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金融庁が公募増資規制を緩和

2013年12月06日

金融庁が公募増資規制を緩和


 特定秘密保護法案の強行採決や、2日連続の日経平均の下落については少し時間をいただいて、本日はこの話題です。

 金融庁は2014年にも公募増資規制を緩和すると、本日(12月5日)付けの日経新聞が報じています。具体的には、増資公表前に機関投資家の需要を聞く事前調査を解禁し、公表から新株の払い込み価格が決まるまで1~2週間空ける義務も撤廃するようです。

 アベノミクスで株価が上昇していることと、過剰な規制が企業の自由な資金調達を阻害しているとの批判を避けるためでしょう。

 まず機関投資家への需要事前調査は、2007年に日本証券業協会の自主規制ルールで禁止されていたのですが、現在はインサイダー取引の防止策と罰則規定が整ったので解禁すると解説されています。

 しかしヘッジファンドなどの海外投資家が、貸株を調達して空売りし、申し込んだ新株で返済して短期間で大きな利ザヤを稼ぐことは、以前も現在も今後も止められません。

 9月18日に公募増資と第三者割当増資を合わせて5億株超(うち海外分1.28億株)の新株発行を発表したシャープは、発表時の株価376円が値決めの10月7日に291円と「見事なまでに下げられて」しまい、手取り金額が当初の目論見よりも400億円も減りました。

 問題は、ここで儲けた「であろう」ヘッジファンドとは、もともとシャープの株主ではなく、今後もシャープの株主ではないことです。

 つまり日本の機関投資家相手に何を規制しても解禁しても、何も変わりません。

 もう1つの、払い込み価格の決定までに期間を空ける義務を撤廃するのは、その期間に空売り(海外のヘッジファンドの貸株を使った空売りも想定していると思われます)が行われて株価が下落することを避けるためと解説されています。

 これは株価が下落せずに既存株主の利益を損なわないとの理由で当局が推奨しているライツイシューと同じ理屈ですが、大きな間違いがあります。

 どのような形態にしても新株が発行される以上は、多かれ少なかれ株価は下落します。新株が発行されることにより1株利益の希薄化となるからではなく、市場に売りに出される株式が増えて需給関係が悪化するからです。

 その新株の発行による需給関係の悪化を市場が吸収するいわゆる「株価均衡点」に、払い込み以前に速やかに到達するか、払い込み以降に徐々に到達するかの違いです。

 後者の典型が1000億円近い資金調達に成功したJトラストのライツイシューで、その後「ちょっとした悪材料」で株価が急落する事態が頻発しました。ようやく最近になって「株価均衡点」に近づいたようですが、それなら払い込み価格の決定以前に「株価均衡点」に到達させて払い込み価格が安くなった方が株主にとってはよかったことになります。

 もし公募増資で、発表時に払い込み価格を決める方式になれば、同じことが起こるはずです。まあそれが当局の考える「正しい公募増資のあり方」なのかもしれませんが、明らかに間違いです。

 公募増資ではなくても、12月3日に発表された凸版印刷の800億円の新株予約権付社債でも、転換価格を時価よりもかなり高く設定することにより希薄化を防ぐと強調されています(株価が値下がりしないと言いたいのだと思います)。しかし転換価格をどこに設定しても、デルタヘッジが可能なので株価は下落します。

 これも当局の「指導」だと思われるのですが、これだと株式に転換されて自己資本が充実する(返済義務がなくなる)可能性が少なくなるものの、株価への悪影響はほとんど変わらない「悪いところだけの」資金調達になります。

 株価の下落を完全に避けるためには、社債発行しかありません。

 つまり当局の指導は、あまりにも株価の下落を避けようとするため、発行会社やその株主にとって「かえって不利」となっているケースが多いのです。

 新株(新株予約権付社債も含む)の発行は、どうやっても株価の下落を伴うため、下手に規制を加えず発行会社の自由に任せるべきです。小手先のテクニックではなく、調達した資金を使ってどれだけ企業価値を向上できるかがポイントなのです。

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コメント
生活保護法改正案が可決しました。
この改正では扶養義務が強化され、仮に自分の親族が生活保護の申請を行った場合、自分の預金や資産を強制的に調査されるようです。
そもそも親族に扶養義務を課す事自体が前近代的なのに、強制的に自分の資産を調査されるのは憲法違反だと思うのですが。
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