手数をおけして申し訳ありませんが、「Jトラストの会計マジック」に関するコメントをすべて削除お願いいたします。
夜来香様

「Jトラストの会計マジック」に関するコメントを削除させていただきました。

闇株新聞編集部
Jトラスト
1,007円 前日比-90(-8.20%)
995円 年初来安値更新
1000円割れとはね。。
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